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1月FOMCを控え、エコノミストはこう読む

by • January 24, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2949

January FOMC, Status Quo Or Vertigo?

1月第3週の後半、米北東部は豪雪に見舞われました。

少なくとも24日の朝までに死者19名を出し、23日午後2時30分に外出禁止令が発動されたニューヨーク市では26.8インチ(68cm)の積雪と観測史上で2番目を記録。ワシントンD.C.でも、60cmに達したといいます。

NY市では路駐する車がそれぞれ、雪に埋もれそうになっています・・。
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(出所:R.S and My Big Apple NY)

降り積もった雪が溶け交通事情が正常化するかどうかは別として、米連邦公開市場委員会(FOMC)が26−27日に開催されます。当サイトバロンズ誌でも指摘したように、3月の追加利上げ織り込み度は2015年12月末の50%超えから30%付近まで低下。当然、1月に政策を変更するとの予想は皆無といって過言ではありません。

金融市場をボラティリティが牙を剥き、中国をはじめエマージング国経済に垂れ込める暗雲が忍び寄り、原油安は底打ちの期待も空しく2003年以来の水準まで沈むなか、はたして声明文でハト派寄りなトーンへシフトし3月利上げの可能性に蓋をするのでしょうか?

NY連銀のダドリー総裁は低インフレへの警戒を残しつつ米経済見通しに変化はないと述べた一方、2015年12月に利上げを決断した当時、投票メンバーを担ったアトランタ連銀のロックハート総裁は3月利上げに「十分な経済指標がそろっていない可能性」について言及していました。同じく2015年投票メンバーだったシカゴ連銀のエバンス総裁は、年4回以下にすべきと主張。セントルイス連銀のブラード総裁は年4回の利上げを支持しつつ、原油安が与える金融政策の影響に触れたほかインフレ警戒を表明しタカ派から軸足を移す気配を漂わせます。フィッシャーFRB副議長や2015年投票メンバーで均衡実質金利の研究で知られるサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁とは、対照的です。

エコノミストは、どのようなシナリオを描いているのでしょうか?以下は、エコノミスト諸氏の見解を抄訳したものです。

▽JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコミスト(3月利上げ派)

経済・金利見通しの公表およびイエレンFRB議長の会見を予定しないFOMCで注目の声明文には、フォワード・ガイダンスを変更しないと見込む。経済指標次第の姿勢を貫くほか、目標値から下方向へ乖離するインフレに配慮した表現にとどめるだろう。冒頭の景気判断に関するパラグラフでは、米10−12月期国内総生産(GDP)速報値の発表前だが経済減速を反映した内容へ。2015年9月声明文に挿入した「足元の世界経済および金融動向(recent global economic and financial developments)」へのリスクという文言は、再登場しうる。通常、FOMC声明文では文言を頻繁に出し入れすれば失敗とみなされるが、柔軟に文言を操ることで迅速に情勢変化を捉えるという意味で合理的だ。こうした変化が実現したとしても経済・金利見通しが公表されない上、声明文で(いつ利上げするかといった)政策の方向性を明示しないだけにFOMC声明文の流れを受けて3月16−17日開催のFOMCで利上げの可能性がなくなったと判断するのは時期尚早だろう。

▽モルガン・スタンレーのエレン・ゼントナー米主席エコノミスト(3月据え置き派)

マーケットは、4回の利上げに相当するような引き締め環境にある。5年先5年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)はリスク・オフ相場を受けて1.53%と過去最低を更新し、インフレ連動債はディスインフレ環境を示唆する。米経済は減速しており、当方は米10−12月期GDPを±0%と予想。Fedは金融・経済の動向を認識する一方、全体的にバランスを取った内容にとどめるだろう。3月FOMCで据え置きを決断するか否かは市場の想像に任せ、2月10日に予定する米下院の金融サービス委員会向けの議会証言でイエレンFRB議長が調整してくるのではないか。ただ9年半ぶりの利上げに踏み切った12月FOMCの議事録では「際どい決断(close call)」だったと明記され、3月利上げへの障害は大き過ぎると判断する。

さて、2016年FOMCのタカハト表は以下の通り。
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(JPモルガンやバークレイズを参照しMy Big Apple NY作成)

今年の顔ぶれは、タカハトがうまい具合にミックスされています。タカ派がリッチモンド連銀総裁ただ一人だった2015年の顔ぶれとは、様相を異にします。セントルイス連銀のブラード総裁が軸足を移しつつあるので、今年の投票メンバーもハト派優勢になる可能性を残しますけどね。

(カバー写真:Valerie Hinojosa/Flickr)

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