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米12月新車販売台数、インセンティブ拡大で加速し年間でも過去最高

by • January 5, 2017 • Latest News, NY TipsComments Off4293

 U.S. Auto Sales Set Record In 2016, Accelerated By SUV.

ワーズオートが発表した米12月新車販売台数は、年率換算で1,829万台と市場予想の1,770万台を上回った。前月の1,775万台を軽々と超え、ホリデー商戦の追い風とインセンティブ拡大を受けて2005年7月以来の水準へ加速。金利上昇のハンデを乗り越えた。なお、ワーズオートの数字は米国内総生産(GDP)の算出に使用される。

オートデータが発表した米12月新車販売台数は、前年同月比22.4%増の169万429台だった。前月は138万558台で、景気後退期以来の減少トレンドを4ヵ月で止めている。11月は営業日が2日多かったが、12月は1日少なかった。12月は年率では1,843万台と、前月の1,787万台(修正値)を超えた。2016年通期では1,755台と、2015年に樹立した前年比5.7%増の1,747万台を突破し過去最高を塗り替えた。

ケリー・ブルー・ブックによると、12月の平均販売価格は前年同月比1.5%上昇の3万5,309ドル(約417万円)と、前月の1.7%上昇から鈍化した。前月比では0.3%上昇し、11月の0.1%の下落から改善、4ヵ月ぶりに上昇へ転じている。メーカー別の平均価格を前月比でみるとトヨタやホンダ、日産といった日本車勢のほか、ゼネラル・モーターズが上昇した。前年比ではヒュンダイ・キアが10~11月に続き下落が目立ったほか、ホンダも11月に続き小幅下落した。

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(出所:Kelley Blue Book)

2017年の新車販売台数につき、自動車価格情報サイトのトゥルーカーは「1,710万~1,740台」を予想する。全米自動車協会は「1,710万台」を見込み、いずれの数字も2016年を下回り、7年連続の増加トレンド並びに2年連続の過去最高記録にブレーキを掛ける見通しだ。

メーカー別の単月動向をみると、GMをはじめフォード、フィアット・クライスラーの旧御三家のほか日系メーカーなどそろって市場予想を上回った。ただ、トラックやスポーツ多目的車(SUV)が強いフィアット・クライスラーのみ、4ヵ月連続で減少している。

インセンティブ拡大の効果が奏功し、車種では11月に続きトラックをはじめスポーツ多目的車(SUV)が盛り返した。セダンや小型車などは、逆に一部で下振れしている。SUVやトラックの人気を反映し、GMは2016年12月19日に追加で1,300件、同年11月9日と合わせて3,300件の雇用削減を発表。小型車やセダンの需要低下を表し、フィアット・クライスラーもカナダ2工場での生産を縮小する方針を打ち出していた。ガソリン価格は2月に一時1.724ドルと2004年3月以来の安値をつけた後、6月に一時2.399ドルまで上昇。その後は原油先物が2015年7月以来の53ドル台を回復する過程で、ガソリン価格は12月に2.3ドル台を回復した。レンジ推移をたどった。

以下、米国をはじめメーカー別動向。

【GM】
GMは前年同月比10.0%増の31万9,108台となり、市場予想の4.4%増より加速した。2ヵ月ぶりに増加している。小売販売台数は3.4%増の24万9,983台と4ヵ月連続で増加しただけでなく、2007年以来の高水準を示した。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみると、全て増加した。ただし小売販売台数ではシボレーのみ増加し、前月の4ブランドから減少している。

2016年通期の新車販売台数は前年比1.3%減の304万2,775台と減少に転じた。小売販売台数は1.8%増の244万6,582台となる。新車販売台数の詳細は、以下の通り。

・シボレー 12.8%増の21万2,959台、2ヵ月連続で増加
→SUVの「エキノックス」が24.6%増の2万7,195台と、2ヵ月連続で増加した。トラックの「タホー」も21.7%増の1万1,897台と増加している。小型車は引き続き好調で「マリブ」が87.3%増の2万2,764台、「クルーズ」も2.8%増の1万7,324台だった。小売販売台数は8.1%増の17万61台で、シェアを0.5%拡大させ11.2%と過去最大へ引き上げた。

