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米4~6月上級融資担当者、商工ローンの融資基準を厳格化

by • August 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2483

Lenders Tighten Lending Standards  For C&I and Commercial Real Estate.

米連邦準備制度理事会(FRB)が四半期に一度の上級融資担当者調査を発表した。4~6月期分の対象は米国の国内銀行71行、外銀は23行。今回の調査で銀行は、商業・産業向け(商工)融資および商業不動産向けの貸出基準は厳格化していた。反対に、消費者向け融資は概して緩和した。以下は、カテゴリー別の詳細。

▽商業・産業向け融資(年間売上5000万ドル以上)
・大幅に引き締め 0行 0%
・幾分引き締め 7行 10%
・概して変わらず 61行 87.1%
・幾分緩和 2行 2.9%
・大幅に緩和 0行 0%

▽商業・産業向け融資(年間売上5000万ドル以下)
・大幅に引き締め 0行 0%
・幾分引き締め 5行 7.0%
・概して変わらず 64行 90.1%
・幾分緩和 2行 2.8%
・大幅に緩和 0行 0%

商業・産業向け融資基準、引き締め傾向を維持。

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(出所:FRB)

▽商業・産業ローン、大手・中堅規模企業の需要
・非常に強い 0行 0%
・幾分強い 16行 22.9%
・概して変わらず 41行 58.6%
・幾分弱い 11行 15.7%
・非常に弱い 2行 2.9%

▽商業・産業ローン、小規模企業の需要
・非常に強い 0行 0%・幾分強い 13行 19.4%
・概して変わらず 44行 64.7%
・幾分弱い 10行 14.7%
・非常に弱い 1行 1.5%

▽商業不動産への融資
・大幅に引き締め 2行 2.9%
・幾分引き締め 22行 31.4%
・概して変わらず 44行 62.9%・幾分緩和 2行 2.9%
・大幅に緩和 0行 0%

▽政府機関保証を受けた住宅ローン
・大幅に引き締め 0行 0%
・幾分引き締め 0行 0%
・概して変わらず 54行 88.5%
・幾分緩和 7行 11.5%
・大幅に緩和 0行 0%

▽消費者向け自動車ローン
・大幅に引き締め 1行 1.6%
・幾分引き締め 7行 11.3%
・概して変わらず 51行 82.3%
・幾分緩和 3行 4.8%
・大幅に緩和 0行 0%

消費者向け融資、住宅ローンではサブプライム層の厳格化が顕著に(黄色の棒グラフ)。

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(出所:FRB)

――利上げ開始後、銀行は商業・産業向け融資基準をやや引き締める結果となりました。一方でローン需要は4.3%と、2015年10~12月期のマイナス11.1%や1~3月期のマイナス8.7%から漸くプラス圏を回復。国内総生産(GDP)のうち企業の設備投資を表す機器投資や構造物投資は4~6月で確認した通り弱含みましたが、下半期にかけ改善するサインを点灯させています。

商業不動産向けの融資基準は右肩上がりで厳格化しており、建設・都市開発の融資基準を厳格化させたとの回答は31.4%と2013年1~3月期以来で最高に。商業不動産の需要も1~3月期の8.5%で底打ちした後で再加速の兆しを見せ、16.2%に上昇しています。

消費者向けローン需要はクレジットカードが9.6%と3期ぶりに上向き、自動車ローンも前期から1.9%ポイント低下したとはいえ16.1%と3期連続で2桁を維持しました。新車販売台数が過去最高を記録した2015年の平均値9.9%を超えており、消費の回復を期待させる内容と言えるでしょう。雇用が安定的に推移し金融市場に突発的なボラティリティが直撃しなければ、米国のGDPは個人消費に支えられ7~9月期に2%台を回復できそうです。

(カバー写真:Michael W. May/Flickr)

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