Q3 GDP Growth Revised Up, Thanks To Stronger Inventories.
米7−9月期国内総生産(GDP)改定値は前期比年率2.1%増と、市場予想と一致した。速報値の1.5%増から上方修正。前期の3.9%増には届かなかったとはいえ、1−3月期の0.6%増と合わせ年初来の成長率は2.2%増と、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)の予想レンジ上限に寄せた。
GDPの7割を占める消費は3.0%増と、市場予想並びに速報値の3.2%増に届かず。前期の3.6%増に続き、3%台は保った。とはいえ、ホリデー商戦を追い風に2006年1−3月期以来の高水準に達した2014年10−12月期の4.3%増を下回る水準を維持している。GDPの寄与度は2.05%と、速報値の2.19%及び前期の2.42%を下回った。
(個人消費の内訳)
・耐久財 6.5%増<速報値は6.7%増、前期は8.0%増で1年ぶり高水準
・非耐久財 4.0%増>速報値は3.5%増、前期は4.3%増で2013年1−3月期以来の高水準
・サービス 2.2%増<速報値は2.6%増、前期は2.7%増
民間投資は、企業の設備投資に含まれる機器投資や構造物投資が上方修正され、全体を引き上げた。住宅投資は6期連続で増加しただけでなく、速報値から引き上げられている。
(民間投資の内訳)
・民間投資 0.3%減、2014年1−3月期以来の減少>速報値は5.6%減、前期は5.0%増
・固定投資 3.4%増>速報値は2.9%増、前期は5.2%増、2014年7−9月期以来の高水準
・非住宅 2.4%増>速報値は2.1%増、前期は4.1%増、3期ぶりの高水準
・構造物投資 7.1%減<速報値は4.0%減、前期は6.2%増、5期ぶりの高水準
・機器投資 9.5%増、3期連続で増加し1年ぶり高水準>速報値は5.3%増、前期は0.3%増
・無形資産 0.8%減<速報値は1.8%増、前期は8.3%増で少なくとも過去4年間で最高
・住宅投資 7.3%増>速報値は6.1%増、前期は9.3%増
在庫投資が上方修正されたため、GDPの寄与度はマイナス0.59%ポイントと速報値のマイナス1.44%ポイントから修正された。純輸出の寄与度は反対に、マイナス幅が拡大。政府支出は、速報値と変わらなかった。
(その他)
・純輸出の寄与度 マイナス0.22%ポイント<速報値はマイナス0.03%ポイント前期は0.81%ポイント、3期ぶりにプラス
・在庫投資 902億ドル増>速報値は568億ドル増、前期は1135億ドル。
(政府支出)
・政府支出 1.7%増、2期連続で増加=速報値は1.7%増、前期は2.6%増
・連邦政府 0.1%<速報値は0.2%増、前期は±0%
GDPデフレーターは前期比年率1.3%の上昇と、市場予想並びに速報値の1.2%を上回った。1年ぶりに2%台を回復した4−6月期の2.2%を下回る水準を保つ。PCEデフレーターは1.2%上昇し、前期と変わらず。コアPCEデフレーターは1.3%の上昇と、市場予想及び速報値と一致。前期の1.9%以下に終わった。2010年10−12月期以来の水準へ沈んだ1−3月期の1.0%を上回ったとはいえ、FOMCのインフレ目標値「2%」から再び距離を開けている。
企業利益は前期比年率4.3%減、前年同期比4.7%減となり2009年4−6月期以来の低水準だった。
BNPパリバは、結果を受け「(機器や構造物など)民間投資が予想外に力強い伸びを示した上、在庫投資も上方修正されGDPを押し上げた」との見解を寄せる。ただし、設備投資の拡大には疑問が残る状況。企業収益の落ち込みは「海外での利益が前期比年率26.5%減、前年同期比12.2%減だったことが背景にある」と説明し1)ドル高、2)上昇しつつある賃金、3)引き締め寄りな金融環境、4)軟調な外需——を踏まえれば、困難な環境が続くと見込む。
——米7−9月期GDP改定値が上方修正されたとはいえ、在庫投資は10−12月期に反動で伸びが縮小しかねません。企業収益をみると、設備投資が成長をけん引できるかは不透明。おまけに、米10月耐久財受注や住宅指標を受けて10−12月期のGDP見通しから楽観度が後退しつつあります。
アトランタ連銀の予想は、従来の2.3%増から1.8%増へ下方修正。
(出所:Federal Reserve Bank Of Atlanta)
ホリデー商戦が成長を押し上げる期待が残るだけに、ブラック・フライデーの商戦動向は要注目です。
(カバー写真 : relux/Flickr)
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