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米10月ISM製造業景況指数、予想より強く雇用も分岐点を回復

by • November 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1975

ISM Manufacturing Index Rebounds With Employment Shows Growth.

米10月ISM製造業景況指数、米10月マークイット製造業PMI確報値、米9月建設支出をおさらいしていきます。

米10月ISM製造業景況指数は51.9 となり、市場予想の51.7 を上回った。前月の51.5を超え2ヵ月連続で分岐点に乗せ、3ヵ月ぶりの水準を回復。内訳をみると生産はじめ雇用、仕入れ価格が前月を上回った。ただし新規受注や在庫が弱く、製造業活動の改善に勢いが乏しい様子が浮き彫りとなっている。詳細は、以下の通り。

・新規受注 52.1、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は55.1、6ヵ月平均は54.3
・生産 54.6、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は52.8、6ヵ月平均は53.3
・雇用 52.9、4ヵ月ぶりに分岐点を回復<前月は49.7、6ヵ月平均は50.0

・在庫 47.5、16ヵ月連続で分岐点割れ<前月は49.5、6ヵ月平均は48.2
・新規輸出受注 52.5>52.0<前月は52.5、6ヵ月平均は52.6
・受注残 49.5、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月は45.5、6ヵ月平均は48.8

・仕入れ価格 53.0、2月以来の低水準を維持=前月は53.0、6ヵ月平均は57.3
・入荷時間 50.3、5ヵ月ぶりの分岐点割れ接近<前月は50.9、6ヵ月平均は51.9

ISMの雇用に合わせ、米雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の製造業も減少か。

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(作成:My Big Apple NY)

ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し「18業種のうち10業種で拡大した」と振り返り、前月の7業種から増加したことを報告、7月の11業種にあと一歩に迫った。全体的に「例外を除いて、良好な経済の下で売上が増加している」との考えも示し、前回より楽観寄りへシフトした格好だ。

▽米10月マークイット製造業PMI確報値、1年ぶりの高水準

米10月マークイット製造業PMI確報値は53.4となり、市場予想並びに速報値の53.2を上回った。前月の51.5も超え、1年ぶりの高水準。金融危機以前の平均値54.1に迫った。

クリス・ウィリアムソン主席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「国内の受容回復や輸出の売上を背景に生産活動を中心に幸先の良い四半期入りを果たした」と評価する。顧客の間で「在庫の積み上げを確認した」とも指摘。もっとも「米大統領選挙が終わるまで稼働率の引き上げにつながるような投資は手控え気味」とし、「雇用もコスト負担増への懸念から抑制気味」と懸念を残した。こうした背景を踏まえつつ、次回の利上げは「12月」を見込む。

ISMとマークイット製造業PMI確報は、そろって上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

――各連銀が発表する製造業景況指数はまちまちでしたが、米10月ISM製造業景況指数は順調に回復を遂げました。特に雇用は4ヵ月ぶりに分岐点を回復。米10月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の製造業の雇用が改善する期待が高まります。

▽米8月建設支出、公共が弱く前月比横ばい

米8月建設支出は前月比0.4%減の年率1兆1500億ドルとなり、市場予想の0.5%増に反する結果となった。前月の0.5%減(0.7%減から上方修正)を含め、2ヵ月連続で減少している。内訳をみると、住宅が0.4%増と3ヵ月ぶりに減少した前月の1.0%減から小幅改善。非住宅は0.9%減と3ヵ月連続で減少した。建設支出の前年比は0.2%減と、前月の0.3%減(速報値)に続きマイナスだった。

民間は0.2%減と、前月の0.4%減を含め2ヵ月連続で減少した。住宅が0.5%増と3ヵ月ぶりに減少し前月の1.2%減から反転したほか、非住宅も1.0%減と5ヵ月ぶりに減少に転じている。非住宅の内訳をみると11項目中、5項目で増加。8月の5項目(速報値ベース)以下となる。前月比の詳細は、以下の通り。

・教育 5.5%増
・輸送 0.6%増
・宿泊 0.3%増
・オフィス 0.4%減
・健康 1.0%減
・電力 1.4%減
・娯楽 1.5%減
・製造業 1.5%減
・通信 1.6%減
・商業 2.4%減
・宗教 5.1%減

公共は0.9%減と、前月の1.0%減を含め3ヵ月連続で減少した。過去6ヵ月間で5回目の減少を示す。住宅が9.9%減と前月の増加を打ち消したほか、非住宅は0.7%減と3ヵ月連続で減少した。非住宅のうち12項目中、5項目が増加し8月(速報値ベース)に並んだ。詳細は、以下の通り。

・健康 2.4%増
・電力 2.3%増
・保存開発 2.0%増
・高速道路/道路 0.9%増
・水道供給 0.4%増
・公共安全 0.9%減
・輸送 0.9%減
・教育 1.1%減
・オフィス 2.9%減
・娯楽 3.2%減
・汚水/廃棄処理 5.4%減
・商業 12.2%減

――米9月建設支出が弱含んだとはいえ、民間の住宅投資が大きく上方修正されており成長率にはプラスとなる見通しです。バークレイズは、米7~9月期国内総生産(GDP)速報値の2.9%増から3.0%増へ上方修正しました。

アトランタ地区連銀の米10~12月期GDP予想は2.3%増と、前回の2.7%増から下方修正されました。なおアトランタ地区連銀が今回、米7~9月期GDPを外した背景には米7月貿易収支をめぐる大豆輸入急増が挙げられます。基本的に同地区連銀は直近に発表された経済指標をベースに修正していきますから、米7~9月期GDP速報値が公表されるデータに近い数字を示す傾向が高い。従って米7月貿易収支の動向が反映しづらかったと考えられます。はたして米10~12月期GDP速報値では、雪辱を果たすのでしょうか。

(カバー写真:darkday/Flickr)

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