Producer Price Index Unexpectedly Falls In July.
米7月生産者物価指数と米6月企業在庫をおさらいしていきます。
米7月生産者物価指数(PPI)は前月比0.4%低下し、市場予想の0.1%の上昇に反する結果となった。2015年5月以来の高水準だった前月の0.5%の上昇もほぼ打ち消し、4ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ。コアPPIは前月比0.3%低下し、市場予想の0.2%の上昇から転じた。5ヵ月ぶりの高水準だった前月の0.4%の上昇に、遠く及ばず。
PPIは前年同月比で0.2%低下し、市場予想の0.2%の上昇に反しマイナスに落ち込んだ。2014年12月以来の水準へ加速した前月の0.3%の上昇から反転している。コアPPIも0.7%の上昇にとどまり、市場予想並びに前月の1.3%から伸びをほぼ半減させた。
PPI、コアと合わせ原油先物につれて失速。
内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.3%低下し前月分の上昇(0.4%)をほぼ相殺した。サービスのうち3割を占める貿易が1.3%低下し前月の0.7%の上昇から大幅減速、3ヵ月ぶりに低下している。1割弱を占める輸送・倉庫も0.1%の上昇にとどまり、前月の0.5%上昇から鈍化。サービスのうち6割を占めるその他サービスも0.2%上昇し、前月の0.4%の上昇から鈍化した。
モノは0.4%低下し、過去4ヵ月連続でプラスを示すなかで最大の伸びを遂げた前月の0.8%から反落した。エネルギーが1.0%低下し、前月の4.1%の上昇から転じ5ヵ月ぶりにマイナスに反転。食品も1.1%低下し、3ヵ月ぶりに反落するなどそろって弱含んだ。
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン主席エコノミストは結果を受け「食品、エネルギー、コアそろって低下した」と振り返る。モノをめぐっては「エネルギーと食品を除いた場合も±0%にとどまり、建設コストが0.6%低下したことが響いた」と指摘。前年比でも「12ヵ月平均を下回る」とし、インフレ圧力の後退を示唆した。
――原油先物の上昇一服に加え、食品その他が落ち込み予想外に低下しました。7月に入り、米6月雇用統計や米6月小売売上高など力強い経済指標を背景にドル高が再燃した影響も想定されます。いずれにしても、米7月輸入物価指数では食品・飲料が押し上げた程度であり、ディスインフレ基調が再来してきたリスクは否定できそうにありません。
▽米6月企業在庫、売上高とともに市場予想超え
米6月企業在庫は0.2%増となり前月と変わらず、市場予想の0.1%増を上回った。4ヵ月連続で増加している。内訳をみると、小売が0.5%増と前月の0.5%増と合わせ2ヵ月連続で力強い伸びを達成。卸売も0.3%増と、前月の0.2%増を含め4ヵ月連続で増加した。製造業のみ0.1%減と、減少トレンドをたどる。企業売上高は前月比1.2%増と前月の0.3%増に続きプラスを維持しただけでなく、4ヵ月連続で増加したなかで最大の伸びを示した。在庫相当は売上が在庫の伸びを上回ったため、2ヵ月連続で1.40ヵ月を経て1.39ヵ月と直近で最短となった。
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「過去分の修正が小幅だったため、米4~6月期国内総生産(GDP)改定値の予想を従来の1.2%増で据え置く」とまとめた。米7~9月期GDPの予想値は、米7月小売売上高を受けて2.0%増下方修正した1.8%増で据え置いた。
――結局、アトランタ連銀の米7~9月期GDP予想は従来の3.7%増から3.5%増、NY連銀も従来の2.6%増から2.4%増へ下方修正したものの、共にエコノミスト予想平均を上回る数値となります。エコノミスト予想平均が上振れ傾向が高いだけに、今回はどちらの予想に軍配が上がるのか。基本的にアトランタ連銀はGDPに取り込まれる経済指標に合わせ修正していくので、下振れ余地がくすぶります。
(カバー写真:TruckPR/Flickr)
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