Consumer Confidence Rises To Highest Since 2000.
米7月消費者信頼感指数と米6月耐久財受注をおさらいしていきます。
米7月消費者信頼感指数は121.1となり、市場予想の116.5を上回った。前月の117.3(118.9から下方修正)を超え、2000年12月以来の高水準。内訳をみると、見通し指数が103.3と前月の99.6を超え2000年9月以来で2番目の水準へ上昇。現況指数も147.8と、前月の143.9(146.3から下方修正)を上回り、2001年7月以来のレベルまで上振れした。ロシアゲートに揺れ医療保険制度改革(オバマケア)代替案移行や税制改革が進まないものの、イエレンFRB議長によるハト派寄りな議会証言を受けて米株が最高値を更新し、センチメントを押し上げたとみられる。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果に対し「消費者は下半期も足元の成長拡大が続くと見込んでいる」との考えを寄せた。
消費者信頼感指数、リセッション前の平均値103.5を目指せるか。
(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)
今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは16.1だった。前月の13.6を上回り、2001年8月以来の高水準だった。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が上昇
「良い」33.3%→前月の30.6%から上昇、前年同月は27.3%
「悪い」13.5%→前月の13.4%から上昇、前年同月は18.5%
労働市場については「豊富」が上昇し、「困難」が低下、DIは13ヵ月連続でプラスを示す
「職が豊富」34.1%→前月の32.0%から上昇、前年同月は23.0%
「あまり職が豊富ではない」47.9%→前月の49.6%から低下、前年同月は54.9%
「職探しが困難」18.0%→前月の18.4%から低下、前年同月は22.1%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇し「悪化する」が低下
「良くなる」22.9%→前月の20.1%から上昇、前年同月は15.7%
「悪化する」8.2%→前月の10.0%から低下、前年同月は12.4%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下したが、「増加」が9ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」19.2%→前月の19.2%から上昇、前年同月は13.5%
「雇用が減少する」13.3%→前月の14.6%から低下、前年同月は17.4%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下、「減少」が上昇
「増加する」20.0%→前月の20.9%から低下、前年同月は17.1%
「減少する」10.0%→前月の9.3%から上昇、前年同月は11.0%
購入見通しは、主要機器を除き上昇した。住宅は6.7%と7ヵ月ぶりの高水準に並ぶ。自動車は12.7%と、3ヵ月ぶりのレベルを回復。逆に主要機器は46.1%と、直近で最低を示した。
――米7月消費者信頼感指数は、あらためてセンチメントの力強さをみせつけました。小売売上高が6月までに2ヵ月連続で減少したとは思えません。敢えて今回の消費者信頼感指数に難癖をつけるなら、所得見通しでしょう。見通し指数が上向いただけでなく労働市場も強気な見方が優勢であるにも関わらず、所得が増加する見通しは低下、減少する見通しが上昇しています。インフレは比較的落ち着いているだけに、物価の影響を意識しているようには思えません。職はあれど、所得は伸び悩むというのは賃上げ圧力が低いことを示すのかかつて賃金の低迷と職の増加は日本だけの社会問題とされてきましたが、米国でも着実に広がっているようです。
▽米6月耐久財受注、航空機が押し上げもコア資本財は鈍化
米6月耐久財受注は前月比6.5%増となり、市場予想の3.9%増を上回った。前月の0.1%減(0.8%減から上方修正)を大幅に超え、3ヵ月ぶりプラス。伸び率としては、2014年7月以来の高水準だった。輸送用機器が19.0%増と、前月の0.9%減を上回り3ヵ月ぶりに増加。民間航空機が押し上げたためで、自動車は3ヵ月ぶりに減少していた。防衛財は3.8%増と、前月の6.2%減からプラスに転じた。企業の設備投資を表す民間航空機を除く非防衛資本財は0.1%減と、市場予想の0.3%増に反する結果となった。年初来で初の減少を示す。
耐久財出荷は前月比±0%となり、前月の1.2%増(修正値)を下回った。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.2%増となり、市場予想の0.3%増を下回った。前月の0.7%増(0.2%増から上方修正)に続き、5ヵ月連続で増加した。
前年比では、輸送を除いた耐久財受注をはじめコア資本財の受注と出荷ともに回復。
(作成:My Big Apple NY)
耐久財在庫は0.4%増となり、前月の0.1%増を含め6ヵ月連続で増加した。在庫の伸びが出荷を上回った、在庫相当は1.68ヵ月と前月の1.67ヵ月から短縮した。
――耐久財受注は四半期末に増加する傾向が高いものの、民間航空機に支えられた程度でした。機械は4ヵ月で増加トレンドを止め、一次金属は直近で初めて減少。電気機器や組み立て金属も伸びが鈍化しており、短期的に設備投資が加速するようには見えません。
耐久財受注が勢いを失いつつあるように、地区連銀ベースの製造業景況指数も鈍化が目立ちます。
(出所:My Big Apple NY)
ドル高が一服しているものの、米7月ISM製造業景況指数も鈍化する可能性が高まってきました。足元で原油価格が再び50ドル台を目指すなか、設備投資の需要を押し上げられるのかが問題。一部決算では企業の設備投資と関係の深い複合企業の決算が弱含みましたが、一時的にとどまるのか注目です。
(カバー写真:Happy Worker/Flickr)
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