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米5月新車販売台数、年初来からの前年割れを継続

by • June 2, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2906

U.S. Auto Sales Fall For 5-Month In A Row.

ワーズオートが発表した米5月新車販売台数は年率1,658万台となり、市場予想の1,690万台を下回った。前月の1,681万台にも届いていない。

オートデータが発表した米5月新車販売台数は、前年同月比4.7%減の142万6,216台だった。5ヵ月連続で前年割れとなる。営業日数は4月こそ前年同月比較で1日少なかったが、今回は1日多い。年率では1,666万台と前月の1,688万台を下回り、前年同月の1,717万台に遠く及ばなかった。トランプ米大統領誕生に際し自動車メーカーを中心に米国内での投資・採用計画を発表し、金利上昇も一服したが販売を押し上げられず。中古価格の下落と残債が担保価格を上回るアンダーウォーターの状況、さらに金融機関の融資引き締め姿勢が新車販売台数に影響を与えつつあるようだ。

新車販売動向から勢いが失われつつあるなか、ベージュブックでは自動車市場につき「軽トラックの生産増加は乗用車の落ち込みを補えなかった」と明記されてあり、SUVや軽トラックは比較的堅調も全体的に減速感は否めない。自動車メーカーは販売奨励金(インセンティブ)で販売をテコ入れする一方、セダンや小型車が煽りを受けた状況が続く。ガソリン価格は原油先物が50ドル台近くで安定するなか、一時2.369~2.411ドルと2015年8月の水準近くを維持した。

ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は前年同月比2.6%上昇の3万3,261ドル(約370万円)だった。前月比では0.8%下落し、5ヵ月連続でマイナスをたどる。メーカー別の平均価格を前月比でみるとスバルを除いて全て下落、日産とフォードが最大で1.1%下落していた。前年比ではGMのみ下落した程度で、他はフィアット・クライスラーの5.9%の上昇をはじめ横ばいだったヒュンダイ・キアを除き上昇した。

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(出所:KBB)

自動車メーカー別では、米系大手3社のうちクライスラーのみ減少した。市場予想を上回ったのは、フォードとフィアット・クライスラーとなる。フォードは前年比でプラスだったほか市場予想を上回り、新車販売台数でGMを抜き1位に輝いた。日系ではトヨタのみ全て増加したが、全て市場予想を上回った。以下、米国をはじめメーカー別動向。

【GM】
GMは前年同月比1.3%増の23万7,364台と、市場予想の4.3%増に届かなかった。前月の減少から反転している。小売販売台数は0.4%増の19万1,388台と、3ヵ月ぶりに減少した前月から改善。全体の新車販売台数で4大ブランド別をみると、3~4月に続き2ブランドで増加した。小売販売台数は3ブランドで増加し、前月の2ブランドより増えている。年間の販売台数をめぐっては、全体の見通しについて「年末予想に沿う水準」と示すにとどめた。3~4月に続き明確な数字を示さず。2月は3年連続で過去最高を更新するか過去最高近くに到達するとし、1月より若干強気な見通しを後退させていた。

・ビュイック 28.5%増の2万77台、3ヵ月連続で増加
→主力のSUV「アンコール」が12.3%増の7,326台と6ヵ月連続で全体を支えたほか、新型「エンビジョン」が4,406台と堅調で、「エンクレーブ」の減少トレンドを抑えた。小売販売台数は14.8%増の1万8,743台と、3ヵ月連続で増加した。

・キャデラック 9.2%像の1万3,211台、2ヵ月連続で増加
→SUVの「エスカレード」が18.7%増の2,203台だったほか、主力セダンの「XT5」が111.5%増の5752台と増加トレンドに転じたが続いたが、新型「XT5」が5,501台と全体を牽引した。小売販売台数は9.8%増の1万2,708台と2ヵ月連続で増加した。

・GMC 5.2%減の4万1,126台、2ヵ月連続で減少
→SUVの「アカディア」が37.9%増の8,835と5ヵ月連続で大幅増となったものの、他が弱い。主力SUV「シエラ」が8.2%減の1万6,200台だったほか、新型「テレイン」も26.4%減の5,527台となる。小売販売台数は6.9%減の3万4,869台と3ヵ月連続で減少した。

