Consumer Spending Fails To Accelerate Despite Income Gain.
米5月個人消費支出は前月比0.1%増と、市場予想に並んだ。前月の0.4%増を下回りつつ、14ヵ月連続で増加している。インフレを除く実質ベースでの個人消費は0.1%増と、市場予想並びに前月の0.2%増に届かず。ただし、3ヵ月連続でプラスとなった。1~2月に金融危機後の2009年2~4月以来となる2ヵ月連続で減少したが、改善を示すプラスに反転している。実質ベースでの個人消費は前年比で2.7%増となり、前月と変わらず2016年の平均値に並んだ。
個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。新車販売台数が5月も1,700万台を割り込んだため耐久財が弱かった上、非耐久財はガソリン価格の下落が重石となっている。サービスも堅調な流れを保った。
・モノは0.466%減、前月の0.685%増から転じ過去5ヵ月間で3回目の減少
>耐久財 0.303%減、前月の1.101%増から転じ過去5ヵ月間で3回目の減少
>非耐久財 0.547%増、前月の0.514%増から転じ過去5ヵ月間で2回目の減少
・サービス 0.303%増、前月の0.227%増に続き少なくとも8ヵ月連続で増加
米5月個人所得は前月比0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の0.3%増を含め、6ヵ月連続でプラスを示す。前年比は実質ベースで前年同月比2.0%増と、前月の1.8%増を上回った。可処分所得は前月比0.4%増と、5ヵ月連続で増加した。実質の可処分所得は0.6%増と、前月の0.2%増と合わせ5ヵ月連続で増加した。前年同月比では2.2%増と、前月の1.8%増を超え、7ヵ月ぶりの水準を回復している。貯蓄率は個人所得の伸びが個人消費を上回ったため、前月まで2ヵ月連続での5.1%を経て5.5%と2016年9月以来の高水準だった。
個人消費、所得は前年比の実質ベースで伸び鈍化。
所得の内訳は、以下の通り。
・賃金/所得 0.1%増、前月の0.5%増から鈍化(民間が0.1%増と前月の0.6%増から伸びを狭め、サービス部門が0.1%増と前月の0.7%増から鈍化が著しい。財部門(製造業、鉱業、建設)は0.1%増と、前月の0.2%増に届かず。
・不動産収入 0.6%増、前月の0.2%減から改善(農場が1.6%増と5ヵ月連続で増加、非農場は0.6%増と少なくとも9ヵ月ぶりに減少した前月から改善)
・家賃収入 0.7%増、前月を含め13ヵ月連続で増加
・資産収入 1.7%増と前月の0.1%減から大幅改善(配当が4.8%増、金利収入は金利低下を背景に0.4%減と2ヵ月連続で減少)
・社会補助 0.1%増、前月の±0%から改善
・社会福祉 0.1%増、前月の±0%から増加へ反転(メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.2%増と前月の0.1%増を含め3ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.4%増と増加基調を維持、失業保険は2.2%減と5ヵ月連続でマイナス)
個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が50ドル割れで推移するなか、前月比0.1%低下、市場予想と一致した。前月の0.2%の上昇からマイナスに転じ、2016年2月以降で低下は3月に続き、2回目となる。前年比は1.4%上昇し、市場予想の1.5%や前月の1.7%を下回った。2012年4月以来の2%乗せを達成した2月の2.1%から減速を続け、2016年11月以来の低水準を示す。コアPCEデフレーターは前月比0.1%上昇し、市場予想通りだった。前月の0.1%(0.2%から下方修正)を含め、2ヵ月連続で上昇した。コアPCEデフレーターの前年比は1.4%上昇し市場予想通りだったが、前月の1.5%を下回り、2015年12月以来の低水準だった。PCEとコアは米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」を視野に入れつつ、2012年5月以来の「2%」割れを続けた。
PCE、コアPCEそろって減速続きに。
(作成:My Big Apple NY)
――5月は個人所得が予想外に伸びを遂げたとはいえ①家賃、②不動産、③資産――といった収入が押し上げ、賃金・所得自体は減速しています。そのため、貯蓄率を押し上げた割に個人消費は伸び悩みを続けました。米4~6月期GDPにはポジティブな内容とは言えず、JPモルガンは米4~6月期個人消費見通しを従来の3.5%増から3.0%増へ下方修正しています。併せて「米4~6月期GDP伸び率予想値の3.0%増を下回るリスクが出てきた」とも指摘。当初より、回復の勢いは着実に衰えつつあります。
(カバー写真:Paulien Osse /Flickr)
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