Coin Dropping Into Piggy Bank

米Q3家計資産、株式など金融資産が押し上げ4期連続で過去最高

by • December 12, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1466

Household Net Worth Hits Record Again, Stock Wealth Climbs.

米連邦準備制度理事会(FRB)は8日、米7~9月期家計資産報告(旧・資金循環報告)を発表した。資料によると、家計・非営利団体の純資産は前期比1.8%増の90兆1,960億ドルだった。4期連続で過去最高を更新している。

家計・非営利機関の資産のうち、特に金融資産(貯蓄、株式、投資信託、債券、年金、保険などを含む)は前期比1兆1,606億ドル増の73兆1,412億ドルだった。株式は市場価値ベースで4,944億ドル増の24兆4,869億ドル(直接、間接保有含む)となっている。金融資産における株式の割合は33.5%と、少なくとも1年ぶりの水準を回復した。投資信託も45億ドル増の4兆5,108億ドルと、株式と合わせ増加。S&P500は期間中、米大統領選を前に米連邦公開市場委員会(FOMC)が9月利上げを手控えるとの観測が高まり、ダウなど過去最高値を更新した。

家計・非営利機関の預金残高は前期比67億ドル増の11兆1,260億ドルと、過去最高を更新した。民間での年金資産は3兆4,674億ドルと、4期連続で増加。2015年7~9月期に減少してから順調に増加し、最高を更新している。

家計部門の不動産資産は、住宅の値上がりや需要拡大を背景に前期比5,544億ドル増の26兆1,098億ドルとなり、全体を支えた。住宅ローンは9兆7,009億ドルで、ホーム・エクイティ(住宅の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた価値)は少なくとも16兆ドル付近と弾き出せる。住宅価格の値上がりを支えに不動産価値の61.5%を占め、前期の58.3%を超え景気回復サイクルで最高を更新した。

国内債務は、前期比年率5.8%増の47兆36億ドルだった。前期比年率では4~6月期の4.3%増から加速しつつ、少なくとも2010年以来で最大を記録した2015年10~12月期の7.7%増でピークアウトを確認している。詳細は、以下の通りで伸びは全て前期比年率。

>家計の債務は4.0%増の14兆6,338億ドルとなり、増加トレンドを維持
>消費者信用は7.5%増の3兆7,113億ドルと2010年10~12月期以来、24期連続で増加。米7~9月期家計債務で明らかになった通り、自動車ローンや学生ローンを中心に債務は増加中だ。
>住宅ローンは2.9%増の9兆7,009億ドルと、好調な住宅指標が示すように2012年7~9月期以来13期連続で増加した。
>非金融セクターの企業は2011年1~3月期以来、22期連続で増加し6.0%増の13兆4,089億ドルとなる。
>連邦政府は8.2%増の15兆8,924億ドルと、2010年1~3月期以来の高水準だった2015年10~12月期の18.5%増から減速を継続。
>州・地方政府は3期連続で増加し、0.8%増の3兆686億ドルだった。

家計・非営利団体の債務は可処分所得に対し105.6%と、前期と変わらなかった。家計の信用残高でみた場合は103.6%と、前期の103.9%から低下し2002年7~9月期以来で最低を更新。2007年のピーク時にあたる135%から大幅に低下した水準を保つ。

足元のGDPと個人消費は後者が伸びを牽引、家計のバランスシート改善が一因か。

asset
(作成:My Big Apple NY)

――家計の信用残高でみた可処分所得に占める債務の割合は低水準にあり、個人消費の余地が大きい可能性を示唆します。さらに米大統領選後に連日で米株が過去最高値を更新しており、金融資産が家計資産を大幅に引き上げそうです。問題は、金利上昇に耐えきれるのか。米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は2015年1月以来の高水準を遂げた割に住宅や自動車など見通し指数が小幅ながら低下しており、金利上昇がトランプ新政権への期待感を削いだ実態が浮かび上がります。

(カバー写真:Gerard Van der Leun/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.