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米6月個人消費は予想超えも、所得が鈍く課題残す

by • August 3, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1486

Personal Spending May Slow Down As Income Growth Fades.

米6月個人消費支出は前月比0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回り5月の数値に並んだ。2009年8月以来の高水準を果たした4月の1.0%増には届かずも、3ヵ月連続で増加。米4~6月期国内総生産(GDP)速報値で明らかになった通り力強い伸びを遂げた。前年比では3.7%増と、前月の3.5%増から加速した。2015年の平均値に並ぶ。実質の個人消費は前月比で0.3%増と、市場予想の並びに5月の0.2%増(0.3%増から下方修正)通りだった。個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。

・耐久財 0.28%減、前月の0.41%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・非耐久財 0.66%増、前月の0.40%増を超え4ヵ月連続で増加
・サービス 0.46%増、前月の0.48%増と合わせ3ヵ月連続で増加

耐久財は、新車販売台数が6月に4ヵ月ぶりの年率1700万台割れを示したため減少した。非耐久財はガソリン価格の値上がりを支えに、増加。サービスは気温上昇に合わせ冷房需要が高まり、回復基調をたどる。

米6月個人所得は前月比0.2%増と5月に続く伸びとなり、市場予想の0.3%増に届かなかった。4ヵ月連続で増加している。もっとも前年比は2.7%増と5月の2.9%増以下だった上に、2014年1月以降の増加トレンドで最少の伸びにとどまり鈍化傾向が鮮明となった。可処分所得は前月比で0.2%増と4ヵ月連続で増加したが、5月と変わらず。支出が所得の伸びを超えたため貯蓄率は5.3%と、前月の5.5%を下回り2014年2月以来の水準へ鈍化した。

個人消費の低迷に反し、個人所得は順調で貯蓄率が上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金/所得 0.3%増、前月の0.2%増と合わせ4ヵ月連続で増加(民間が0.3%増と前月の0.2%増を超え、サービスが0.5%増と前月の0.1%増から加速。ただし財部門(製造業、鉱業、建設)が0.4%減と、前月の0.4%増を下回り3ヵ月ぶりに減少。製造業が0.5%減と3ヵ月ぶりに減少し、た)。
・不動産収入 0.6%増、前月の±0%から反転(農場が1.8%増と3ヵ月連続で増加し、非農場は0.6%増と前月の0.1%減から反転)
・家賃収入 0.4%増、前月の0.2%増に続き28ヵ月連続で増加
・資産収入 0.5%減と前月の0.1%増を下回り4ヵ月ぶりに減少(配当が0.7%減と3ヵ月ぶりに減少したほか、金利収入も0.3%減と6ヵ月ぶりに減少)
・社会福祉 ±0%、前月の0.2%増と合わせ増加基調を維持(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.2%増と8ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.4%増と増加トレンドを維持、失業保険は0.3%減と過去4ヵ月で3回目の減少)
・社会補助 0.3%増、前月の0.3%増を合わせ少なくとも19ヵ月連続で増加

米6月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.1%上昇し市場予想と前月値の0.2%に及ばなかった。前年比は0.9%上昇し、市場予想と前月値に並ぶ。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想と一致。前月の0.2%は下回った。コアPCEデフレーターの前年比は市場予想と同じく1.6%の上昇となり、4ヵ月続けて2014年8月以来の高水準だった2月の1.7%から鈍化した水準を維持した。コアPCEは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、PCEと含め、「2%」割れはそろって2012年5月以来となる。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受けて「個人所得は賃金と家賃が堅調だったが、投資収入が足を引っ張った」と評価した。個人消費をめぐっては「6月の数字は支出に活発な様相をみせており、7~9月期にしっかりした伸びが期待できる」と予想。7月から9月に「実質の個人消費が前月比0.2%ずつ増加すれば、GDPの個人消費は前期比年率2.7%増と試算できる」とし、4~6月期から鈍化しつつも205年10~12月期平均の2.6%増を超えてくると見込む。

――エコノミストの間では、個人消費に着目し7~9月期GDPに比較的明るい見方が並んでいました。モラン氏のように、個人消費が2.5%超えを期待する声が増えています。問題は、貯蓄率の低下と所得の伸び。賃金・所得ではサービスが力強かったとはいえ財部門が弱く、原油安に歯止めが掛かったにもかかわらず製造業を中心に減少していました。雇用統計・非農業部門就労者数のうち財部門が14%に過ぎずサービスが86%と圧倒的多数を占めるとはいえ、製造業などは賃金がサービスより高い職種であり個人消費にもたらす影響が意識されます。原油先物が2014年半ばから下落しドル高に振れた結果、2015年以降の成長率の平均値は1.6%増とプラス成長に転じた2010年以降の平均値2.1%増以下であり、引き続き財部門の動向は無視できません。

(カバー写真:Rachel Knickmeyer/Flickr)

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