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中古住宅販売と新築住宅販売、10月は明暗分かれる

by • November 29, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1871

Existing Home Sales Surge While New Home Sales Fall.

10月の中古住宅販売件数と新築住宅販売件数、米9月住宅価格指数をおさらいしていきます。

全米リアルター協会(NAR)が発表した米10月中古住宅販売件数は年率560万件と、市場予想の544万件を超えた。前月の549万件(547万件から上方修正)を2.0%上回り、2ヵ月連続で増加するなか2007年2月以来の高水準。前年比では5.9%増となり、前月の0.6%増(速報値ベース)に続きプラスをたどる。

内訳をみると一戸建てが前月比2.3%増の499万件と、前月の488万件を超え2007年2月以来の500万件乗せに迫った。2ヵ月連続の増加となる。複合住宅は±0%の61.0万件で、一戸建てが牽引した格好だ。4大地域別では、2ヵ月連続で全て増加した。

在庫件数は前月比0.5%減の202万件と、減少に転じた。販売件数の伸びが在庫を上回ったため、在庫相当は前月の4.4ヵ月から4.3ヵ月と直近で最も短縮している。中央価格は前年比で6.0%上昇の23.22万ドル。前月比では1.3%下落し、4ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。売り出し平均期間は41日と、前月の39日を超え直近で最長となる。

買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 4%>前月は3%と直近で最低、前年同月は5%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 1%と最低を維持=前月は1%、前年同月は1%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 5%>前月は4%と直近で最低、前年同月は6%
・新規購入者 33%<前月は34%と直近で最低、前年同月は31%
・現金での購入者 22%>前月は21%と直近で最低、前年同月は24%
・住居用ではなく投資向け 13%<前月は14%、前年同期は13%

中古住宅販売件数、一戸建てが販売増加の立役者。

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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、今回の結果を受け「需給ひっ迫で購入できなかった買い手のペントアップ・ディマンドに支えられ」と振り返る。米経済が巡航速度で成長を続け労働市場では賃上げが期待されるなか、同氏は住宅市場に対し「低金利の恩恵もあって大いに拡大するだろう」と楽観的だ。

▽米10月新築住宅販売件数、減少に反転し4ヵ月ぶり低水準

米10月新築住宅販売件数は年率56.3万件と、市場予想の59.0万件に届かなかった。前月の57.4万件(59.3万件から下方修正)を1.9%下回り、4ヵ月ぶりの低水準。2008年1月以来の高水準を遂げた7月の62.2万件で一旦のピークアウトを迎えている。4大地域別では、1地域のみ増加し前月の3地域から減少。今回、IT企業を多く抱える西部のみ増加した。

新築住宅販売件数、前月から減少も高止まりを維持。

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(作成:My Big Apple NY)

在庫総数は24.6万件と、前月の23.9万件を2.9%上回り4ヵ月ぶりに増加した。在庫相当は販売件数が減少し在庫が増加したため、前月の5.0ヵ月か5.2ヵ月へ延びた。中央価格は30.45万ドルと前年比では1.9%上昇し、2ヵ月連続でプラスを示した。前月比では3.1%下落し、3ヵ月連続ぶりに下落。過去最高を記録した6月の32.16万ドルが遠ざかる。

――住宅販売件数は、新築と中古で明暗が分かれました。中古住宅の場合、10月の金利上昇を背景に比較的値ごろな中古住宅市場で駆け込み需要を確認したと言えるでしょう。購入者のシェアでは新規購入者が低下し現金購入者が上昇しており、賃貸需要あるいは転売をにらんだ投資家の存在が見え隠れします。価格自体は頭打ちの兆しをみせるなか、新規住宅販売件数が増加できなかった実情からも中古住宅販売の担い手がマイホーム取得者だったかは疑問が残ります。

(カバー写真:Ruin Raider/Flickr)

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