・GMC 5.8%増の6万3,415台、2ヵ月連続で増加
→主力の「シエラ」が15.1%減の2万3,290台と過去5ヵ月間で4回目の減少を示したとはいえ、SUVの「アルカディア」が67.8%増の1万2,189台と前月に続き増加を果たした。小売販売台数は3.8%減の5万597台と減少に転じた。

・キャデラック 3.2%増の2万1,446台、2ヵ月連続で増加
→SUVで売れ筋の「エスカレード」が23.5%増の3,383台と7ヵ月連続で増加しながら、その他は減少が目立つ。小売販売台数は10.0%減の1万7,061台と減少に転じた。

・ビュイック 2.8%増の2万1,288台、4ヵ月連続で増加
→主力のSUV「アンコール」が19.3%増の7,755台と全体を支え、他は軟調だった。小売販売台数は0.6%減の1万7,061台と、3ヵ月ぶりに減少した。

【フォード】
フォードは、前年同月比0.1%増の23万9,854台となり、市場予想の2.1%減を上回った。2ヵ月連続で増加している。2大ブランド別では、フォードが減少に転じ、リンカーンは4ヵ月連続で増加した。なお同社は2016年1月、日本とインド市場から撤退を決定した。通期での販売台数は261万4,697台と、10年ぶりの高水準を叩き出している。詳細は、以下の通り。

・フォード 0.6%減の22万7,063台、前月から減少に反転
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が2.7%増の8万7,512台と、過去11年間で最高を記録した。SUVも改善がみられ「エクスプローラー」は0.7%増の1万9,030台と2ヵ月連続で増加している。「エスケープ」は7.7%減の2万5,578台と再び減少に転じた。小型車は逆に振るわず、「フォーカス」は6.9%減の1万242台と7ヵ月連続で減少、「フュージョン」も25.2%減の1万9,132台と5ヵ月連続で減少した。

・リンカーン 17.8%増の1万2,791台、4ヵ月連続で増加
→主力の「MKX」が19.2%増の3,527台、「MKC」も8.9%増の2,795台となり、全体を支えた。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比10%減の19万2,519台となり、市場予想の14%減より下げ幅を縮小した。9月に増加トレンドを78ヵ月で止めた後、4ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別では9~11月に続き、1ブランドのみ増加した。通期では前年比0.4%減の224万4,315台となる。詳細は、以下の通り。

・ラム 10%増の5万3,597台、7ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が15%増の4万7,556台と4ヵ月連続で増加したほか、「プロマスター・バン」が13%増の4,694台と支えた。

・ジープ 6%減の8万3,159台、4ヵ月連続で減少
→「チェロキー」が34%減の1万6,380台と減少トレンドを維持したほか、「ペイトリオット」も37%減の7,809台と2ヵ月連続で減少した。一方で「グランド・チェロキー」は13%増の2万3,250台と増加に転じ、「ラングラー」も2%増の1万5,721台だったがジープ全体でプラスを回復できなかった。

・ドッジ  21%減の3万6,329台、4ヵ月連続で減少
→主力の「ジャーニー」が25%増の9,768台と増加に転じたものの、「キャラバン」が43%減の6,687台と3ヵ月連続で減少した。「チャージャー」も73%減の7,237台と減少に反転している。

・クライスラー 32%減の1万6,776台、11ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が1万283台と初の1万台に乗せたものの、生産が終了したミニバン「タウン・アンド・カウンティ」が97%減の266台と7ヵ月連続で減少している。また、セダンの「200」も73%減の2,643台と減少トレンドをたどった。

・フィアット 54%減の2,606台、12ヵ月連続で減少
→「500X」や「500L」などが軒並み2桁減を示したほか、新型「スパイダー」も250台と前月からも減少し全体を牽引するほどの馬力をみせなかった。

自動車メーカー別、米国市場シェアはGMが18.9%と首位ながらトヨタが前月に続き2位の14.4%へ浮上、フォードは14.1%。
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(出所:Good Car Bad Car)

