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米3月個人消費、インフレ鈍化を支えに実質ベースは予想以下も改善

by • May 2, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2348

Real Personal Spending Rebounds As Inflation Slows.

米3月個人消費支出は前月比±0%と、市場予想並びに前月の0.2%増を下回った。前月と変わらず(0.1%増から下方修正)。1月まで10ヵ月連続で増加した後、2月に続き横ばいにとどまった、インフレを除く実質ベースでの個人消費は0.3%増と、市場予想の0.4%増に届かず。金融危機後の2009年2~4月以来となる2ヵ月連続での減少を経て、プラスに反転した。実質ベースでの個人消費は前年比で2.8%増となり、2016年5月以来の低水準だった2月の2.5%増から改善した。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。新車販売台数が3月に1,750万台を割り込むなか耐久財を中心にモノが弱く、サービスが補った。

・モノは0.067%減、前月の0.132%減を含め過去5ヵ月間で3回目の減少
>耐久財 1.359%減、前月の0.069%増から転じ過去5ヵ月間で3回目の減少
>非耐久財 0.309%減、前月の0.233%減に続き過去5ヵ月間で2回目の減少
・サービス 0.383%増、前月の0.36%増に続き少なくとも6ヵ月連続で増加

米3月個人所得前月比0.2%増と、市場予想並びに前月の0.3%増(0.4%増から下方修正)を下回った。前年比は実質ベースで前年同月比2.6%増と、2014年1月以来の増加トレンドで最少にとどまった前月の2.1%増から改善、2016年7月以来の水準へ戻している。可処分所得は前月比0.2%増と、13ヵ月連続で増加。実質の可処分所得は0.5%増と、前月の0.2%増と合わせ2ヵ月連続で増加した。前年同月比では2.4%増と、2014年1月以来の増加トレンドで最低だった1月の2.0%増から改善を継続。貯蓄率は個人消費が横ばいだったため5.9%と、2016年5月以来の水準を回復した。

個人消費、所得は前年比の実質ベースで改善。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金/所得 0.1%増、前月の0.5%増を下回りつつ増加トレンドを維持(民間が±0%と前月の0.5%増から鈍化、サービス部門が0.1%増と増加基調を保ちつつ、財部門(製造業、鉱業、建設)は0.4%減と前月の1.3%増から減速)。
・不動産収入 0.6%増、前月の0.1%増から加速(農場が0.6%減と減少トレンドを継続、非農場は0.7%増と少なくとも8ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.7%増、前月を含め11ヵ月連続で増加
・資産収入 0.3%増と2ヵ月連続で増加(配当が0.1%増、金利収入は金利上昇を背景に0.4%増と13ヵ月連続で増加)
・社会補助 0.4%増、前月の0.1%増と合わせ少なくとも2013年8月以来の増加トレンドを維持
・社会福祉 0.8%増、前月の±0%増から増加に反転(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.1%増と前月の0.1%減から改善、メディケア=高所得者向け医療保険は0.4%像と増加トレンドを維持、失業保険は1.4%減と3ヵ月連続でマイナス)

個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が50ドルを上下する展開を受け前月比0.2%低下、市場予想と一致した。前月の0.1%の上昇から低下に反転、原油先物がボトムをつけた2016年2月以来のマイナスへ沈んでいる。前年比は1.8%の上昇にとどまり、2012年4月以来の2%乗せを達成した前月の2.1%から鈍化した。コアPCEデフレーターは前月比0.1%低下、市場予想通りだった。コアPCEデフレーターの前年比は1.6%の上昇、2016年7月以来の低水準。前月は1.8%上昇し、原油価格がピークアウトした直後の2014年7月以来の水準に並んでいた。PCEとコアは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、2012年5月以来の「2%」割れを続けた。

PCEは前年比で再び2%割れ、コアPCEも鈍化。

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(作成:My Big Apple NY)

――3月は米債利回りの小幅ながら低下したようにインフレ圧力が低下したため実質の個人消費支出が前月比で3ヵ月ぶりにプラスに転じ、実質の可処分所得の増加も増加しました。ただし、個人は財布の紐を緩めたわけではなく、貯蓄率が2016年5月以来の水準へ上昇しています。ミシガン大学消費者信頼感指数消費者信頼感指数が高止まりする割に、消費に勢いは感じられません。

ただし、アトランタ地区連銀は米4~6月期GDP予測値を4.3%増と強気な予測を示し、1~3月期から著しい回復を遂げる見通しです。そうなれば、米1~3月期GDP速報値の弱さについて「自分の責任ではない」と語ったトランプ米大統領は、胸を張って自身の功績とアピールするでしょう。

(カバー写真:Nick Harris/Flickr)

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