S&ED, RQFII And MSCI.. Read Between The Lines.
そろそろ、 モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)が年に一度行う査定結果を発表する頃ですね。中国本土の人民元建てA株は、念願の新興国株式指数組み入れを果たすのでしょうか?
今年の米中戦略経済対話(S&ED)を振り返ると、可能性は濃厚に見えます。中国人民銀行の易綱・副総裁が発言したように、本土A株や債券の人民元建て投資を承認する人民元適格海外機関投資家(RQFII)制度において、米国の機関投資家に2500億元(約4兆円)の投資枠を付与する方針を決定しました。本土への資金呼び込みが狙いなのは、周知の通り。米国に付与される投資枠は、香港に次ぐ規模です。
この見返りこそ、中国本土の人民元建てA株を新興国株式指数組み入れではないでしょうか?2015年にMSCIが採用見送りを決定し、中国株急落の引き金を引いたことは記憶に新しい。
週足チャート、6月でピークアウトしてから急落を迎えました。
(出所:Stockcharts)
米5月雇用統計の影響もあって米連邦公開市場委員会(FOMC)直前に相場が荒れるなか、仮にイギリス人が国民投票でBREXITを選択すればマーケットにボラティリティの嵐が直撃しかねません。ここで、MSCIが中国A株の採用をアナウンスすればリスク・オン相場への転換が図れる期待が募る。米国の機関投資家のRQFIIで太っ腹な投資枠を与え本国への資金流入を呼び込みつつ、米国の譲歩を引き出した駆け引きに見えて仕方ありません。S&EDの経済対話では昨年に続く措置とはいえ、両国が金融市場の安定を確約していましたしね。
【追記】
筆者が配信した日に、MSCIは再び組み入れにノーを突きつけましたね。中国株急落時、当局が相次いで取引規制を打ち出したことが脳裏によぎったのでしょうか。中国のRQFII付与でも我関せず、MSCIは組み入れた場合に中国株の比率が40%以上に達する場合のリスクを汲み取ったのかもしれません。
(カバー写真:Lain/Flickr)
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