This Country Uses “Grossly Undervalued”Currency According Trump’s Top Trade Advisor.
*トランプ米大統領は日本と中国に対し通貨安誘導と批判を行いましたが、以下の内容はそれ以前のものとなります。ご留意下さい。
トランプ米大統領は、就任100日計画で1日目に中国を為替操作国に認定すると発言していました。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)やメキシコ国境間の壁建設、入国禁止を盛り込んだ強硬なテロ対策など次々に100日計画を遂行したにも関わらず、中国については米大統領に就任してから言及を避けています。就任前にフォックス・ニュースやウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のインタビューで”ひとつの中国見直し論”という聖域に踏み込んだ以外では、異様なほど静かです。
嵐の前の静けさとの印象は拭えず。中国陸軍高官が米中間の武力衝突に「現実味あり」と発言した当時、米国メディアもセンセーショナルにヘッドラインを流したものです。ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ政権が打ち出す”米国第一”により貿易戦争の火蓋が切って落とされたと報道。世界経済フォーラムに参加したユーログループ議長のダイセルブルーム蘭財務相が「米国を親友と捉えてきたが、トランプ氏を通じそうした関係にないと理解すれば新しい友が必要だ」と牽制したと伝えます。同議長が新たに挙げた有力候補こそ、「中国」だったと付け加えることも忘れません。”米国第一”が保護主義はもとより、近隣窮乏策を連想させるためでしょう。
そもそも米大統領就任前とはいえドル安誘導を狙ったかのような発言を展開し、新設した国家通商会議の委員長にカリフォルニア大学のピーター・ナヴァロ氏というゴリゴリの対中強硬派を据えていれば、通商政策が過激にならないはずはありません。そのナヴァロ委員長が、遂に口を開きました。攻撃した先は・・・中国ではなかったのです。
ドイツでした。
ナヴァロ委員長は、ドイツが「甚だしく過小評価された」通貨で競争力を勝ち得ていると糾弾したのです。欧州連合(EU)と米国間の包括貿易投資協定(TTIP)の障害こそドイツで、まるで「二国間のドレスをまとった多国間協議だ」と切り捨てます。トランプ米大統領は就任前、トヨタのほかBMWに批判の矛先を向けた経緯がありますが、まさか名指しで攻撃してくるとは・・。ユーロドルの上昇を招いたことは言うまでもなく、約1週間ぶりの水準まで回復しました。
ユーロドル、ナヴァロ発言にご覧の反応で1%近く上昇。
(出所:CNBC)
ドル安誘導の意図は明らかです。就任式でのメッセージに誇張はありませんでした。歴史は繰り返さずとも韻を踏む、安倍首相の訪米でロン・ヤス時代よろしくドン・シンなる言葉が聞こえれば、要注意です。
(カバー写真:Michael Scheinost/Flickr)
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