・シボレー 3.8%減の16万9,250台、3ヵ月連続で減少
→主力のSUV「シルバラード」が2.7%減の3,804台と3ヵ月連続で減少したほか、「エキノックス」も1.6%減の2万908台、「タホー」も11.6%減の6,567台とそれぞれ減少に転じた。小型車「マリブ」は14.4%減の2万718台と全体の足を引っ張った一方、小型車「クルーズ」の2.7%増の1万7,120台と5ヵ月連続で支え明暗を分けた。小売販売台数は0.3%増の12万6,451台と前月から増加に転じた。

【フォード】
フォードは前年同月比2.2%増の24万1,126台となり、市場予想の0.1%増を超え5ヵ月ぶりに増加した。2大ブランド別では、フォードが6ヵ月ぶり、リンカーンは3ヵ月ぶりに増加に転じている。なお同社は2016年1月、日本とインド市場から撤退を決定した。また、株価下落や業績を受けてマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)が5月に更迭され、スマート・モビリティ部門責任者のジム・ハケット氏を次期CEOに指名。併せて、全世界で1,400人の人員削減を行うと報じられた。詳細は、以下の通り。

・フォード 2.1%増の23万838台、6ヵ月ぶりに増加
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」が12.8%増の7万6,027台と、前月でこそ止まった単月ベースでの2004以来の最高記録を更新した。SUVは5月単月で過去最高を更新し「エクスプローラー」が20.7%増の2万2,715台と3ヵ月ぶりに増加。「エッジ」も11.0%増の1万3,752台と貢献しつつ、「エスケープ」が9.8%減の1万3,752台と減少転じている。小型車は減少トレンドを維持し「フォーカス」は1.9%減の1万7,244台と12ヵ月連続で減少、「フュージョン」も12.1%減の2万1,603台と10ヵ月連続で減少した。

・リンカーン 4.9%増の1万288台、3ヵ月ぶりに増加
→主力の「MKZ」が13.8%減の2,801台と減少に転じたものの、SUVの「MKC」が16.7%増の2,524台と支えた。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比0.5%減の17万7,741台となり、市場予想の3.9%減より下げ幅を縮小した。もっとも、3ヵ月連続でマイナスを示す。2016年9月に増加トレンドを79ヵ月で止めた後、8ヵ月連続で前年比マイナスとなる。5大ブランド別での増加は、2ブランドに。なお2016年9月~2017年1月までラムの1ブランド、2~3月はドッジが加わり4月は再びラムのみとなった。詳細は、以下の通り。

・ラム 18%増の5万1,044台、12ヵ月連続で増加
→主力の「ラム」が16%増の4万4,850台と9ヵ月連続で増加したほか、「プロマスター・バン」は50%増の4,233台と増加に転じた。

・ドッジ 8%増の4万4,922台、3ヵ月ぶりに増加
→主力の「キャラバン」が58%減の1万3,786台と8ヵ月ぶりに増加したほか、「ジャーニー」も23%増の8,003台と6ヵ月連続で増加した。「チャレンジャー」も2%増の6,989台と堅調。ただし「チャージャー」は7,518台と3ヵ月ぶりに減少した。

・ジープ 15%減の7万5,516台、9ヵ月連続で減少
→「チェロキー」が24%減の1万4,635台と減少トレンドを維持したほか、「ペイトリオット」も53%減の4,978台と7ヵ月連続で減少した。一方で「グランド・チェロキー」は14%増の2万726台と6ヵ月連続で増加した。「ラングラー」は2%増の1万9,931台にとなる。

・クライスラー 33%減の1万6,969台、14ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」が325%増の1万1,720台だったものの、セダンの「200」が62%減の2,300台と減少トレンドをたどった。

・フィアット 16%減の2,670台、17ヵ月連続で減少
→「500」が21%減の1,240台と2ヵ月連続で減少したほか、「500X」や「500L」など引き続き2桁減で全体の重石となった。新型「スパイダー」は564台にとどまり、全体を牽引するほどの馬力をみせていない。

