Housing Starts And NAHB Housing Index Show Some Cool Down.
米1月住宅着工件数、米2月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米1月住宅着工件数は年率124.6万件と、市場予想の122.6万件を上回った。金利上昇を背景に前月の127.9万件（122.6万件から上方修正）を2.6％下回り、2007年6月と景気後退以前の高水準という快挙を遂げた2016年10月の132.0万件でピークアウト感が漂う。前年比では10.5％増と、前月の10.3％増を上回った。
内訳をみると、一戸建てが前月比1.9％増の82.3万件と3ヵ月ぶりに増加、過去6ヵ月間で2回目の増加を示す。一方で複合住宅は10.2％減の42.3万件となり、大幅増だった前月から減少に転じた。一戸建ての前年比は6.2％増と5ヵ月連続で増加し、複合住宅は19.8％増と2ヵ月連続で増加した。
4大地域別では、2地域で増加し前月の3地域から減少した。今回は複合住宅が集中する北東部が55.4％増の14.3万件と2ヵ月連続で大幅増、住宅市場の規模が最大の南部も20.0％増の69.0万件と、3ヵ月ぶりに増加した。ただ、IT産業が集まる西部は41.3％減の22.5万件と、前月分の増加を完全に打ち消した。中南部は17.9％減の18.8万件と、4ヵ月ぶりに減少した。
住宅着工件数は改善も、リセッション前の平均値は遠い。
（作成：My Big Apple NY）
米1月建設許可件数は128.5万件となり、市場予想の123.0万件を上回った。前月の122.8万件（121.0万件から上方修正）から4.6％増加、2015年11月以来の高水準となる。内訳をみると、一戸建てが2.7％減の80.8万件と6ヵ月ぶりに減少。複合住宅は逆に19.8％増の47.7万件と3ヵ月ぶりに増加した。
米1月建設中件数は前月比0.6％増の106.5万件と、件数ベースでは少なくとも2007年12月以来の高水準となる。一戸建てが0.7％減の44.7万件と5ヵ月ぶりに減少したが、複合住宅は1.5％増の62.2万件と増加を牽引した。
――米1月住宅着工件数は複合住宅が減少し、市場予想を上回りながら前月には届きませんでした。金利上昇が重石となり、米大統領選挙後の2016年11月から後退を続けています。ちなみに一戸建て着工件数の75％が市場に出回るため、61.7万件が販売向けとなる見通しで、これは金利上昇を前に駆け込み需要で急増した米12月新築住宅販売件数を大きく上回ります。在庫逼迫の環境解消の一助となるか注目です。
▽米2月NAHB住宅市場指数、大統領選直後の急伸から調整続く
米2月NAHB住宅市場指数は65となり、市場予想並びに前月の67から低下した。トランプ政権発足で米株高が続くものの米金利も上昇した結果、2005年6月以来の高水準を遂げた2016年11月の69から低下を続けている。
内訳をみると、一戸建て現況指数が71と前月の72から低下した。一戸建て見通し指数（6ヵ月先）も前月の76から73へ低下。見込み客指数に至っては前月の51から3ヵ月ぶりに分岐点である50を割り込み46となった。
2016年11月でピークアウトか。
（作成：My Big Apple NY）
4大地域別での住宅市場指数は前月と同じく、3地域で低下した。特に北東部が10ポイントも急低下し41と、3ヵ月ぶりに分岐点を割り込んでいる。中西部も前月の66から64と、3ヵ月ぶりの低水準。南部も64と前月の68を下回り6ヵ月ぶりの水準へ低下した。西部のみ前月と変わらず75だったが、2016年12月の86から10ポイント低下した水準を保つ。
発表元である全米ホームビルダー協会（NAHB）のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「持続的なレンジ内へ戻しつつある」と指摘。また「規制が住宅建設業界の足を引っ張っており、業界としては新しい政権及び議会と協力していきたい」との考えを寄せた。ロバート・ディエス主席エコノミストは「買い手動向指数が低下しており、建築業者は引き続き土地や労働不足に直面している」と分析した。
――米2月NAHB住宅市場指数は、トランプ勝利後の急伸から調整が続きます。ライアン米下院議長は、税制改革やインフラ投資拡大を含んだ予算案の策定は春以降と発言済み。医療保険制度改革の撤廃と代替案の取りまとめ及び移行へ向けた取り組みが先行する見通しで、NAHBに加盟する建設業者の先走った期待が後退しつつあるようです。
（カバー写真：Danny Howard/Flickr）
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