Philly Fed Index Rebounds, Industrial Production Surges.
米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米4月鉱工業生産をおさらいしていきます。
米5月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は38.8となり、市場予想の18.5を大幅に回った。4月の22.0を超え、1983年11月以来の高水準を遂げた2月の43.3を視野に入れている。内訳をみると出荷、平均労働時間、受注残などが上昇。逆に新規受注、雇用、在庫は低下した。詳細は、以下の通り。
フィリー、ISM製造業景況指数と相関性はNY連銀より高い。
(作成:My Big Apple NY)
・新規受注 25.4、10ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は27.4、6ヵ月平均は28.4
・出荷 39.1、2004年7月以来で最高、13ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は23.4、6ヵ月平均は27.7
・雇用 17.3、6ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は19.9、 2011年2月以来の高水準、6ヵ月平均は13.7
・週当たり平均労働時間 21.7、2004年5月以来の高水準>前月は18.9、6ヵ月平均は14.4
・受注残 9.0>前月は6.6、6ヵ月平均9.2
・入荷時間 6.4<前月は13.2、6ヵ月平均は6.5
・仕入れ価格 24.2、16ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は33.7、6月平均は31.5
・販売価格 15.3、7ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は16.6、6ヵ月平均は16.3
6ヵ月先見通し指数は34.8と。前月の45.4を下回り前月に続き米大統領選挙後の2016年11月以来の水準へ減速している。5月は59.5と、2003年9月以来の高水準を達成していた。内訳をみると、新規受注や出荷、受注残、在庫、雇用など幅広く低下した。
▽米4月鉱工業生産、前月から回復も暖房需要が支え
米4月鉱工業生産指数は前月比1.0%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.4%に続き2ヵ月連続でプラスだった上に、原油安が開始する前の2014年2月以来の高水準を示す。新車販売台数が年初来4ヵ月連続で前年割れを示していたものの、自動車が大幅改善し全体を牽引。そのほか機械やコンピューター、公益と幅広く強い数字を叩き出している。稼働率は76.7%と、市場予想の76.3%を上回り2014年12月以来の水準を回復した。ただ、リセッション前の80%に距離を残す。
内訳をみると、製造業(全体の78.5%)が全体を支えた。自動車を除いた製造業は0.7%となるが、小幅な伸び縮小にとどまる。一方で公益(全体の10.8%)も気温の底堅く、天然ガスのみ大雪に見舞われたため暖房需要が高まった3月の反動で大幅低下を迎えた。鉱業(全体の10.8%)は原油価格が安定するなか、改善した。
・製造業 1.0%の上昇>前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は0.3%の上昇
あ自動車 5.0%の上昇>前月は3.6%の低下、6ヵ月平均0.3%の上昇
あ機械 0.9%の上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は0.4%の上昇
あコンピューター/電気製品 0.1%の上昇<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・公益 0.7%の上昇<前月は8.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
あ電力 2.1%の上昇<前月は6.3%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
あ天然ガス 1.2%の上昇<前月は0.4%の低下、6ヵ月平均は0.9%の上昇
・鉱業 0.1%の上昇<前月は2.9%の上昇、6ヵ月平均は1.0%の上昇
鉱工業生産、回復の芽は伸びつつあるもまだ限定的。
――5月のフィリーが示すように、鉱工業生産は明るさを増しています。4~6月期GDPでも前期に続き、企業投資の一部である機器投資が成長を支える公算大。アトランタ地区連銀は結果を受け、米4~6月期GDPの予測値を従来の前期比年率3.6%増から4.1%増へ上方修正しました。現時点で、同地区連銀はトランプ政権が目指す3%成長を大幅に上回る改善を見込んでいます。
(カバー写真:Ryan Hallock/Flickr)
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