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エンパイアとフィリー、3月も高水準をキープ

by • March 21, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1243

Empire And Philly Hovers Around Recent High, While Industrial Production Slows.

3月のNY連銀製造業景況指数と、フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米2月鉱工業生産をおさらいしていきます。

米3月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は16.4となり、市場予想の15 を上回った。ただ2014年9月以来の高水準だった前月の18.7からは低下している。項目別では、新規受注が2014年4月以来の高水準を遂げたほか雇用も上向いたが、出荷や仕入れ価格が低下した。詳細は、以下の通り。

・新規受注 21.3、5ヵ月連続で分岐点乗せし2010年4月以来の高水準>前月は13.5、6ヵ月平均は8.2
・出荷 11.3、6ヵ月連続で分岐点乗せ<18.2、 2014年以来の高水準、6ヵ月平均は9.5
・在庫 マイナス2.7、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は3.1、6ヵ月平均はマイナス7.8

・雇用 8.8、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2015年4月以来の高水準>前月は2.0、6ヵ月平均はマイナス3.1
・平均労働時間 15、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2012年3月以来の高水準>前月は4.1、6ヵ月平均はマイナス2.2

・仕入れ価格 31.0<前月は37.8、2012年5月以来の高水準、6ヵ月平均は27.6
・販売価格 8.8、9ヵ月連続で分岐点に乗せ<前月は19.4、 2012年4月以来で最高、6ヵ月平均は9.5

・入荷時間 10.6、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2004年5月以来の高水準>前月は7.1、6ヵ月平均はマイナス1.6
・受注残 8.2、10ヵ月ぶりに分岐点>前月はマイナス1.7、6ヵ月平均はマイナス2.1

6ヵ月先見通し指数は37.4と、前月の41.7を下回った。2016年12月~2017年1月に49.7と、2011年5月以来の高水準から鈍化を続けている。

▽米3月フィリー、1973年以来の水準から小幅低下

米3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は32.8となり、市場予想の30を上回った1973年4月以来の高水準を遂げて前月の43.3からは、低下している。内訳をみると、ヘッドラインより明るい内容だ。新規受注、出荷、雇用がそろって上昇。仕入れ価格は10ポイント以上も急伸し、在庫は分岐点を回復している。詳細は、以下の通り。

・新規受注 38.6、8ヵ月連続で分岐点に乗せ1983年11月以来の高水準>前月は38、6ヵ月平均は25.0
・出荷 32.9、11ヵ月連続で分岐点に乗せ2004年7月以来の高水準>前月は28.6、6ヵ月平均は22.6
・在庫 11.8、2015年2月以来の高水準>前月はマイナス4.7と4ヵ月ぶりに分岐点割れ、6ヵ月平均は3.8

・雇用 17.5、4ヵ月連続で分岐点乗せ2011年2月以来の高水準>前月は11.1、6ヵ月平均は6.1
・週当たり平均労働時間 18.5、2004年2月以来の高水準>前月は13.6、6ヵ月平均は8.0

・受注残 7.0<前月は10.7と2011年3月以来の高水準、6ヵ月平均は7.0
・入荷時間 4.5、5ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は4.1、6ヵ月平均は3.7

・仕入れ価格 40.7、13ヵ月連続で分岐点に乗せで2011年5月以来の高水準>前月は29.9、6月平均は28.0
・販売価格 20.6>前月は10.6、6ヵ月平均は13.4

6ヵ月先見通し指数は59.5となり、前月の53.5を超え2003年9月以来の高水準を達成した。新規受注や出荷、雇用、平均労働時間。設備投資などがそろって低下した。

エンパイア、フィリーとも大幅に上昇。

ny
(作成:My Big Apple NY)

▽米2月鉱工業生産、前月から低下も前月に上振れした暖房需要の反動

米2月鉱工業生産指数は前月比±0%となり、市場予想の0.2%を下回った。前月の0.1%の低下(0.3%の低下から上方修正)に続くマイナスを回避したとはいえ、反発できずに終わっている。稼働率は75.4%と市場予想の並びに前月の75.5%(75.3%から上方修正)にあと一歩及ばなかった。リセッション前の80%に距離を残す。

内訳をみると、製造業(全体の78.5%)が2ヵ月連続で上昇、米2月新車販売台数が単月の販売台数で1月から改善したため、自動車が改善した。自動車を除いた製造業も0.4%の上昇となる。一方で公益(全体の10.8%)は、平年を上回る気温を受け暖房需要が後退し2ヵ月連続で落ち込んだ。鉱業(全体の10.8%)は原油価格が2015年7月以来の水準へ回復するなか、2ヵ月連続で上昇した。

・製造業 0.5%の上昇=前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
自動車 0.8%の上昇>前月は0.8%の低下、6ヵ月平均は±0%
機械 1.1%の上昇>前月は0.5%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
コンピューター/電気製品 0.7%の上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇

・公益 5.7%の低下>前月は5.8%の低下、6ヵ月平均は2.4%の低下
電力 5.0%の低下>前月は4.0%の上昇、6ヵ月平均は2.3%の低下
天然ガス 12.9%の低下<前月は11.4%の上昇、6ヵ月平均は2.6%の低下

・鉱業 2.7%の上昇>前月は2.2%の上昇、6ヵ月平均は1.2%の上昇

鉱工業生産、回復の芽は伸びつつあるもまだ限定的。
ip
(出所:My Big Apple NY)

――フィリーやエンパイアは前月から低下しましたが、上振れした水準を保ちます。製造業景況指数は見通しこそエンパイアが低下したとはいえこちらも高水準をキープし、フィリーに至っては2003年9月以来のレベルへ上向きました。鉱工業生産は前年比にて3ヵ月連続で小幅ながらプラスに乗せ、製造業生産は4ヵ月連続で上昇しただけでなく2015年4月以来の水準を回復。1~3月期の民間投資が低下を回避する可能性を残します。ただ依然として伸びは小幅で、稼働率も原油価格が100ドル台で推移しシェールブームに支えられた2014年前半の78%付近には遠い。ドル高や金利上昇が与える生産活動への影響にも注意が必要です。

(カバー写真:Elysiumcore/Flickr)

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