NFIB Small Business Optimism Hits Highest In The Year.
米6月NFIB中小企業楽観度指数と米5月卸売在庫をおさらいしていきます。
米6月NFIB中小企業楽観度指数は94.5となり、市場予想の93.9並びに前月の93.8を上回った。年初来で最高だったものの、2006年10月以来の高水準でありリセッション前の平均値100を回復した2014年12月の100.4でピークアウトした状況が続く。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、堅調な結果を受けながら「中小企業の楽観度は下振れしなかったことは評価に値するがメンテナンス・モードにあり、ほぼ中小企業の成長はほぼ横ばいの状況」と指摘。好転する兆しは見えず「経済成長は雨が降らない程度で曇り空模様である」と慎重な認識を示した。
楽観度指数、リセッション前の平均値を回復した後は伸び悩み。
内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は、3ヵ月連続で8項目だった。今回は「求人件数」や「設備投資」が前月を上回ったものの「賃上げ見通し」、「雇用を増加させる」が前月以下に終わった。一方で、「経済が良くなる」はマイナス幅を縮めた。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」29%→ 前月の27%から低下、6ヵ月平均は28%
「設備投資を拡大する」26%→前月の23%から上昇、6ヵ月平均は25%
「賃上げ見通し」14%→前月の15%から低下、6ヵ月平均は15%
「雇用を増加させる」11%→ 前月の12%から低下、6ヵ月平均は11%
「事業拡大に良いタイミング」8%→ 前月で変わらず、6ヵ月平均は8%
「販売価格の上昇」2%→前月の1%から上昇、6ヵ月平均は−2%
「売上の拡大を予想」2%→ 前月の1%から上昇、6ヵ月平均は1%
「在庫を増加させる」−3%→ 前月の−1%から悪化、6ヵ月平均は−1%
「在庫満足度」−4%→ 前月で変わらず、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和する」−6%→ 前月と変わらず、6ヵ月平均は−6%
「経済がより良くなる」−9%→ 前月の−13%から改善、6ヵ月平均は−17%
「黒字トレンドにある」−20%→ 前月で変わらず、6ヵ月平均は−20%
――英国民投票で欧州連合(EU)脱退が過半数を獲得したものの、米株安が一時的だったほか年内利上げの可能性が後退しており、中小企業のマインドは堅調です。米経済見通しはマイナス9%と、2015年6月以来で最少でした。米経済見通しに反し、雇用増加見通しに加え賃金も伸び悩み中。米6月雇用統計は労働市場が順調に拡大している状況を確認したものの、成長の46%を担う中小企業の雇用は少なくとも増加ペースが加速する気配は感じられません。
▽米5月卸売在庫、市場予想以下で石油以外が弱い
米5月卸売在庫は前月比0.1%増となり、市場予想の0.2%増を下回った。2015年6月以来の高い伸びを示した前月の0.7%増(0.1%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、3ヵ月連続で増加。石油を除いた場合は±0%となり、前月の0.7%増から横ばいに反転している。内訳をみると、耐久財が0.1%増と前月を含め2ヵ月連続で増加。そのうち機械が0.5%増と2ヵ月連続で増加し、コンピューターは1.9%増と減少基調にブレーキを掛けた。対して、自動車が1.9%減と2ヵ月連続で減少した。非耐久財は0.2%増と、前月の1.6%増と合わせ3ヵ月連続で増加。薬品が3.6%減と3ヵ月ぶりに減少、食品も0.3%減と3ヵ月連続で減少したが、石油関連が支えた。
卸売売上高は0.5%増と、市場予想に並んだ。前月の0.7%増(0.6%増から上方修正)を含め、3ヵ月連続で増加している。石油を除く場合は±0%と、前月の0.7%増から横ばいに転じた。耐久財が0.6%増と前月に続き増加、そのうちコンピューターが3.8%増と前月の減少を打ち消した。もっとも、自動車が1.2%減、機械も0.1%減とそれぞれ減少に転じた。非耐久財は0.5%増となり、3ヵ月連続で増加。石油関連が原油先物価格の戻りを受け5.6%増と3ヵ月連続で増加したほか、薬品も0.3%増と3ヵ月連続でプラスに。食品のみ、0.2%減と3ヵ月連続で減少した。在庫相当は1.35ヵ月となり、前月の1.36ヵ月に届かず5ヵ月ぶりの水準へ短縮した。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受けて米4~6月期GDP予想を「従来の2.4%増から2.6%増」へ引き上げた。
――米5月卸売在庫により、7月29日公表の米4~6月期GDP速報値に再び強気な見方が優勢となっています。もっとも、このブログで何度も申し上げていますがこちらはBREXIT前のお話。S&P500が7月11日、ダウが7月12日に最高値を更新しておりBREXIT懸念はどこへやらといった感がありますが、夏はまだ始まったばかり。夏季休暇で商いが薄くなるマーケットでは上滑りも下滑りもしやすいものです。
(カバー写真:A. Golden/Flickr)
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