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中国株安、底打ちは近いのか?

by • July 9, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off3794

Are We Close To The Chinese Stock Market’s Bottom?

中国株安は9日にブレーキが掛かり、米株も反発。ダウ平均は終値こそ17548.62ドル(33.20ドル高、0.19%高)にとどまったものの、寄り付き早々には安心感から一時249.43ドル高の17764.85ドルまで上昇したものです。

果たして、中国株安の底打ちは近いのでしょうか?

ゴールドマン・サックスは、早ければ5日以内のボトムアウトを予想しています。CNBCに出演したアジア太平洋部門主席ストラテジストのティモシー・モー氏は「信用取引における証拠金残高の縮小」こそ、底打ちのカギを握ると指摘。同氏いわく証拠金残高は、ピーク時にあたる6月半ばの2.3兆元(約45兆円)から8日までに1.6兆元(約31兆元)へ減少しました。米国市場での信用取引を踏まえ均衡点を探った場合「1兆元がメド」で、過去3週間で36%も減少したスピードを踏まえると、そこにたどり着くまで「早くて5日、長くて2週間」と分析します。さすが、香港在住の中国担当ストラテジストの劉勁津氏が「まだバブルではない」と強気姿勢を維持し、CSI300指数につき向こう1年間で27%の上昇を見込むだけありますね。

モー氏、中国株にブルなGSらしい分析です。
gs
(出所:CNBC

バンク・オブ・アメリカ、ブラックロック、シティグループ、クレディ・スイスなどが中国株バブルを指摘していたことと、対照的ですね。モルガン・スタンレー・アジアの会長として、香港に在勤した経歴を持つスティーブン・ローチ氏も「中国株バブルが崩壊しつつある」と発言。下落局面での押し目買いこそ、「落ちるナイフをつかむようなもの」と警戒を崩しません。

現在はイェール大学シニア特別研究員のローチ氏は、国内総生産(GDP)比225%とされる債務残高の縮小を目指す上で中国の資本市場が育っていないと指摘。投資主導型経済、つまりは株高誘導でしか債務削減の道が残っていなかったと分析します。ただローチ氏は、お先真っ暗な将来を描いていません。中国の成長率は6.5〜7.0%を維持すると予想しています。

ここで、中国当局による主な支援策を振り返ってみましょう。

6月27日
・中国人民銀行が2014年11月から4回目の利下げ、農業および中小企業向けに貸出を行う銀行への預金準備率も引き下げ

7月1日
・中国証券監督管理委員会、信用取引規定を緩和
(株式取引手数料を引き下げ、自宅など不動産を信用取引の担保として承認)

7月4日
・中国証券監督管理委員会、IPOを停止
・中国証券業協会、21社の証券会社で市場安定化基金を設立し優良株ETFに投資へ(1200億元、約2兆4000億円)
・上記に関し、21社の証券会社に対し上海総合指数4500割れでの保有株売却停止
・過去3週間に3兆2000億元(約392兆円)吹き飛ぶ

7月6日
・上海総合は株価テコ入れ策を受け4日ぶり反発、2.4%高で引け

7月8日
・上海総合は続落、5.9%安で引け
・中国の本土株式市場で、市場全体の71%の銘柄が売買停止あるいはストップ安
・中国財政省は上場企業の政府保有株の売却を停止、国有銀行に対しても上場子会社の株式を売却しないよう要請
・中国証券監督管理協会、持ち株5%以上の企業の大株主および役員に売却を6ヵ月禁止

7月9日
・中国の公安省、インサイダー取引のほか機密情報漏洩、悪意ある空売り、噂の流布をめぐり取り締まり強化
・中央共産党の中央宣伝部、国内メディアに株式相場の報道に冷静勝つ客観的に報道するよう緊急通達

——国際通貨基金(IMF)は最新版の世界経済見通しで、2015〜2016年の中国成長見通しを据え置きました。少なくとも、中国株安がこれ以上悪化しないと見込んでいるようです。GSと同じく、楽観的なんですね。

有名な投資格言「まだはもうなり、もうはまだなり」を思い出してまったのは、筆者だけではないでしょう。中国株安が再燃すれば、米国債売りという禁じ手を講じることも想定しておきたい。そういえば、2月末時点までの過去1年間、中国の米国債保有額は492億ドル減少していましたね。

(カバー写真:David Lom/NBC News

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