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米11月耐久財受注は予想以上も、Q4 GDP見通し下方修正のワケ

by • December 24, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2872

Economists Revised Down Q4 GDP Outlook After Durable Goods Orders.

米11月耐久財受注と米12月リッチモンド連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。

米11月耐久財受注は前月比±0%となり、市場予想の0.6%減より強い結果となった。6月以来の高い伸びを達成した前月の2.9%増(1.3%減から上方修正)から横ばいに転じている。防衛財が44.4%増と牽引しており、輸送機器はさえない。資本財はまちまちとなった。

輸送用機器は0.4%増となり、前月の7.8%増(修正値)から伸びを縮小しつつ2ヵ月連続で増加した。自動車が支えており、民間航空機は大幅に減少している。

・民間航空機 22.2%減、4ヵ月ぶりに増加した前月の78.7%増から減少に反転
・自動車 1.5%増、前月の2.9%減から反転

輸送用機器を除く場合は0.1%減となり、市場予想の±0%を下回った。3ヵ月ぶりに増加した前月の0.5%増から減少トレンドへ戻している。

コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は、0.4%減だった。前月の0.6%増(1.3%増から下方修正)を下回り、3ヵ月ぶりに減少している。内訳をみると機械、また商品先物の下落に押され一次金属が弱い。コンピューター・電子機器、電気製品、組み立て金属が増加したものの、力及ばずだった。

(減少項目)
・一次金属 2.7%減と5ヵ月ぶりに増加した前月の2.2%増から反転
・機械 1.5%減と3ヵ月ぶりに増加した前月の0.7%増から反転

(増加項目)
・電気機器 2.6%増と前月の3.2%減から反転、4ヵ月ぶりに増加
・組み立て金属 0.9%増と前月の1.3%減から反転
・コンピューター/電子機器 0.4%増と前月の2.1%増と合わせ2ヵ月連続で増加

耐久財出荷は前月比0.9%増となり、前月の1.2%減から増加に転じた。過去6ヵ月間では、4回目の増加を示す。ただし国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.5%減となり、前月の1.0%減(0.4%減から下方修正)を含め2ヵ月連続で減少した。

耐久財受注、コア資本財が下振れでGDPに弱気サイン点灯。
durablegoods
(出所:My Big Apple NY)

耐久財在庫は0.3%減と、前月の0.3%減と合わせ5ヵ月連続で減少した。在庫が減少した一方で出荷が増加したため、在庫相当は1.66ヵ月と前月の1.64ヵ月から延びた。

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受け「コア資本財が弱含んだが、ドル高地合いが明確になる2014年9月にピークを打った後は低迷している」と分析。GDPにおける機器投資の予想を10-12月期は「従来の0.1%増から1.2%減」へ下方修正した。さらに在庫調整が顕著となっており、米10−12月期GDP予想も「従来の1.0%増から0.8%増」へ引き下げた。

▽米12月リッチモンド連銀製造業景況指数、4ヵ月ぶりに分岐点を回復

米12月リッチモンド連銀製造業景況指数は6となり、市場予想のマイナス1より強い結果となった。4ヵ月ぶりに分岐点を回復。複数月にわたるマイナスは、2012年12月~2013年1月以来だったが、漸く終止符を打った。内訳は以下の通りで、新規受注をはじめ出荷などそろって分岐点へ切り返した。

・新規受注 8、分岐点を回復し5ヵ月ぶり高水準>前月は−6
・出荷 ゼロ、5ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス2、
・稼働率 2、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月はゼロ
・在庫/最終財 27、分岐点乗せを維持>前月は20、分岐点乗せを維持

・雇用 12、2ヵ月連続で分岐点に乗せ直近で最高>前月はゼロ
・平均労働時間 7、4ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス3
・賃金 17、10月の水準に並ぶ>前月は6

・仕入れ価格 0.67%、5ヵ月ぶり高水準>前月は0.61%
・販売価格 0.27%、3ヵ月ぶり高水準<前月は0.22%

6ヵ月先見通しはまちまち。出荷をはじめ雇用、設備投資、仕入れ価格などが前月から上昇したものの、新規受注や稼働率、平均労働時間は低下した。

——米11月耐久財受注は肝心要のコア資本財が減少しただけでなく、受注も出荷もそろって前月分が大幅に下方修正されておりヘッドラインの数字よりいただけない内容でした。おかげで10-12月期GDPへの楽観度が後退。アトランタ連銀の成長予想が引き下げられるはずです。リッチモンド連銀製造業景況指数は明るい材料を提供したとはいえ、フィラデルフィア連銀製造業景況指数など再び低下しており、原油安再燃とドル高地合いが続く限り楽観視できませんね。

(カバー写真:darkday/Flickr)

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