Durable Goods Orders Rise Less Than Expected, But Mark 3-Month Gain.
米3月耐久財受注と米4月シカゴ購買部協会景気指数、米4月カンザスシティ連銀製造業景況指数、米3月貿易収支・速報値、米3月中古住宅成約件数指数をおさらいしていきます。
米3月耐久財受注は前月比0.7%増となり、市場予想の1.3%増を下回った。前月の2.3%増(1.8%増から上方修正)を含め、3ヵ月連続で増加している。輸送用機器が2.4%増となり前月の5.5%増を下回りつつ、3ヵ月連続でプラスに。民間航空機が増加を続けながら、自動車は2ヵ月連続で減少し輸送機器の伸びを抑えた。防衛財は12.2%増と、前月の7.7%減から増加に転じた。
・民間航空機 7.0%増<前月は57.2%増、6ヵ月平均は28.4%増
・自動車 0.8%減<前月は0.6%減、6ヵ月平均は0.2%増
輸送用機器を除く場合は0.2%減となり、市場予想の0.4%増に届かなかった。前月の0.7%増(0.5%増から上方修正)を下回り、7ヵ月ぶりに減少している。
コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は0.2%増と、市場予想の0.5%増を下回った。前月の0.1%増(0.1%減から上方修正)と合わせ、6ヵ月連続でプラスとなる。
(増加項目)
・一次金属 0.8%増<前月は3.1%増、6ヵ月平均は1.2%増
・電気機器 0.4%増<前月は2.2%増、6ヵ月平均は0.4%増
(減少項目)
・機械 0.2%減<前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.9%増
・組み立て金属 0.8%減<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.7%増
・コンピューター/電子機器 0.8%減<前月は0.6%減、6ヵ月平均は0.2%増
耐久財出荷は前月比0.2%増となり、前月の0.2%増(修正値)を含め過去6ヵ月間で4回目の増加を示す。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.4%増となり、市場予想の0.1%増を上回った。前月の1.1%増(1.0%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、過去6ヵ月間で3回目の増加を示す。
前年比では、輸送を除いた耐久財受注をはじめコア資本財の受注と出荷ともに回復。
耐久財在庫は0.1%増となり、前月の0.2%増を含め3ヵ月連続で増加した。在庫と出荷が小幅増だったため、在庫相当は4ヵ月連続で1.61ヵ月だった。
▽米3月貿易収支・速報値、輸出の下げ幅拡大で赤字増加
米3月貿易収支・速報値は648.05億ドルの赤字となり、市場予想の648億ドルを超えた。前月の639.28億ドル(648億ドルから修正)も上回る。輸出が前月比1.8%減の1,255.00億ドルと2ヵ月連続で減少、直近で最も小幅となる。産業財や自動車が重石となった。輸入は0.7%減の1,903.05億ドルとこちらも2ヵ月連続で減少。食品・飲料をはじめ産業材、資本財が減少していた。
――米3月耐久財受注が改善し企業の設備投資に当たる機器投資の改善を約束したものの、米1~3月期国内総生産(GDP)速報値を押し上げるには及ばず。やはりGDPの7割を占める個人消費がコケてしまえば、元も子もありません。純輸出もマイナス寄与しなかった程度で成長を押し上げる力に欠け、トランプ米大統領が掲げる年間3%成長には壁が立ちはだかります。ひとまず、米4月新車販売台数で個人消費がどこまで回復できるかがカギを握るでしょう。
▽米4月カンザスシティ連銀製造業景況指数は鈍化、ISM製造業景況指数は前月以下か
米4月カンザスシティ連銀製造業景況指数は7となり、市場予想の17を下回った。2011年3月以来の高水準だった前月の20にも届かず。米大統領選後の上昇をほぼ打ち消している。NY連銀やフィラデルフィア連銀など、5地区連銀の製造業景況指数は全て前月以下に。米4月ISM製造業景況指数が前月から鈍化する可能性を示唆した。
各連銀の製造業景況指数、そろって見事に前月以下。
▽米4月シカゴPMI、2015年1月以来の水準へ上振れ
米4月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は58.3となり、市場予想の56.2を上回った。前月の57.7を超え、2015年1月以来の高水準。各地区連銀が発表する製造業景況指数と相反する結果となり、どちらに軍配が上がるか注目だ。なおブルームバーグが集計したエコノミスト予想平均は56.5で、前月の57.2を下回る見通しとなる。
――各連銀の製造業景況指数とシカゴPMIは、全くの逆の結果となりました。資本財大手キャタピラーが業績見通しを引き上げたほか、石油メジャーのエクソンやシェブロンは課題を残しつつ決算自体は改善しています。耐久財受注にも好転の兆しが見えるなか、センチメントは上振れした水準から低下しても調整の域にとどまるでしょう。
▽米3月中古住宅販売成約件数指数、前月から低下も高水準を維持
米3月中古住宅販売成約件数指数は前月比0.8%低下の111.4となり、市場予想の1.0%の低下よりマイナス幅を狭めた。2010年10月以来の高い伸びを果たした前月の5.5%の上昇から転じ、過去6ヵ月間で3回目のマイナスとなる。ただし指数としては高い水準を保つ。季節調整前の前年比では0.5%上昇し、前月の2.4%の低下から転じた。
4大地域別では、前月比にて1地域のみ上昇し3月の4地域から減少した。IT産業を抱える西部は2.9%低下し前月分の上昇を打ち消したほか、北東部も2.9%低下し3ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んでいる。中西部は1.2%低下し、前月から反落。住宅市場規模が最も大きい南部は1.2%上昇、4ヵ月連続でプラス圏を維持した。
発表元である全米リアルター協会(NAR)のローレンス・ユン主席エコノミストは、結果を受け「今回は低下したものの、指数としては過去1年間で3番目の高水準だった」と振り返る。また「手頃な価格帯あるいは下限で競争が激化しているように、新規購入者の割合が広がっている」と指摘。ただ在庫不足から「中古住宅価格は前年比で6.8%上昇し、販売件数の42%が売り出し価格を上回った」と説明、買い手にとって、住宅購入は厳しい環境にある。
なお中古住宅販売成約件数指数は、中古の一戸建ておよびコンドミニアムにおける契約が仮契約から最終契約にいたった件数を指数化したもので、中古住宅販売件数は引き渡しの件数を示す。従って、成約件数の約80%が1~2カ月後に中古住宅販売件数として組み込まれる。
――住宅購入シーズンの到来に合わせ金利上昇が一服し、新規購入者をはじめ買い手が動き始めています。トランプ政権の税制改革が、買い意欲を一段と促すか注目。ただ価格は上昇基調をたどり、新規購入者より投資目的での購入が増える可能性を残します。
(カバー写真:Christopher Miller/Flickr)
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