NY Fed Manufacturing Index And Industrial Production Suggest No Rate Hike This Month.
米9月NY連銀製造業景況指数はマイナス14.67となり、市場予想のマイナス0.50を大きく下回った。金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年8月以来の水準へ沈んだ8月のマイナス14.92と、ほぼ変わらず。項目別では、新規受注や出荷がマイナス幅を縮小した半面、雇用項目に悪化が見られマチマチだった。ドル高に加え、中国景気の減速に伴う南米などエマージング国の需要低下が製造業活動を抑制しているようだ。なお今月公表のベージュブックでは、NY連銀に隣接するボストン連銀で中国の影響を示されていた。
項目別動向は、以下の通り。
・新規受注 マイナス15.70＞前月はマイナス15.70、2010年11月以来で最低
・出荷 マイナス7.98＞前月はマイナス13.79、2009年3月以来で最低
・雇用 マイナス6.19、2013年1月以来の分岐点割れ＜前月は1.82
・平均労働時間 マイナス10.31、2014年12月以来の低水準＜前月はマイナス1.82
・仕入れ価格 4.12、2009年6月以来の低水準＜前月は7.27
・販売価格 マイナス5.15、2009年12月以来の低水準＜前月は0.91
・在庫 マイナス18.56と3ヵ月連続で分岐点割れ、2013年12月以来で最低＜前月はマイナス17.27
・入荷時間 マイナス6.19、再び分岐点割れ＜前月はマイナス4.55
・受注残 マイナス8.25、2011年7月以来のマイナス基調を維持＜前月はマイナス4.55
現況指数は分岐点割れを維持し、見通し指数も大きく低下（ブルーが現況、グレーが見通し）。
（出所：Federal Reserve Bank Of New York）
6ヵ月先見通し指数は23.21となり、前月の33.64を下回り2013年1月以来の水準へ沈んだ。新規受注（23.89＜前月は29.36）、出荷（25.30＜前月は32.97）、設備投資（11.34＜前月は17.27）、平均労働時間（マイナス9.28＜前月は1.82）、仕入れ価格（28.87＜前月は34.55）、販売価格（7.22＜前月は10.91）などが低下。入荷時間もマイナスに転じた。一方で雇用（7.22＞前月は3.64）、在庫（マイナス9.28＞前月はマイナス13.67）、受注残（2.06＞前月はマイナス1.82）のみ、前月を上回った。
▽米8月鉱工業生産、前月と反対に自動車が腰折れ
米8月鉱工業生産指数は前月比0.4％低下し、市場予想の0.2％より低下幅を広げた。前月の0.9％の上昇（0.6％の上昇から上方修正）以下となり、6月の横ばいを経て3ヵ月ぶりにマイナスに転落。稼働率は77.6％と、市場予想の77.8％に及ばず。前月の78.0％を下回り、リセッション前の80％回復には距離を残した。
内訳をみると、製造業が0.5％低下。2014年11月以来の高水準を遂げた前月の0.9％の上昇からマイナス圏へ転じた。特に自動車が6.4％低下し、前月に10.6％上昇した後でマイナス基調へ戻している。前月に指摘されていたように、自動車工場閉鎖に関わる季節調整の歪みが7月の好結果をもたらしたことを確認した。原油安の再燃に直面し、鋼業も低下に反転。公益のみ、上昇した。
・製造業 0.5％の低下＜前月は0.9％の上昇、2014年11月以来の高水準
・自動車 6.4％の低下＜前月は10.6％の上昇
・コンピューター／電子機器 0.4％の低下＜前月は0.2％の低下
・機械 1.6％の上昇＜前月は1.0％の低下
・公益 0.6％の上昇＞前月は0.2％の低下
・電力 0.5％の上昇＞前月は0.2％の低下
・天然ガス 1.2％の上昇＞前月は0.2％の低下
・鋼業 0.6％の低下＜前月は1.8％の上昇
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、結果を受け「原油安を受けた鋼業が下押ししたほか自動車セクターも統計の歪みが反映されている」と指摘。ドル高と原油安がくすぶるなかで、弱いトレンドが続くと見込む。
——米9月NY連銀製造業景況指数と米8月鉱工業生産が予想以下に終わり、米8月小売売上高の好材料を打ち消した感があります。米9月NY連銀製造業景況指数の見通し指数の減速は顕著で、8月以降は冬が到来するまで鉱工業生産で公益セクターの後ろ盾を失う恐れも。楽観しづらい状況が続きます。
（カバー写真：Washington State Dept of Transportation/Flickr）
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米8月小売売上高は予想以下も、過去2ヵ月分は上方修正 Next Post:
FOMC、この心理的節目を抜ければ利上げに踏み切る！？
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