16460396238_d97422308f_z

米11月個人消費は予想以下、貯蓄率も低下

by • December 27, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1601

Personal Spending Growth Rises Faster Then Income, Saving Rate Falls.

米11月個人消費支出は前月比0.2%増と、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.1%増を超え3ヵ月連続で増加したが、5ヵ月ぶりの高水準だった9月の0.7%増(0.5%増から上方修正)に届いていない。実質ベースでの個人消費は3ヵ月連続で前年同月比2.8%増となり、2015年9月以来の3%乗せには至らず。実質の個人消費は前月比で0.1%増と市場予想並びに前月値と変わらなかった。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。耐久財は新車販売台数が10月に2015年10月以来の年率1800万台乗せを達成した通り、増加に転じた。非耐久財は3ヵ月連続で増加。サービスは堅調なペースを維持した。

・モノは0.12%減、前月の1.12%増から転じ3ヵ月ぶりに減少
>耐久財 0.59%減、前月の1.11%増から転じ3ヵ月ぶりに減少
>非耐久財 0.14増、前月の1.39%増を含め4ヵ月連続で増加
・サービス 0.33%増、0.61%増、前月の0.47%増と合わせ7ヵ月連続で増加

米11月個人所得は前月比±0%と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の0.5%増(0.6%増から下方修正)に届かず、増加トレンドを8ヵ月で止めている。前年比は実質ベースで前年同月比2.1%増と前月の2.3%増に及ばなかっただけでなく。過去2014年1月以来の増加トレンドで最低にとどまった。可処分所得は前月比で±0%と増加トレンドを9ヵ月でブレーキを掛けている。支出の伸びが所得を上回ったため、貯蓄率は5.5%と前月の5.7%以下となっただけでなく2015年3月以来の低水準だった。

個人消費は足元、前年比で所得の伸びを上回り貯蓄率も低下気味。

ps
(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金/所得 0.1%減、前月の0.5%増から転じ9ヵ月ぶりに減少(民間が0.2%減と前月の0.6%増から反転し特に財部門(製造業、鉱業、建設)が0.8%減と弱い。サービスは0.1%減とこちらも減少に転じた)。
・不動産収入 0.3%増、前月の0.2%増と合わせ3ヵ月連続で増加(農場が7.3%減と減少トレンドを維持した一方、非農場が0.4%増と6ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.9%増、前月の0.9%増と合わせ33ヵ月連続で増加
・資産収入 0.2%増と前月の0.5%増と合わせ5ヵ月連続で増加(配当が0.2%減と5ヵ月ぶりに減少したものの、金利収入は金利上昇を背景に0.5%増と増加トレンドを維持)
・社会補助 0.1%増、前月の0.3%増と合わせ少なくとも24ヵ月連続で増加
・社会福祉 0.2%減、前月の0.5%増から転じ5ヵ月ぶりに減少(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.4%増と7ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と増加トレンドを維持、失業保険は0.4%減と9月の0.7%増を除いた減少トレンドを維持)

個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比±0%となり、市場予想の0.2%を下回った。前月の0.3%にも届いていない。前年比も市場予想並びに10月の1.5%以下にとどまり、1.4%だった。とはいえ原油価格が安定して推移するなかで、2014年10以来の高水準を維持している。コアPCEデフレーターは前月比0%と、市場予想および前月値の0.1%以下に終わった。コアPCEデフレーターの前年比は10月まで3ヵ月連続で1.7%上昇だったものの、今回は1.6%と鈍化している。PCEとコアは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、2012年5月以来の「2%」割れを続けた。

――米11月小売売上高が予想以下に終わった通り、11月個人消費も鈍化を示しました。何より、個人所得の落ち込みが懸念材料。貯蓄率も低下したため、GDPの7割を担う個人消費に翳りが出てきたのでしょうか。米12月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値はセンチメントの上振れの割に購入見通しで低下が目立ちましたが、所得が拡大するとの見地に立っていなかった可能性を残します。

(カバー写真:Luis Gonçalves/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.