Better Personal Spending Draws Better Picture For Q2 Growth.
米5月個人消費支出は前月比0.4%増と、市場予想に並んだ。2009年8月以来の高水準を果たした前月の1.1%増(1.0%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、16ヵ月連続で増加した。前年比は3.7%増と、2014年11月以来の水準へ加速した前月の4.1%増から鈍化している。実質の個人消費は4月に続き前月比0.3%増と、市場予想の0.2%増を上回った。前月の0.8%増(0.6%増から上方修正)には届かなかったものの、堅調な流れを保った。個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。
・耐久財 0.35%増、前月の2.04%増と合わせ2ヵ月連続で増加
・非耐久財 0.60%増、前月の1.74%増を下回り3ヵ月連続で増加
・サービス 0.38%増、前月の0.71%増と合わせ2ヵ月連続で増加
耐久財は、新車販売台数が前月の年率1700万台割れから大台を維持したため増加を続けた。非耐久財はガソリン価格の値上がりを支えに、こちらも増加。サービスも気温上昇に合わせ外出が増えたとみられ、回復基調をたどる。
米5月個人所得は前月比0.2%増と、市場予想の0.3%増に届かなかった。14ヵ月連続で増加している。前年比は4.0%増と、前月の4.4%増以下に。2015年7月以来の強さをみせた3月の4.6%増から、鈍化しつつある。可処分所得は前月比で0.2%増と、前月の0.5%増を下回った。支出が所得の伸びを超えたため貯蓄率は5.3%と、前月の5.4%から低下した。なお3月は6.0%と、ブッシュ減税終了目前で賞与などが大幅増となった2012年12月以来の高水準に及んだ。
個人消費の低迷に反し、個人所得は順調で貯蓄率が上昇。
(作成:My Big Apple NY)
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金/所得 0.2%増、前月の0.5%増と合わせ3ヵ月連続で増加(民間が0.2%増と前月の0.6%増を下回り、サービスが0.1%増と前月の0.5%増から鈍化。財生産業も0.3%増と、前月の0.7%増から減速しながら3ヵ月連続で増加。製造業も0.3%増と、前月の0.9%増から鈍化し3ヵ月連続で増加)。
・不動産収入 0.1%増、前月の0.7%増を下回りつつ2ヵ月連続で増加(農場が2.1%増と2ヵ月連続で増加したものの、非農場が±0%と前月の0.7%増から反転)
・家賃収入 0.5%増、前月の0.5%増に続き27ヵ月連続で増加
・資産収入 0.4%増と前月の0.4%増を含め3ヵ月連で増加(配当が0.8%増と前月の0.7%増を含め3ヵ月連続で増加、金利収入は0.2%増と5ヵ月連続で増加)
・社会福祉 0.2%増、前月の0.4%増と合わせ増加基調を維持(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.5%増と7ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.4%増と増加トレンドを維持、失業保険は2.5%減と3ヵ月連続で減少)
・社会補助 0.2%増、前月の0.3%増を上回りつつ少なくとも18ヵ月連続で増加
米5月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.2%上昇し市場予想と前月に並んだ。前年比は0.9%上昇し、市場予想の1.0%以下に。前月の1.1%からも鈍化した。コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇し、市場予想と一致。前月の0.1%は上回った。コアPCEデフレーターの前年比は市場予想及び前月と同じく1.6%の上昇となり、2014年8月以来の高水準だった2月の1.7%から鈍化した水準を維持した。コアPCEは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、PCEと含め、「2%」割れはそろって2012年5月以来となる。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受けて「4月分の上方修正もあり、米4~6月期個人消費は前期比年率4.0%増から4.5%増」へ引き上げた。貯蓄率の低下に表れたように、1~3月期に抑制された支出が回復しており「米4~6月期国内総生産(GDP)予想値2.0%増を上回る可能性が出てきた」と結んでいる。
アトランタ地区連銀は1日、米4-6月期GDP予想値を従来の2.6%増から2.7%増へ上方修正した。
――4~6月期が3%近い成長を果たしても、2015年4~6月期の3.9%増には届きません。また貯蓄率の低下に伴い、7~9月期に個人消費の反動が表れるリスクをはらみます。ガソリン価格の上昇も自動車をはじめ支出を押し下げる可能性は否定できないほか、BREXITの影響も気掛かり。米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月に向け利上げを地ならししてくるかは疑問の余地が残ります。
(カバー写真:Firelknot/Flickr)
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