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米8月消費者信頼感、五輪効果もあって約1年ぶりの高水準

by • August 31, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2155

Consumer Confidence Surges To One-Year High.

米8月消費者信頼感指数、米6月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。

米8月消費者信頼感指数は101.1となり、市場予想の97を上回った。前月の97.3(96.7から上方修正)を超え、2015年9月以来の高水準。内訳をみると、見通し指数が86.4と前月の82.0から上昇しヘッドラインと同じく2015年9月以来のレベルに達した。現況指数は123.0と、前月の118.8と直近で最高となる。米7月雇用統計が強含み労働市場への自信が深まったほか、ガソリン価格の下落、過去最高値を更新した米株がセンチメントに寄与したとみられる。さらにメダルを乱発したリオ五輪での効果も考えられよう。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「約1年ぶりの水準へ上昇し、ビジネスや家計、所得に至るまで改善した」と振り返る。その上で成長率は今後数ヵ月でゆるやかに上向いていくだろう」と予想した。

消費者信頼感指数、リセッション前の平均値103.5に接近。

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(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)

今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは、2.6だった。前月の0.9に続きプラス圏を維持しただけでなく、2008年1月以来の高水運を達成している。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」30.0%→前月の27.3%から上昇、前年同月は23.7%
「悪い」18.4%→前月の18.5%から低下、前年同月は17.8%

労働市場については「豊富」と「困難」が上昇、DIは2ヵ月連続でプラス
「職が豊富」26.0%→前月の23.0%から上昇、前年同月は22.1%
「あまり職が豊富ではない」50.6%→前月の54.9%から低下、前年同月は56.2%
「職探しが困難」23.4%→前月の22.1%から上昇、前年同月は21.7%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇し「悪化する」が低下、ただ後者は1年前の水準を超えたままだ。
「良くなる」17.3%→前月の15.7%から上昇、前年同月は16.6%
「悪化する」11.1%→前月の12.4%から低下、前年同月は9.1%

6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下したが、「減少」が11ヵ月連続で「増加」を上回る
「雇用が増加する」14.0%→前月の13.9%から上昇、前年同月は13.7%
「雇用が減少する」17.0%→前月の17.7%から低下、前年同月は19.0%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下
「増加する」18.8%→前月の17.1%から上昇、前年同月は16.2%
「減少する」10.7%→前月の11.0%から低下、前年同月は9.8%
「変わらない」70.5%→前月の71.9%から低下、前年同月は74.0%

購入見通しは、7月に続き低金利を背景に自動車を除いて上昇した。住宅は6.4%と前月の5.1%から上昇し、直近で最高だった。主要機器は50.3%と、前月の49.3%を超え3ヵ月ぶりに50%乗せ。ただし、自動車は11.0%と前月の11.1%をわずかながら下回った。旅行見通しは50.4%と、前回の43.4%を超え直近で久々に過半数に至った。

――消費者信頼感指数は前述の通りガソリン価格の下落や米株最高値を更新を手掛かりに、急伸しました。NY連銀のダドリー総裁など、9月利上げに言及したにも関わらず、お構いなし。その上、リオ五輪で米国のメダル獲得数は121個と1984年のロサンゼルス五輪以来で最多を記録したため、お祭り気分が盛り上がったのでしょうか?

基本的に消費者信頼感指数と五輪は後者が発表された時期から振り返ると、特に大きな相関関係はありません。しかしソーシャルネットワークが発達し誰もが逐次メダル獲得数のニュースを入手するだけでなく、それを基に情報交換できるようになった2008年以降、比例関係にあります。

メダル獲得数が前回を上回ると、消費者信頼感指数が前月から上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

もちろん背景にある経済事情が大前提ですが、五輪効果もあながち無視できませんね。

▽米6月S&P/ケースシラー住宅価格指数、予想外に減速

米6月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.13%上昇の182.42となり、市場予想の5.10%を上回った。前月の5.25%(5.24%から上方修正)にも届かず。5%台の伸びを維持し3年2ヵ月連続でプラス圏を保ったものの、2015年8月以来の低い伸びにとどまる。季節調整済み・20都市別の前月比は0.07%の低下と、前月分(0.05%の低下から下方修正)を含め3ヵ月連続で低下。市場予想の0.10%のマイナスより弱い。

季調済みの前月比では、上昇した州が11都市と前月の12都市から減少した。トップは前月に続きオレゴン州ポートランドで0.69%、2位はフロリダ州マイアミが久々にランクインし、0.57%の上昇となる。3位はワシントン州シアトルで0.55%の上昇を示した。ワースト1位は常連の感があるイリノイ州シカゴで0.64%の低下、その他ジョージア州アトランタで0.58%の低下、3位は前回2位だったニューヨーク州NYで0.49%低下した。

――米連邦住宅金融局(FHFA)が発表する米6月住宅価格指数と同じく住宅価格の伸び悩みを示唆しつつあります。新築住宅販売件数中古住宅販売件数を振り返っても価格自体は鈍化の兆しが見えており、価格上昇に耐えきれなくなった購入者の需要鈍化を反映し住宅市場の過熱感が後退してきた余地を残します。

(カバー写真:Alistair Ross/Flickr)

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