Richmond Fed Manufacturing Index Turns Negative Again.
米8月リッチモンド連銀製造業景況指数、米8月マークイット製造業PMIをおさらいしていきます。
米8月リッチモンド連銀製造業景況指数は-11となり、市場予想のマイナス6を下回った。分岐点を回復し5ヵ月ぶり高水準だった前月の10から滑り落ち、マイナス圏へ沈んだ。2013年1月以来の低水準となる。内訳をみると、前月に分岐点を回復した新規受注や出荷、受注残、稼働率、週平均労働時間、受注残が軒並みマイナス圏へ戻した。ただ雇用は前月値を上回り、4ヵ月ぶりの水準を回復している。
・出荷 マイナス14、分岐点割れへ戻し2013年1月以来の低水準<前月は7、6ヵ月平均は2.8
・新規受注 マイナス20、分岐点割れへ戻し2009年4月以来の低水準<前月は7、6ヵ月平均は1.3
・稼働率 マイナス19、分岐点割れへ戻し2013年1月以来の低水準<前月は3、6ヵ月平均はマイナス0.5
・在庫(最終財) 24<前月は26、6ヵ月平均は19.8
・雇用 7、4ヵ月ぶりの水準を回復>前月は6、6ヵ月平均は5.7
・平均労働時間 マイナス4<前月は1、6ヵ月平均はマイナス2.3
・賃金 21、2014年5月以来の高水準>前月は14、6ヵ月平均は16.7
・仕入れ価格 0.96>前月は0.64、6ヵ月平均は1.0
・販売価格 0.26<前月は0.48、6ヵ月平均は0.5
6ヵ月見通し指数は逆に好転が優勢。新規受注や出荷、稼働率はそろって2桁の上昇を達成。雇用や平均労働時間が伸びた一方、平均時間や設備投資は低下した。
▽米8月マークイット製造業PMI速報値、速報値と変わらず15年9月以来の高水準
米8月マークイット製造業PMI・速報値は52.1となり、市場予想の52.6に届かなかった。2015年9月以来の水準へ上昇した前月の52.9も下回っている。金融危機以前の平均値54.1への回復が、また遠のいた。内訳をみると、生産が53.9と前月から若干ながら0.1ポイント上昇。輸出受注も前月の52.6から53.1へ上向いた。ただし新規受注は52.7と、前月の54.2に届かず。雇用も前月の53.3から50.6へ振れ、4ヵ月ぶりの低水準だった。
マークイット、原油安上昇一服。
マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「製造業PMIは8月に低下したが、7~9月は年初来で最大の伸びとなる見通し」と評価した。米7~9月期国内総生産(GDP)にも寄与すると分析し、「輸出受注の伸びは過去2年間で最大だった」と好感する。もっとも「全体的な受注動向の低下は国内需要に影を投げ掛けており、インフレも低水準のまま」と指摘。Fedは経済改善を受け止めつつ、「経済の基盤が力強さを増すと想定される12月まで利上げを待つだろう」と予想した。
――米8月リッチモンド連銀製造業景況指数と米8月マークイット製造業PMIはそろって下振れしました。原油先物が7月後半から8月前半にかけ41ドル台まで下押しした影響が現れた模様。特にリッチモンド連銀はシェール田を有するノースカロライナ州や油田やガス田を有するバージニア州を含む事情もあり(ちなみに雨民主党副大統領で元バージニア州知事のティム・ケイン上院議員は大陸棚でのエネルギー生産を承認すべきと主張した経歴を持つ)、製造業活動は引き続き原油先物に振れやすい脆弱さを秘めていると言えそうです。
(カバー写真:Gene/Flickr)
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