President Trump Again Fails To Wear Headphones For Translation.
イタリアの宝石、タオルミナで開催された主要7ヵ国首脳会合は無事閉幕しました。
予想通り、G7声明ではパリ協定で足並みの乱れを示しました。例をみない文言をこうして眺めると、なかなか衝撃的です。
「32.米国は気候変動及びパリ協定に関する自国の政策を見直すプロセスにあるため,これらの議題についてコンセンサスに参加する立場にない。米国のこのプロセスを理解し,カナダ,フランス,ドイツ,イタリア,日本及び英国の元首及び首脳並びに欧州理事会及び欧州委員会の議長は,伊勢志摩サミットにおいて表明されたとおり,パリ協定を迅速に実施するとの強固なコミットメントを再確認する。」
ただし、貿易では保護主義と闘うコミットメントを確認しています。さらに鉄鋼の過剰生産への取り組みにも触れ、ダンピングや差別的な非関税障壁など「貿易歪曲的な慣行の撤廃を推進する」とも明記しました。貿易では他に「ルールに基づく国際的な貿易体制の重要性」を指摘、世界貿易機関(WTO)の機能を改善させる方向性で一致しています。少なくとも、トランプ政権がこれを認めたことで二国間交渉がWTOのルールを前提に進められる余地を残したと期待したいところです。
日本としては、南シナ海問題への懸念と北朝鮮ヘの非難が明確に盛り込まれた点は評価したい。中国側が「強烈な不満」を表明するのは想定の範囲内であり、今後は一帯一路サミットとの関係でどこまで対峙できるかが注視されます。米国側が派遣した一帯一路サミットへの代表団に国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長であるマット・ポッティンジャー氏の姿を確認できたこともあり、北朝鮮との対応を踏まえ”ディール”を模索しないとも限りません。
注目は、型破りなトランプ米大統領の行動です。トランプ米大統領、G7首脳の写真撮影に遅れて登場したそうなんですよね。撮影場所までゴルフカートで移動していたことが、遅れた理由だとか。反トランプ派の格好の攻撃材料となってしまいました。民主党のクリントン候補へ放った健康問題への言葉が、今度は自身に向かう有様です。北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議では写真撮影にてモンテネグロ首相を押しのけて最前列を陣取ったものですが、G7では場所が事前に決定していたため遅れてもOKと判断したのでしょうか。
トランプ米大統領、NY流パーティー向け”適度な遅れ(fashionably late)”を実践?
(出所:Twitter)
さらに会合では、通訳の言葉が流れてくるヘッドフォンを装着していない場面まで動画で拡散されてしまいました。日米首脳会談での共同記者会見を彷彿とさせますよね。おかげでツイッターでは反トランプ派から「髪型が乱れるのが嫌だったんだ」、「裏ルートがあるんだよ」、「周囲への配慮ゼロな様子は耳鼻科の医者より老年病専門医の診断を進める」など耳が痛い批判にさらされる始末。トランプ支持者は「右耳に装着しているんだ」、「パリ協定から離脱するんだし必要ない」と応酬していたものです。スパイサー報道官は直ちに「通常通り右側にイヤピースを装着していた」と反論を余儀なくされました。
二国間協議に強い関心があることの現れなのでしょうか。
(出所:Twitter)
ちなみに世界一ハンサムな首脳と呼ばれるカナダのトルドー首相すら、”G7リーダーの輪の中にあぶれている”様子がロシアの報道アカウントなどから伝えられていましたし、世界のリーダーたるものその一挙手一投足が注目を集めるだけに、こうしたバッシングが出回ってしまうのも有名税の一環でしょう。
(カバー写真:G7Itaky)
Comments
米1~3月期GDP改定値、予想以上の上方修正も1年ぶり低水準 Next Post:
メルケル氏の「同盟国に頼れぬ」発言、メモリアルデー直前の意味