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米12月ミシガン大学消費者信頼感・速報値、2015年1月以来の高水準

by • December 12, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1994

Michigan Consumer Sentiment Surges After Trump Victory.

米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値と、米10月卸売在庫をおさらいしていきます。

米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は98.0と、市場予想の94.5を上回った。前月の93.8から急伸し、2015年1月以来の高水準を達成している。内訳をみると、現況指数が前月の107.3から112.1へ加速、2005年7月以来の水準へ上振れした。見通し指数も前月の85.2から88.9へ伸び、2015年1月以来の高水準を示す。調査期間中はトランプ新政権への期待感から過去最高値を更新する米株の勢いと歩調を合わせ、センチメントも上昇気流に乗った。

原油先物が石油輸出国会合(OPEC)と非加盟国の間で減産合意へ傾くなか、1年先インフレ見通しは2.3%と、前月の2.4%から低下した。5~10年先インフレ見通しも前月の2.6%から2.5%へ低下し、過去最低を更新した10月の2.4%に近づいた。

ミシガン大消費者信頼感、現況・見通し共に上昇

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(作成:My Big Apple NY)

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は今回の結果を受け「2004年以来で最高をつけた2015年1月に次ぐ水準」と評価した。足元のセンチメント好転は、「米大統領選によるもの」と判断し、新政権での経済政策に期待を寄せていることが分かるという。その上で「トランプ次期大統領は早期に成果を出す必要がある」とし、「遅々とした経済回復あるいは高過ぎる期待は、消費者信頼感の高水準維持に障害となりうる」との見解を寄せた。2017年の個人消費見通しを「2.5%増」で据え置き、10月速報値までの予想である2016~2017年で「2.6%増」を下回る水準を維持する。

・1年先の家計見通し指数 130>前月は126
向上する 40、直近で最高>前月は37
変わらず 46、直近で最低<前月は47
悪化する 10<前月は11

・所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は88<前月は89
所得の伸びが物価を上回る 24<前月は27と直近で最高
所得の伸び率と物価が同じ 38>前月は34と直近で最低
所得の伸びが物価を下回る 36<前月は38と3ヵ月ぶり低水準

・所得が1年先に拡大するとの回答
今回 51.3%、直近で最高>前月は48.6%

・1年先のビジネス見通し指数 120、直近で最高>前月は108
向上する 43、直近で最高>前月は31
変わらず 33、直近で最低<前月は41
悪化する 23=前月は23、4ヵ月ぶりの高水準

・1年先の失業率見通し指数 107、直近で最高>前月は97(低下を見込む場合に上昇)
低下する 29、直近で最高>前月は23
変わらず 48、直近で最低<前月は50
上昇する 22、直近で最低<前月は26

・1年先の金利見通し指数 39<前月は40
低下する 7、3ヵ月ぶり高水準>前月は5
変わらず 23、直近で最低>前月は28
上昇する 68、直近で最高>前月は65

・1年先のガソリン価格 13.5、直近で最低<前月は14.8(値上がりを見込む場合に指数は上昇)
下落する 5=前月は5
変わらず 47、4ヵ月ぶり高水準>前月は41
上昇する 48、4ヵ月ぶり低水準<前月は53

・自動車購入指数 140<前月は141
買い時 67=前月は67、3ヵ月ぶりの高水準
分からない 6<前月は7
買い時ではない 27>前月は26、4ヵ月ぶりの低水準

・住宅購入指数 148<前月は149
買い時 73<前月は74
分からない 2>前月は1
買い時ではない 25、直近最高近くを維持=前月は25

・主要機器 168、直近で最高>前月は162
買い時 80>前月は78
分からない 8>前月は6
買い時ではない 12、直近で最低<前月は16

――米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は、以下の興味深い点が浮き彫りとなりました。

1)1年先の家計見通し指数、所得が1年先に拡大するとの回答 1年先のビジネス見通し指数、1年先失業率見通し指数が上昇
2)所得と物価の伸び率に対する1−2年先の家計指数は低下
3)1年先の金利見通し指数、1年先のガソリン価格指数が低下しインフレ見通しの後退を示唆
4)購入見通し指数は主要機器のみ上昇も、高額商品である自動車と住宅は小幅低下

トランプ米大統領誕生を受けてセンチメントが上向き経済成長への期待感が現れるものの、ガソリン価格や金利上昇への懸念は後退しています。足元の信頼感の急伸が打ち上げ花火に終わるのか。購入見通しも高額商品が上昇していなかっただけに、消費者信頼感の急伸に反し財布の紐を大きく緩めるようには見えません。

▽米10月卸売在庫、耐久財・非耐久財そろって弱く減少

米10月卸売在庫は前月比0.4%減となり、市場予想と一致した。前月の0.1%増から転じ、過去4ヵ月間で3回目の減少を示す。原油を除く場合も0.4%減で、4ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。内訳をみると、耐久財が0.3%減と前月の0.6%減と合わせ2ヵ月連続で減少した。そのうち自動車が0.3%増だったものの、コンピューターと機械はそろって減少。特に機械は2ヵ月連続で減少している。非耐久財は0.4%減で、こちらも過去4ヵ月間で3回目の減少となった。

卸売売上高は前月比1.4%増と、3ヵ月連続で増加しただけでなく4ヵ月ぶりの高い伸びとなった。原油を除く場合は0.8%増へ鈍化する。結果、在庫は1.30ヵ月相当となり前月の1.32ヵ月より短いだけでなく直近で最短を示した。

――在庫が弱く、米10~12月期国内総生産(GDP)の在庫投資寄与度が低下する見通しです。ただし市場予想に並んだためアトランタ地区連銀は従来の予測値「2.6%増」で変更せず。予測値発表開始時点の3.6%増からかけ離れた水準で、2期連続の3%成長は難しくなってきました。

(カバー写真:Susan Sermoneta/Flickr)

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