【トヨタ】
トヨタは2%増の24万3,229台と、市場予想の2.3%減から転じた。2ヵ月連続で増加している。ブランド別ではトヨタが増加した半面、レクサスは2ヵ月連続で減少した。2016年通期では、前年比2.0%増の244万9,630台だった。12月単月での詳細は、以下の通り。

・トヨタ 2.6%増の20万2,047台、2ヵ月連続で増加
→SUVやトラックが回復、日本では来春に販売・生産を打ち切る計画のSUV「RAV4」が16.8%増の3万7,214台と2ヵ月連続で増加し単月で過去最高を更新した。また「ハイランダー」も57.9%増の2万5,425台と、4ヵ月連続で増加し過去最高を塗り替えている。さらに「4ランナー」まで15.4%増と1万1489台と、軒並み2桁増を記録している。セダンでは「カローラ」が7.4%減の万1,209台と7ヵ月ぶりに減少、「カムリ」も10.4減の3万3,412台と7ヵ月連続で減少した。

・レクサス 0.5%減の4万1,182台、過去10ヵ月間で9回目の減少
→SUVやトラックは4.9%増の1万8,310台で、「LX」を除き全て2桁増を果たした。反対に乗用車部門は14.2%減の1万4,615台で、7車種中全て減少した。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比6.4%増の16万477台となり、市場予想の1%減より好転した。3ヵ月連続で増加している。2016年通期は前年比3.2%増の163万7,942台と、過去最高を記録した。

【日産】
日産は9.7%増の15万2,743台となり、市場予想の2.8%減より力強い結果となった。2大ブランドでは日産、インフィニティがそろって増加した。詳細は、以下の通り。

・日産 8.3%増の13万4,545台、2ヵ月連続で増加し単月で過去最高
→SUV・トラックで主力の「ローグ」が52.9%増の4万477台となり、映画「ローグ・ワン/スターウォーズ」限定版というフォースが働いた。「パスファインダー」も12.0%増の9,368台、「ムラノ」も新型発売を受け11.3%増の7,881台と単月で過去最高を達成している。一方で、主力セダン「アルティマ」は15.9%減の2万4,763台と2ヵ月連続で減少した。

・インフィニティ 20.6%増の1万8,198台、2ヵ月連続で増加
→SUVの「Q50」が23.9%増の5,794台と増加したほか、「QX50」も39.4%増の2,026台と5ヵ月連続で2桁増となった。

その他の海外メーカーは、以下の通り。

・フォルクスワーゲン(VW)は20.3%増の3万7,229台、2ヵ月連続で増加
→排ガス不正が発覚した2015年9月、および同年10月は値下げ効果もあって小幅な増加にとどまったが、同年11月にガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は11ヵ月連続で減少しつつ、11月に続き増加した。アウディは13.7%増の2万3,195台と増加トレンドをたどる。グループ全体では、17.1%増の6万930台と2ヵ月連続で増加した。

・テスラ(推計値)は39.4%増の4,600台、増加トレンドを維持
・ヒュンダイは1.9%減の6万2,305台と5ヵ月ぶりに減少
・キアは0.2%増の5万4,353台と2ヵ月連続で増加

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比20.0%上昇の3,673ドルで、前月の13.0%から加速し直近で最高の伸びを記録した。10~11月に続き、新車販売台数が大幅に改善した最大の理由は、インセンティブ拡大にあることを確認している。前年比での伸び率はスバルが103.4%の上昇と群を抜き、2位はフォード(34.1%)、3位はヒュンダイで31.0%の上昇を示した。

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(出所:Truecar)

インセンティブの1台販売価格当たりに占める割合は11.0%となり、前年同期の9.1%から拡大した。最大のシェアを示す自動車メーカーはキアで15.9%、次いで日産が15.8%、VWの15.4%となる。

1台当たり販売価格に占めるインセンティブのシェア。
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(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、レクサス、BMWがトップ3を維持した。1位はメルセデス・ベンツをかわしレクサスが浮上。1月に3位の座をビュイックに譲ったBMWはインセンティブを引き上げ販売台の維持に努めたものの、7~11月に続き3位に甘んじた。そのほか年末に順位は大荒れしアウディが4位に浮上、またインフィニティもアキュラをかわし7位に上昇した。

