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米4−6月期GDP改定値、個人消費・民間投資がけん引し大幅に上方修正

by • August 27, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2506

U.S. Q2 GDP Revised Sharply Higher, Boosted By Private Consumption And Business Investment.

米4−6月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率3.7%増と、市場予想の3.2%増を上回った。速報値の2.3%増から、大幅に上方修正。年次改訂を経てプラス成長へ上方修正された1−3月期の0.6%増も軽く超え、3期ぶりの高水準を示す。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想レンジ上限を抜けた。

4−6月期は、個人消費が活気を取り戻す。

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(出所:BEA)

GDPの7割を占める消費は3.1%増と、速報値の2.9%増から上方修正された。1−3月期の1.8%増を軽く上回りつつ、ホリデー商戦を追い風に2006年1−3月期以来の高水準に達した2014年10−12月期の4.3%増には届かず。GDPの寄与度は2.11%と、速報値の1.99%および1−3月期の1.19%を超えた。

(個人消費の内訳)
・耐久財 8.2%増、1年ぶりの高水準>速報値は7.3%増、1−3月期は2.0%増
・非耐久財 4.1%増、2013年1−3月期以来の高水準>速報値は3.6%増、1−3月期は0.7%増
・サービス 2.0%増<速報値は2.1%増、1−3月期は2.1%増

民間投資は、全面的に上方修正。固定投資が伸びを広げたほか非住宅投資、構造物投資はプラス圏を回復している。企業の設備投資を表す企業投資も、マイナス幅が縮小。住宅投資も上方修正された。

(民間投資の内訳)
・民間投資 5.2%増、2014年1−3月以来の低水準>速報値は0.3%増、1−3月期は8.6%増
・固定投資 4.1%増、2014年7−9月期以来の高水準>速報値は0.8%増、1−3月期は3.3%増
・非住宅 3.2%増、3期ぶりの高水準>速報値は0.6%減、1−3月期は1.6%増
・機器投資(企業の設備投資) 0.4%減、2014年10−12月期以来のマイナス>速報値は4.1%減、1−3月期は2.3%増
・構造物投資 3.1%増、前期のマイナスからプラス圏回復>速報値は1.6%減、1−3月期は7.4%減
・住宅投資 7.8%増>速報値は6.6%増、1−3月期は10.1%増
・知的財産 8.6%増、少なくとも過去4年間で最高>速報値は5.5%増、1−3月期は7.4%増

在庫投資が引き上げられた結果、GDPの寄与度は速報値の0.08%ポイントのマイナスから0.22%ポイントのプラスへ転じた。政府支出も、速報値から上方修正。純輸出も寄与度を広げた。

(その他)
・純輸出の寄与度 0.23%ポイント、3期ぶりにプラス>速報値は0.13%ポイント、1−3月期はマイナス1.92%
・在庫投資 1210億ドル増>速報値は1100億ドル増、1−3月期は1128億ドル増

(政府支出)
・政府支出 2.6%増、3期ぶりにプラス>速報値は0.8%増、1−3月期は0.1%減
・連邦政府 ±0>速報値は1.1%減、1−3月期は1.1%増

GDPデフレーターは前期比年率2.1%の上昇と、市場予想および速報値の2.0%を上回った。1−3月期の0.1%を大きく超え、1年ぶりに2%台を回復している。PCEデフレーターは速報値と一致し2.2%上昇し、1−3月期の1.9%のマイナスからプラスへ反転。コアPCEデフレーターも速報値と変わらず1.8%上昇し、2010年10−12月期以来の水準へ沈んだ1−3月期の1.0%から回復した。FOMCのインフレ目標値「2%」ヘ近づいたかたちだ。

企業収益(税引き後)は前期比1.3%増と、1−3月期の7.9%増から回復した。ドル高が響きマイナスが続いたものの、3期ぶりに増加に転じている。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果に対し「個人消費が堅調な軌道をたどり民間投資にも安定化の兆しが現れたため。下半期は成長率は2.5%増との予想を維持する」とコメントした。4−6月期は心強い内容と評価する一方、「今回の数字には金融市場のボラティリティが高まり以前でFOMC参加者にとって新鮮味に乏しい」とも指摘。9月利上げを後押しする可能性は低いとの考えを示唆した。バークレイズは24日の米株暴落を経て、9月利上げの予想を2016年3月へ後ろ倒しした経緯がある。

——米4−6月期GDP改定値は予想を大幅に超える好結果だった半面、中国の株安・景気減速、人民元切り下げなどを発火点とした世界同時株安がもたらす影響が気掛かりですよね。9月利上げが後ろ倒しされれば、ドル高加速を抑制し米景気を支えられるのか。米GDPに占める輸出のシェアは約14%のところ、中国をはじめエマージング国の失速を切り抜けられるのか。問題は山積みです。

アトランタ連銀の7−9月期GDP予想は、米7月耐久財受注を経て26日に上方修正されました。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Atlanta)

従来の1.3%増から、1.4%増へ引き上げられています。米経済指標の発表に合わせ上方修正をたどるものの、現時点で3%超えからかけ離れた水準に甘んじていました。

(カバー写真:elysiumcore/Flickr)

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