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ホワイトハウス、スペイン語版を削除〜オバマ路線からの決別

by • January 24, 2017 • Latest News, NY TipsComments Off4930

Trump Keeps Him Busy With Undoing Obama Legacy.

オバマ前米大統領のスローガンと言えば、「Yes We Can」と「We Can Change」。意見が分かれるところでしょうが、ホワイトハウスに明らかな変化をもたらしました。

ホワイトハウスのホームページには、スペイン語を導入していたのです。

米大統領令をはじめ、細かなニュアンスが英語表現と微妙に変わってしまうリスクをはらむだけに全てをスペイン語化したとは言えません。しかしながら、説明責任を果たす上で透明性を高めたことでしょう。オバマ前米大統領時代のアーカイブをご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。

ホワイトハウスのスペイン語版、閲覧数が気になります。
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(出所:obamawhitehouse.archives

トランプ米大統領はというと、ホワイトハウスからスペイン語版のwebサイトを撤去しました。ツイッターの”カサ・ブランカ”も10.7万人のフォロワーを有しながら、少なくとも現地時間午前10時15分時点で投稿はゼロPOTUSすなわち米大統領の英語版ツイッター16件と大違いです、スパイサー報道官はスペイン語版の創設の可能性を否定していません。ただトランプ氏は共和党の米大統領予備選候補で、スペイン語を操るジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事に「ここは英語を話す国だ」と横槍を入れた過去があります。

スペイン語を導入すれば移民が増加中のアジア系、特に中国系やインド系へ配慮しないわけにはいかない——トランプ政権に、そのような計算が働いたのか。24〜25日に予定するメキシコのビデガライ外相、グアハルド経済相とのハイクラス協議、並びに月末に予定するメキシコのペニャニエト大統領との会談を踏まえた戦略なのか。あるいは就任演説や6つの最重要項目で示した通りトランプ米大統領の政策は同氏の支持者を軸に展開するサインを、あらためて点灯させたのか。真相は、まもなく明らかになります。

ちなみにスペイン語版のページを引き継がなかっただけでなくLGBTや公民権、温暖化現象や規制をめぐる項目も削除していました。共和党に属する米大統領ですから、こうした措置は想定の範囲内です。

トランプ米大統領は、そのほかにも着々と自身のカラーをホワイトハウスに持ち込んでいます。まずは心地良く職務にあたれるよう、執務室のカーテンをオバマ前政権の赤茶色から金色へ一新させました。就任式初日には医療保険制度改革(オバマケア)撤廃を目指す米大統領令にサインしたほか、23日にはTPP脱退ヘ通じる米大統領令に署名。オバマ前政権最大のレガシーが狙い撃ちされました。そのほか軍人を除く連邦政府職員の採用凍結を決定し、人口中絶を支援する非営利団体への資金援助停止を盛り込みました。

23日の企業幹部との会談では 1)現行規制の75%以上にわたって規制緩和、2)国境税の導入、3)法人税を現行の35%→15〜25%引き下げると明言。政権スタート早々、猛ダッシュで選挙公約実現に向け走り続けています。

自動車業界をめぐり、日本まで舌鋒鋭く批判する始末。世耕経産相をして「関税以外の部分で日本車と比べ差別的な取り扱いをしていない」と言わしめたのはご案内の通り。TPP離脱へ向けた米大統領令の署名などを含め、日本に逆風が吹きつけてきたのは間違いないでしょう。日米首脳会合を控え二国間で通商政策に関し出来る限り有利な条件を引き出すべく、トランプ陣営が揺さぶりかけてきた感は否めません。

同時に、米国のTPP離脱が中国に利するだけに交渉のための手札ではないかと疑ってしまいますよね。思い起こせば、トランプ米大統領の自伝”The Art Of The Deal”には「手元に多くの球を持つべし(keep a lot of balls in the air)」との言葉がありました。物議を醸し出す技は、トランプ氏にとって交渉の駆け引き材料を集めるための”兵法”なのでしょう。

(カバー写真:obamawhitehouse.archives

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