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米8月チャレンジャー人員削減予定数、約4年ぶり高水準から急減

by • September 3, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1739

August Job Cuts Plunge After Hitting 4-Year High.

米8月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比2.9%増の4万1186人と3ヵ月連続で増加した。2011年9月以来の水準へ膨らんだ7月の10万5696人からは、61.0%も大幅減。エネルギー産業での人員削減は全体の5.0%と、7月の8.6%から低下した。ただ原油先物の下落が再燃するなかで6月(0.6%)、5月(2.5%)を超えている。なお4月は34%、3月は35%、2月は38%、1月は40%。

4大地域別では、2地域で増加し7月の3地域を下回った。今回は中西部が最も著しく前月比73.8%増の1万2304人と、前月から増加に反転。エネルギー産業が集中する南部は52.4%増の7194人で、2ヵ月連続で増加した。IT関連企業が集まる西部は71.1%減の8962人と前月から減少に転じ、北東部も80.1%減の1万2726人だった。なおコノコフィリップスは1日、全世界で従業員を10%削減する計画を発表した。原油先物が一時約6年半ぶりの水準まで下落するなか、北米を中心に削減に踏み切る方針を固めており南部では再び増加するリスクが潜む。

人員削減予定数、同時多発テロ事件が発生した当時の水準へ急増。
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(出所:Challenger, Gray And Christmas)

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、今回の人員削減予定数で小売が目立った理由につき「昔ながらの小売業者時代の変化についていけず、(北東部のスーパー大手)A&Pのように破産申請でしか生き残る道を見出せずにいる」と指摘した。A&Pは11月の感謝祭までに100店舗の閉鎖、8500人の人員左右減を決定。また電化製品小売のラジオシャックも、年初に5400人の削減予定を発表していた。

今後について、チャレンジャー氏は「株式市場のボラティリティを踏まえると、投資家が支出を抑制するなど小売業にはさらに悪影響が及びうる」と予想。ただホリデー商戦を前に「過剰な人員削減は避けたいはず」とも付け加え、株価下落の影響は比較的小さいと見込む。むしろ、人員削減は「中国経済をはじめエマージング諸国の経済現職によって増加する可能性が高い」と結んだ。

1−8月に人員削減が多かったセクター、ランキングは以下の通りで%は前年同期比を示す。

1位 エネルギー 790%増の7万1628人
2位 政府 302%増の6万7917人
3位 小売 91%増の5万7363人
4位 産業財 106%増の3万6872人
5位 コンピューター 46%減の2万6374人

8月人員削減予定件数のセクター別をみると、1位は小売で9601人、2位は産業財で7949人、3位は食品で3303人だった。

リストラ実施の理由、8月のランキングは以下の通り。7月に続き再編、コスト削減、閉鎖の御三家のフォーメーションが崩れ、再編がトップで変わらずだったものの2位はコスト削減の代わりに破産が入った。コスト削減は、4位にランクを落としている。閉鎖は7月に5位だったものの、今回は3位に浮上した。7月に3位だった買収・合併(M&A)が圏外に滑り落ちている。

1位 再編 1万283人 年初来 11万4755人
2位 破産 8500人 年初来 1万4653人
3位 閉鎖 6944人 年初来 6万8809人
4位 コスト削減 5088人 年初来 8万9550人
5位 原油安 3808人 年初来 8万2268人

採用予定人数は1万1778人と、前月の1万1637人から小幅に増加した。1位は通信で2850人となり、2位は金融で1975人、3位はサービスで1050人だった。

——人員削減予定件数は7月に防衛関連のリストラを背景に跳ね上がったものの、8月は足元のレンジに戻しました。国際通貨基金(IMF)がアジア危機の再来を懸念するように、今後は中国の景気減速をはじめエマージング動向がカギを握ります。ホリデー商戦前に秋は雇用が突出して増加する傾向が高いものの、今年は安穏としていられません。

(カバー写真:Penn State/Flickr)

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