August Existing Home Sales Decrease From The Highest Level Since 2007.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米8月中古住宅販売件数は年率531万件と、市場予想の550万件に届かなかった。住宅ブーム花盛りの2007年2月以来の高水準を記録した前月の558万件(559万件から下方修正)を4.8%下回る。前年比では6.2%増と、11ヵ月連続でプラス圏を維持した。
内訳をみると、一戸建てが前月比5.3%減の469万件と4ヵ月ぶりに減少し全体を押し下げた。複合住宅も1.6%減の62万件と2ヵ月連続で減少している。
(出所:NARのデータを元にMy Big Apple NYが作成)
4大地域別では、3地域で減少。前月の2地域を上回った。今回は北東部のみ横ばいの70万件となった程度で、他は全て前月から減少。住宅ブームに沸く西部は7.8%減の119万件、テキサス州など石油生産地が多い南部も6.6%減の214万件と、それぞれ4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。中西部は1.5%減の128万件と、2ヵ月連続で減少している。
在庫件数は、前月比1.3%増の229万件と6ヵ月連続で増加した。在庫が伸びた半面、販売件数が減少したため在庫相当は5.2ヵ月と、前月の4.9ヵ月から延びている。中央価格は前年比で4.7%上昇の22.87万ドル。前月比では1.5%下落し2ヵ月連続で下向いた。売り出し平均期間は47日。7月の42日のほか少なくとも2013年6月で最も短期化した6月の40日から延びた。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 5%=前月は5%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 2%=前月は2%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 7%=前月は7%
・新規購入者 32%>前月28%
・現金での購入者 22%<前月は23%
・住居用ではなく投資向け 12%<前月は13%
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「南部と西部を中心に減少した背景として、残存する在庫不足が挙げられる」と指摘した。ただし「足元2ヵ月にわたり価格は鈍化し、不健全な市場から回復しつつある」と好感しており、悲観に傾いてはいない。
バークレイズのブレリナ・ウルシ米エコノミストは、市場予想より減少したため「米7−9月期国内総生産(GDP)の住宅投資のうち、仲介業者のコミッションと住宅投資の縮小が見込まれる」と分析。その上で、同GDPの予想を2.4%増から2.3%増」ヘ引き下げた。
——米8月中古住宅販売件数は前月の増加を打ち消したものの、バケーションに予算を振り向けた世帯が支出に慎重になった可能性がくすぶるほか、前月の急増の反動も考えられます。前月を下回りながら、全体的には足元のレンジ上限近くを維持。中国発・世界景気の減速懸念や世界同時株安のインパクトが9月に現れるのか、はたまた金利低下と価格鈍化を追い風に加速するのか。ひとつ明確なのは、在庫不足。販売件数を押し下げる可能性をはらみます。
(カバー写真:Walter Burns/Flickr)
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