ISM Manufacturing Index Slides To A 4-Month Low.
米4月ISM製造業景況指数、米4月マークイット製造業PMI確報値、米3月建設支出をおさらいしていきます。
米4月ISM製造業景況指数は54.8となり、市場予想の56.5を下回った。前月の57.2にも届かず、4ヵ月ぶり低水準。4月26日まで税制改革の発表が遅れるなか、2014年 8月以来の高水準に達した1月の57.7でいったんのピークアウト感を示唆している。ただし、8ヵ月連続で分岐点に乗せた。内訳をみると、新規受注や雇用、仕入れ価格が低下した。一方で生産のほか新規輸出受注、在庫は上向いた。詳細は、以下の通り。
・生産 58.6、8ヵ月連続で分岐点乗せ＞前月は57.6、6ヵ月平均は59.3
・新規受注 57.5、8ヵ月連続にて分岐点乗せ＜前月は64.5、6ヵ月平均は59.3
・雇用 52.0、8ヵ月連続にて分岐点乗せ＜前月は58.9、2011年6月以来の高水準、6ヵ月平均は54.4
・在庫 51.0、分岐点を回復＞前月は49.0、再び分岐点割れ、6ヵ月平均は49.3
・新規輸出受注 59.5、2013年11月以来の高水準＞前月は59.0、6ヵ月平均は56.0
・仕入れ価格 68.5＜前月は70.5、2011年5月以来の高水準、6ヵ月平均は66.0
・受注残 57.0、3ヵ月連続で分岐点乗せ＜前月は57.5、6ヵ月平均は53.2
・入荷時間 55.1＜前月は55.9、6ヵ月平均は54.7
ISMのブラッドリー・ホルコム会長は、結果に対し前月に続き「18業種のうち16業種で拡大した」と説明、前月は17業種で拡大を確認し残り1業種も横ばいにとどまったが、今回は「服飾と革製品関連が縮小を報告した」という。それでも今後センチメントが下振れするとは想定せず、税制改革の公表は「非常にポジティブ」と楽観的だった。
▽米4月マークイット製造業PMI・確報値、米大統領選前の水準へ回帰
米4月マークイット製造業PMI確報値は52.8と、市場予想の並びに速報値と一致した。前月の53.3を下回っただけでなく、米大統領選後の上昇を打ち消し7ヵ月ぶりの低水準を示す。しかし全体的に下振れしたわけではなく、雇用は改善した。
クリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「米経済の鈍化は家計部門で明白だが、製造業は堅調で資本財への支出、特にエネルギー部門が力強い」と評価した。新規輸出受注についても「8ヵ月ぶりの高水準」で、さらに「雇用は明るいニュースを届け製造業は受注が数ヵ月先の改善を見込んでいる」と好感触だ。仕入れ価格の上昇が最終財に転嫁される可能性を残すと指摘しつつ、全般的にヘッドラインが示すより楽観的なトーンに傾いている。
ISMとマークイットはヘッドラインとISMの雇用が前月に届かず、ただしマークイットの雇用は改善。米4月雇用統計・非農業部門就労者数（NFP）の製造業は、どちらに振れる？
（作成：My Big Apple NY）
――製造業受注はヘッドラインこそ軟調な兆しをみせたものの、詳細項目を紐解くとそれほど懸念を招くほどではありません。米3月耐久財受注でも前年比でコア資本財がプラスを確保したように、製造業活動は安定的な原油価格に支えられ4～6月期も成長に寄与する見通し。製造業景況指数は税制改革の発表も手伝い、5月には鈍化にブレーキが掛かるのではないでしょうか。
▽米3月建設支出、民間・公共ともに非住宅が弱く予想外の減少
米3月建設支出は前月比0.2％減の年率1兆2,183億ドルとなり、市場予想の0.4％増を下回った。前月の1.8％増（0.8％増から上方修正）より弱く、過去6ヵ月間で2回目の減少を示す。内訳をみると、住宅が1.2％増と6ヵ月連続で増加したものの、非住宅が1.2％減と3ヵ月ぶりに減少した。建設支出の前年比は3.0％増と、前月の3.1％増（速報値ベース）を含め増加トレンドを保った。
民間は前月比±0％と、前月の1.7％増から転じた。住宅が1.2％増と6ヵ月連続で増加したものの、非住宅が1.3％減と6ヵ月ぶりに減少している。公共は0.9％減と、前月の2.3％増を下回り過去5ヵ月間で4回目の減少に。住宅が1.3％減、非住宅も0.9％減とそれぞれ過去5ヵ月間で4回目のマイナスに沈んだ。
――米3月建設支出は非住宅が押し下げたものの、前月分が大幅に上方修正されたため米1～3月期GDP改定値への影響はポジティブに作用する見通しです。非住宅でのマイナス基調からの反動増も期待され、製造業景況指数も分岐点を維持しており、4月は改善する望みをつなぎます。
（カバー写真：Susan Sermoneta/Flickr）
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