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米9月フィリー、エンパイアと足並みそろえ分岐点割れ

by • September 17, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2643

September Philly Manufacturing Index Joins Empire In Negative Territory.

米9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)はマイナス6.0となり、市場予想のプラス6.3から滑り落ちた。前月の8.3から急落し、指数としては2012年11月以来の水準へ沈んだ。米9月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)と足並みを揃え、2014年2月以来の分岐点割れを示す。

主要な項目の内訳は、以下の通り。出荷が前月を下回ったほか在庫が分岐点割れに落ち込んだ半面、新規受注や雇用は上昇し全般的にマチマチとなった。

・新規受注 5.8、分岐点乗せを維持も3ヵ月ぶり低水準>前月は5.8
・出荷 14.8、4ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は16.7、2014年11月以来の高水準
・在庫 マイナス2.7、分岐点割れへ戻す<前月は0.2

・雇用 10.2、5ヵ月ぶり高水準で2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は5.3
・週当たり平均労働時間 7.0、4ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は8.5、2014年8月以来の高水準

・受注残 マイナス6.6、3ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス1.0
・入荷時間 マイナス0.5、5ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス0.4

・仕入れ価格 0.5、4ヵ月連続で分岐点に乗せたなかで最小の伸び<前月は6.2
・販売価格 マイナス5.0、2ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス4.9

6ヵ月先見通し指数は、44.0。前月の43.1および6ヵ月平均の39.6を上回った。8ヵ月ぶりの高水準を示す。項目別をみると、全体的にマチマチでさほど楽観度が増したと判断しづらい。新規受注(46.4>前月は46.3)、在庫(3.9>前月は12.4)、雇用(17.9<前月は21.5)、平均労働時間(5.0<前月は1.2)、仕入れ価格(29.2<前月は38.4)、受注残(12.4<前月は26.2)がそろって下向いた。一方で出荷(37.6<前月は49.7)、設備投資(27.2>前月は18.4)、入荷時間(2.2>前月は1.0)などは上昇した。

現況(オレンジ)は急低下も、見通し(グレー)は上昇。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

今回の特別質問項目は、生産動向について。4−6月期と比べて7−9月期に「増産した」との回答は45.9%となり、「減産した」の41.9%を上回った。最も多かった回答は「10%以上、減産した」で13.5%、次いで「変化なし」が12.2%、「4−6%、増産する」が9.5%と続く。10−12月期をめぐって7−9月期から「増産する」との回答は40.5%、「減産させる」は39.2%と拮抗した。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「全般的にみると新規受注が改善したほか低下したとはいえ出荷も堅調な水準で、雇用にいたっては5ヵ月ぶり高水準で景況悪化を示すとは言い難い」と指摘。ISM製造業景況指数に換算すると今回は「51.0と前月の52.6から若干した程度」であるほか、見通し指数も低下を免れており「少なくとも詳細をみると製造業活動が悪化するとの懸念を払拭させる」と結んだ。

——米9月フィリーは米9月NY連銀製造業景況指数と並び分岐点を割り込んだとはいえ、現況指数の主要項目は底堅かった。米8月鉱工業生産が弱含む上、1)ドル高、2)原油安、3)世界景気の減速懸念——といった三重苦もあって製造業活動が大幅に改善する余地は狭い。とはいえ、世界同時株安ベージュブックで記されたような中国景気の鈍化を踏まえれば、よく持ち堪えているとも解釈できそうです。

(カバー写真:I-5 Design & Manufacture/Flickr)

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