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ヒラリーがTPP反対、決算、米下院議長、カナダ総選挙など雑感

by • October 21, 2015 • Latest News, NY TipsComments Off2966

Hillary’s TPP Disapproval, Earnings, And Canada’s Upset Election.

日本に帰国してからバタバタしておりまして、更新が非常にスローになっております。忘れているわではございませんので、ペースを取り戻すまで暫くお待ち下さい。

ブログがほぼ休止状態にあった9月後半から10月半ばにかけ、カラフルに色々な出来事がございましたね。備忘録として、ざっと雑感をまとめてみました。お耳汚しならぬお目汚しにどうぞ。

▽TPPにヒラリーが反対

民主党のヒラリー・クリントン米大統領候補がようやく表明した環太平洋経済パートナーシップ(TPP)への立場は、「反対」。ジョージア州アトランタで12カ国がTPPをめぐり大筋合意したわずか2日後、米公共放送サービス(PBS)の7日付け録画インタビューにて明らかにしました。クリントン候補は「現時点で、支持しない」と語り、TPPの合意内容が「(雇用促進、経済拡大など)私が掲げた高い目標の達成に適うと確信できない」と述べています。13日に民主党大統領候補の討論会が迫っていたというのが、一因でしょう。それより、個人的には「為替操作」に関する文言がTPP合意で加わらなかった点を意識したと考えています。

クリントン陣営は4月時点で、ドル高への不快感を明らかにしていました。選挙キャンペーン広報担当のニック・メリル氏がニューヨーク・タイムズ(NYT)紙に寄せた見解3によると、クリントン候補がTPPを支持するには、1)職の保全、賃上げ、また米国内で雇用を創出する機会などを守れるか、2)国家安全保障の強化につながるか、3)為替操作を是正できるのか——という3点が挙がっていましたよね。

討論会後、支持率は盤石そのもの。ジェブ・ウェブ候補は早々にレースからの撤退を決めました。バイデン米副大統領の支持率を奪う世論調査結果も出ており、やはりこの方は強いですね。

▽決算

本日は好決算が飛び出したとはいえ、7−9月期決算シーズンの雲行きは必ずしも良くありません。ロイターによると、S&P500構成銘柄のうち決算発表済みの60%が売上で市場予想に届かず。1株当たり利益は、前年同期比4%減となる見通しです。決算発表済みの企業のうち70%は利益において市場予想を上回ったとはいえ、原動力はもちろん売上ではありません。利ざやです。1)自社株買い効果、2)人員削減、3)効率化——を通じて利益を確保してきました。現状は1)商品先物の下落、2)金利、3)労働コスト——が利益を蝕んでいないものの、このバランスが崩れた場合は注意。ファクトセットは10−12月期の1株当たり利益予想を0.9%減と掲げ9月末時点の0.6%増から下方修正しており、厳しい現実を突きつけています。10−12月期も減益となれば3期連続ですからマイナスですから、2009年以来のプロフィット・リセッションが続く公算です。

▽米下院議長

ベイナー米下院議長が10月末で辞任するとの意志を発表してから、マッカーシー米下院院内総務(カリフォルニア州)が辞退するなど膠着が続いていた後継者選びですが、漸く希望の光りが差してきました。本命と謳われたポール・ライアン米歳入委員会委員長(ウィスコンシン州)が「ハウス・フリーダム・コーカス(強い保守系、36議席)、リパブリカン・スタディー・コミティ—(保守系、172議席)、チューズデー・グループ(穏健派、約50名)など3派が支持するなら」との条件付きで受け入れる可能性を点灯。米下院435議席のうち過半数の217議席の賛成が必要で共和党は245議席ですから、問題のハウス・フリーダム・コーカスを含む3派がそろえば障害をクリアできるのでしょう。ライアン米下院議長が誕生すれば、債務上限引き上げや予算交渉で矢面に立って来ただけに政府機関閉鎖という最悪の事態は回避される?

会心の笑顔で、下院議長就任となるか。
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(出所:M. Scott Mahaskey/POLITICO

▽カナダ総選挙

このジャスティンは、ビーバーと違った意味で世界に波紋を投げ掛けました。弱冠43歳のジャスティン・トルドー党首率いる自由党が、19日実施の総選挙で過半数を獲得すると誰が予想したでしょうか。150議席を奪って与党の座を勝ち取る壮大な番狂わせは、カナダ政治史上初めてです。

トルドー党首といえば父君はピエール・トルドーで、1969年〜1978年と1980年〜1984年の2回にわたり首相を務めた人物。父親が首相在任時に誕生したという、極めて希有な存在なんですね。首相となるべくして生まれたようなジャスティン、政界入りするまでの職業はというと教師からクラブの用心棒まで多岐にわたり、柔道の心得もあるのだとか。弟のミシェルが登山で命を失ってから、カナダ雪崩対策委員会に傾倒し、頭角を現しました。

2008年10月の総選挙では人口が約11万人のパピノー選挙区にて当選を勝ち取り、2013年から党首に就任しています。中道左派らしく向こう4年間で中低所得者層向け減税と政府支出に1460億加ドルを充てる方針を打ち出し、3年間にわたって100億加ドル程度の財政赤字を見込む。ハーパー政権当時の財政緊縮にサヨナラというわけです。単独過半数の政権運営でき政治の不透明性が払拭されたとはいえ、バラマキが気になるところ。かつてのビル・クリントンを彷彿とさせる若さとルックスを誇る政治のジャスティンは、マーケットに安心感を与えることができるのでしょうか?

(カバー写真:Brett Weinstein/Flickr)

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