自動車メーカー別、米国市場シェアはフォードがトップに躍り出て16%となり、王者GMは15%と2位へ陥落した。3位のトヨタは14.%、4位はフィアット・クライスラーが入り、5位はホンダで10%、6位は日産で9%だった。

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(出所:Good Car Bad Car)

【トヨタ】
トヨタ0.5%減の21万8248台と、市場予想の1.3%減より下げ幅を縮小しつつ5ヵ月連続で減少した。ブランド別ではトヨタが2ヵ月連続で増加したが、レクサスは7ヵ月連続で減少した。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 0.1%増の19万2,847台、2ヵ月連続で増加
→SUVやトラックが回復、販売・生産を打ち切ったSUV「RAV4」が18.9%増の3万8,356台と7ヵ月連続で増加し単月で過去最高を更新した。「ハイランダー」も17.6%増の1万8,115台と、9ヵ月連続で増加し単月で過去最高の記録を塗り替えている。さらに「4ランナー」まで2.1%増と1万1,014台と、他メーカーと比較してSUVの力強さが目立つ。しかしセダンが足を引っ張り「カローラ」が10%減の3万2,937台と6ヵ月連続で減少、「カムリ」も11.8%減の3万2,547台と12ヵ月連続で減少した。

・レクサス 8.6%減の2万5,401台、7ヵ月連続で減少
→乗用車部門が引き続き弱く17.3%減の9,288台と6ヵ月連続で落ち込み、7車種中5車種で減少、2つは横ばいだった。SUVやトラックは7.9%増の1万6,113台と前月から増加に反転、ただし4車種中「NX」を除き全て減少した。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比0.9%増の14万8,414台となり、市場予想の0.7%減に反し好結果を示した。3ヵ月ぶりに増加している。2大ブランド別では、ホンダが0.7%増の13万4,475台と増加に反転。「CR-V」は29%増の3万2,186台と、単月で過去最高を塗り替え全体を支えた。一方で、「シビック」は9.6%減の3万1,989台と4ヵ月連続で減少した。一方でアキュラは38.9%減の1万3,939台と、3ヵ月連続で減少した。

【日産】
日産は0.9%増の13万7,471台となり、市場予想の0.7%減から転じた。2大ブランドでは日産が増加に転じ、インフィニティは1~4月に続き増加した。詳細は、以下の通り。

・日産 1.9%増の12万4,957台、前月から増加に反転
→SUVで主力の「ローグ」が18.6%増の3万2,533台となり、スターウォーズ効果を経ても力強さをみせた。「ムラノ」は7.2%増の6,409台と、5ヵ月ぶりに増加に反転。乗用車では主力の「アルティマ」が15.5%減の2万3,994台と7ヵ月連続で減少したほか、「セントラ」が9.1%減の1万8,731台と弱い。ただし、セダンの「マキシマ」が18.2%増の5,948台と3ヵ月連続で増加した。

・インフィニティ 15.6%増の1万2,514台、7ヵ月連続で増加
→セダンの「Q60」が8倍以上に増加し972台だったほか、「Q50」が42.4%増の3,370台と好調。SUVの「QX70」も33.7%増の1,424台と増加を支えた。

その他の海外メーカーは、以下の通り。

・フォルクスワーゲン(VW) 4.3%増の3万14台、7ヵ月連続で増加
→排ガス不正が発覚した2015年9月に続き同年11月にはガソリン車にも火種が及んだ影響からか以降は11ヵ月連続で減少しつつ、2016年11月から6ヵ月連続で増加した。アウディは2.5%増の1万9,197台と増加トレンドをたどる。グループ全体では3.8%増の4万9,525台と7ヵ月連続で増加した。

・テスラ(推計値)は37.3%増の4,050台、増加トレンドを維持
・ヒュンダイは15.5%減の6万11台
・キアは5.6%減の5万8,507台と5ヵ月連続で減少

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブは前年同月比9.5%上昇の3,435ドルで、前月の13.9%増の3,465ドル以下にとどまった。2桁増トレンドが途切れたといっても、新車販売台数のテコ入れにインセンティブを拡大させたことが分かる。前年比での伸び率はもともとインセンティブが非常に低かったスバルが58.9%の上昇と群を抜く一方で、もともとインセンティブが高いヒュンダイが50.5%の上昇と目覚ましい。

