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米1月雇用動態調査、雇用の力強さを証明

by • March 22, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1331

Job Openings, Hires, And Quits All Increase In January.

米1月雇用動態調査、米2月労働市場情勢指数(LMCI)、米10~12月期経常収支をおさらいしていきます。

米労働省が発表した米1月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は前月比1.6%増の562.6万人と、市場予想の555.6万人を上回った。米1月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が20万人台を超える力強さを示したように前月分の減少を打ち消す動きをみせ、2000年の統計開始以来で最高だった2016年4月の584.5万人に接近した。

新規採用人数は前月比2.6%増の544.0万人と、4ヵ月連続で増加しただけでなく2015年12月以来の高水準だった。ただし、2006年11月以来の高水準を遂げた2016年2月の551.0万人でピークアウトした可能性を残す。

離職者数は、前月比3.4%増の525.8万人と4ヵ月連続で増加し2006年11月以来のレベルに達した。定年や自己都合による自発的離職者数は4.4%増の322.0万人と7ヵ月連続で増加し、2001年2月以来の高い伸びを示した。解雇者数は0.1%増の162.5万人と、前月から増加に転じた。

求人数や採用数、離職者数など全て増加し健全な労働市場を表す。

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(作成:My Big Apple NY)

求人率は3.7%で、2016年12月まで4ヵ月連続で続いた2.6%から上昇した。民間が4.0%と前月と変わらなかったものの、統計開始以来の最高だった2016年7月の4.2%が視野に入った。政府は2.0%と、前月の2.1%を下回り2015年6月以来の低水準だった。

就業者に対する採用率は前月まで4ヵ月連続で3.6%だったが、今回は3.7%へ戻した。今回は民間が4.1%と前月と変わらず。過去最高の4.2%を射程距離範囲に収めている。政府は1.5%と、前月の1.4%から上昇した。

自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.6%と、前月の3.5%から上昇し2016年2月以来の水準へ上向き過去最高の3.7%に迫る。民間が4.0%と前月の3.9%を超え、2016年2月以来の高水準を示した。政府は1.5%と前月と変わらず。自発的離職率は2.2%と、2015年12月以来の水準及び過去最高の水準に並んだ。解雇率は4ヵ月連続で1.1%と、過去最低を示した2016年9月の1.0%に近い水準を保つ。

離職者数のうち、自発的離職者数は過去最高に迫る。

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(作成:My Big Apple NY)

――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中、5項目となり前月の4項目から低下しました。今回、自発的離職率が再び合格点に達した格好です。 なお2月は6項目を達成し、最多でした。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.7%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%

3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.2%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.7%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 20.9万人増

6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.7%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.2%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 23.8%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 63.0%

――米1月雇用統計・NFPが4ヵ月ぶりに20万人台に乗せた通り、雇用の好調ぶりをみせつけました。トランプ米大統領が彗星のごとく現れ、インフラ投資や税制改革、規制緩和などを前面に押し出すだけに、雇用にもポジティブな影響が現れています。トランプ米大統領就任前から自動車大手メーカーをはじめ、大手企業は米国内での設備投資計画や採用計画を発表。かつ米株が過去最高値を更新してくれば、企業の時価総額が伸び借入が容易になり労働市場にもポジティブなインパクトを与える公算が大きい。米2月雇用統計でも好循環を確認しましたが、その一方で、1~3月期成長率は民間投資がさえず成長率は1年ぶりの低水準となる見通し。労働指標は遅行指標と言われますが、今回もそのケースに当てはまるのか注意が必要です。

▽米2月LMCI、雇用統計に比例し堅調な伸びを維持

米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した米2月労働市場情勢指数(LMCI)は1.3ポイント上昇し、市場予想の±0より強い結果となった。前月の1.3と合わせ2ヵ月連続で上昇、伸び率としては2015年12月以来の高水準を示す。米2月雇用統計・NFPが2ヵ月連続で20万人台に乗せたように、LMCIはプラス圏を維持しただけでなく高い伸びを示した。

LMCI、2ヵ月連続でプラス圏を維持。

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(作成:My Big Apple NY)

景気後退に陥った2007年12月から2009年6月まで416.4ポイント低下した後、回復サイクルに入ってから355.4ポイント取り戻した。景気が改善していく過程での平均上昇幅は約4ポイントであることを踏まえれば、15ヵ月以内に低下幅を相殺する見通しだ。ただし、足元で低下が続くだけに景気後退に陥った後の穴埋めに時間が掛かる可能性がくすぶる。

▽米10~12月期経常収支、貿易赤字拡大も一時所得収支の黒字が支えに

米10~12月期経常収支は1,124億ドルの赤字となり、市場予想の1,290億ドルの赤字ほど悪化しなかった。前期の1,160億ドルの赤字(1,130億ドルの赤字から修正)も下回り、2年ぶりの低水準。ドル高で輸入が増加したため貿易赤字が1,323億ドルと直近で最大となっている。モノの赤字が1,961億ドルと前期の1,787億ドルから増加しており、逆にサービスの収支は638億ドルの黒字と1年ぶりに高い水準だった。ただし、一次所得収支(対外金融債権、債務から発生する利子、配当などの収支状況)が615億ドルの黒字と前期の416億ドルの黒字を超え、足元最大を示す。モノの貿易赤字が拡大したものの他収支の黒字が増加したため、10~12月期の経常赤字は国内総生産(GDP)比2.4%となり、前期の2.5%から改善した。

(カバー写真:Casey/Flickr)

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