1位 レクサス 0.5%減の4万1,182台
→1~3月の2位から、4~6月にBMWに2位の座を奪われた後で7~11月まで2位を経て、今年初の首位でフィニッシュ。年初来では3.9%減の33万1,228台で2位に終わった。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

2位 メルセデス・ベンツ 6.2%減の3万5,781台
→1~11月まで王座の貫録を保ったが、最後に失速し2位に転落した。ただし、年初来では0.4%増の37万4,541台で2015年に続きトップの座に位置している。2015年は、4.7%増の37万2977台で首位。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

3位 BMW 5.2%減の 3万2,835台
→1月はまさかのトップ3圏外で始まり4~6月は2位に立ちつつ、2~3月、7~11月に続き3位に甘んじた。年初来では9.5%減の31万3,174台となり、ここでも3位となる。2015年は1.8%増の34万6023台で、首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

4位 アウディ(VW)13.7%増の2万3,195台
→VWショックに揺れるなか7位発進を経て5~6月は4位、7~11月の5位と低迷期を抜け年末は4位を取り戻した。年初来では4.0%増の21万213台で、5位を維持した。2015年は11.1%増の20万2202台で、5位だった。

5位 ビュイック(GM)2.9%増の2万1,288台
→年初はBMWを振り切って3位に浮上しつつ7~11月の4位から、年末にアウディの追い上げに屈した。年初来では2.9%増の22万9,631台 と4位を保った。2015年も2.6%減の22万3055台で4位だった。

6位 キャデラック 3.2%増の2万1,446台
→6~11月と変わらず。年初来では3.0%減の17万6台で前月に続き6位。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

7位 インフィニティ 20.6%増の1万8,198台
→2月まで8ヵ月連続で8位、3月に7位へ浮上した後で4~11月に再び8位へ下げつつ、年末に7位を奪回した。年初来では3.6%増の13万8,293台で8位となる。2015年も13.8%増の13万3498台で8位だった。

8位 アキュラ 1.9%増の1万7,148台
→6~11月まで7位だったが、年末にインフィニティのインセンティブ拡大を一因に8位へランクダウンした。年初来では8.9%減の16万1,360台でこちらも7位に転落。2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回はスターウォーズ最新作とコラボした日産の「ローグ」が8位から4位に急浮上した。また10月の圏外からトップ10にカムバック。反対にフォードの「エスケープ」が圏外へ転落した。

1位 Fシリーズ(フォード)2.7%増の8万7,512台、前月も1位
2位 シルバラード(GM)13.8%減の5万4,272台、前月も2位
3位 ラム(フィアット・クライスラー)14.9%増の4万7,556台 前月も3位
4位 ローグ(日産)52.9%増の4万477台、前月は8位
5位 CR-V(ホンダ)21.1%増の3万7,778台、前月は9位

6位 Rav4(トヨタ)16.8%増の3万7,214台、前月は5位
7位 アコード(ホンダ)3.4%減の3万3,873台、前月は6位
8位 カムリ(トヨタ)10.4%減の3万3,412台、前月は4位
9位 シビック(ホンダ)4.0%減の3万1,482台 前月は10位
10位 カローラ(トヨタ)9.4%減の2万9,402台、前月は7位

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)は以下の通り。ランキングに登場したブランドは変わらなかったものの、グランド・チェロキーが6位に浮上しやや順位が入れ替わった。

1位 ローグ(日産)52.9%増の4万477台、4ヵ月連続で3位
2位 CR−V(ホンダ)21.1%増の3万7,778台、前月も2位
3位 RAV 4(トヨタ)16.8%増の3万7,214台 前月は1位
4位 エキノックス(GM、シボレー)24.6%増の2万7,195台、前月は5位
5位 エスケープ(フォード)7.7%減の2万5,788台 前月は4位

6位 ハイランダー(トヨタ)57.9%増の2万5,425台、前月も6位
7位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)13.1%増の2万3,250台、前月は9位
8位 エクスプローラー(フォード)0.9%増の2万1,857台、前月は7位
9位 アウトバック(スバル)28.8%増の2万695台、前月は8位
10位 フォレスター(スバル)7.3%増の1万8,015台、前月は10位

(カバー写真:FCA)

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