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(出所:Truecar)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回、高級車御三家のメルセデス・ベンツ、BMW、レクサスがトップ3を維持した。トップ3では年初から変わらずメルセデス・ベンツが1位、BMWが2位、レクサスが3位となる。

1位 メルセデス・ベンツ 6.8%減の2万9,959台
→5ヵ月連続で1位、年初来でも0.9%減の14万5,658台と首位。2016年は前年比0.4%増の37万4,541台で、2015年に続きトップの座に堅持した。なお2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 BMW 11.0%減の2万5,818台
→5ヵ月連続で2位、年初来で3.6%減の12万124台で2位。2016年は9.5%減の31万3,174台で3位、2015年は1.8%増の34万6023台で首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

3位 レクサス 4.8%減の2万5,401台
→5ヵ月連続で3位、年初来でも13.1%減の10万9,362台で3位。2016年は3.9%減の33万1,228台で2位に終わった。2015年は10.7%増の34万4601台で3位。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまる。

4位 ビュイック(GM)28.5%増の2万77台
→4ヵ月連続で4位、年初来では3.9%増の9万1,017台で4位。2016年は2.9%増の22万9,631台、2015年も2.6%減の22万3055台で共に4位だった。

5位 アウディ(VW)2.5%増1万9,197台
→4ヵ月連続で5位、年初来では6.5%増の8万3,555台と5位。2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2202台で共に5位だった。

6位 アキュラ 12.8%減の1万4,132台
→2ヵ月連続で6位、年初来では15.1%減の4万5,894台で8位。2016年は8.9%減の16万1,360台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

7位 キャデラック 9.2%増の1万3,211台
→2ヵ月連続で7位。年初来では0.9%増の5万9,493台で7位。2016年は3.0%減の17万6台で6位だったが、「インフィニティ」に追い抜かれた。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

8位 インフィニティ 15.6%増の1万2,514台
→2ヵ月連続で8位。年初来では24.0%増の6万6,872台で6位。2016年は3.6%増の13万8,293台で8位だったが、順位を上げて2017年のスタートを切った。2015年は13.8%増の13万3498台で8位となる。

新車販売台数:モデル別ランキング(%は前年同月比)で、今回は圏外からホンダの「CR-V」がランクインし、代わりにホンダの「アコード」がトップ10から陥落した。

1位 Fシリーズ(フォード)12.8%増の7万6,027台、前月も1位
2位 ラム(フィアット・クライスラー)16.3%増の4万4,850台 前月も2位
3位 シルバラード(GM)2.7%減の4万3,804台 前月も3位
4位 Rav4(トヨタ)18.9%増の3万8,356台、前月は5位
5位 CR-V(ホンダ)5.0%増の3万3,547台、前月は4位

6位 カムリ(トヨタ)11.8%減の3万2,547台 前月も6位
7位 ローグ(日産)18.6%増の3万2,533台 前月は9位
8位 CR-V(ホンダ)9.6%増の3万1,989台 前月は圏外
9位 シビック(ホンダ)9.6%減の3万1,989台 前月は7位
10位 カローラ(トヨタ)11.3%減の3万942台 前月は8位

SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)は以下の通り。大きな変動はなくスバルの「アウトバック」が圏外に落ちた代わりに、トヨタの「ハイランダー」カムバックした。

1位 Rav4(トヨタ)18.9%増の3万8,356台 前月は2位
2位 ローグ(日産)18.6%増の3万2,533台 前月は3位
3位 CR-V(ホンダ)9.6%増の3万1,989台 前月は1位
4位 エスケープ(フォード)9.8%減の2万7,830台 前月も4位
5位 エクスプローラー(フォード)17.6%増の2万5,632台、前月も5位

6位 エキノックス(GM、シボレー)1.6%減の2万908台、前月も6位
7位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)13.8%増の2万726台、前月も7位
8位 ジープ・ラングラー(フィアット・クライスラー)1.9%増の1万9,931台、前月は10位
9位 ハイランダー(トヨタ)22.5%増の1万8,115台、前月は10位
10位 フォレスター(スバル)6.3%増の1万6,280台、前月は8位

(カバー写真:Ford

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