Hurricane Harvey Did Not Affect Durable Goods Orders In August.
米8月耐久財受注、米8月中古住宅販売成約件数指数をおさらいしていきます。
米8月耐久財受注は前月比1.7%増となり、市場予想の1.0%増を上回った。減少率としては、2014年8月以来で最大だった前月の6.8%減から小幅ながら増加に反転している。過去6ヵ月間で3回目のプラスとなった。ハリケーン“ハービー”が直撃したものの、鉱工業生産と違って下振れを回避している。
内訳をみると、輸送用機器を除く耐久財は0.2%増と、市場予想と一致した。前月の0.8%増(0.6%増から上方修正)を含め、2ヵ月連続で増加している。輸送用機器4.9%増と前月の19.9%減から反転。民間航空機が44.8%増と前月の71.1%減から回復したためで、自動車も1.5%増と前月の2.1%減から改善していた。防衛財は9.4%減、前月の15.3%増より弱く3ヵ月ぶりに減少した。企業の設備投資を表す民間航空機を除く非防衛財は0.9%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の1.1%増(1.0%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、2ヵ月連続で増加している。
耐久財出荷は前月比0.3%増となり、前月の0.1%増(修正値)を上回った。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財の出荷は0.7%増と、市場予想の0.1%増を上回った。6ヵ月ぶりの高水準だった前月の1.2%増(1.1%増から上方修正)に及ばなかったものの、7ヵ月連続で増加した。
前年比では、輸送を除いた耐久財受注をはじめコア資本財の受注と出荷ともに回復。
耐久財在庫は0.3%増となり、前月の0.4%増(修正値)を含め8ヵ月連続で増加した。在庫の伸びが出荷と変わらず、在庫相当は前月と変わらず1.69ヵ月だった。
▽米8月中古住宅販売成約件数指数、全米が下振れし2ヵ月連続でマイナス
米8月中古住宅販売成約件数指数は前月比2.6%低下の106.3となり、市場予想の0.5%より下げ幅を広げた。金利が低下していたにも関わらず、ハリケーン“ハービー”の影響もあって前月の0.8%の低下を含め2ヵ月連続でマイナスとなる。ただし指数としては高い水準を保つ。季節調整前の前年比では3.1%低下し、2ヵ月連続でマイナスだった。
4大地域別では、前月比にて2ヵ月連続でマイナスに落ち込んだ。北東部と南部が4.4%低下、中西部は1.5%低下しそれぞれ2ヵ月連続で下振れ。西部は1.0%低下し、3ヵ月ぶりのマイナスだった。
発表元である全米リアルター協会(NAR)のローレンス・ユン主席エコノミストは、結果を受け「低水準にある住宅在庫と値上がりの二重苦から低下を余儀なくされた」と振り返る。需要自体は「全米で供給を上回る状況で、年初から住宅購入を検討していた潜在的購入者は家探しを一時的に中止する状況」と明かす。
なお中古住宅販売成約件数指数は、中古の一戸建ておよびコンドミニアムにおける契約が仮契約から最終契約にいたった件数を指数化したもので、中古住宅販売件数は引き渡しの件数を示す。従って、成約件数の約80%が1~2カ月後に中古住宅販売件数として組み込まれる。
――米4~6月期GDP確報値から米8月耐久財受注の結果を受けて、アトランタ地区連銀は米7~9月期GDP予測値を従来の2.2%増から2.1%増へ下方修正してきました。逆にバークレイズは、米8月耐久財受注を好感し米7~9月期GDP予測値を従来の2.1%増から2.2%増へ上方修正しています。いずれにしても、設備投資が成長を支える見通しながら住宅投資は伸び悩む気配が濃厚。個人消費もハリケーンの影響で下押しされかねず、7~9月期成長率は2%台であれば御の字といったところでしょう。
(カバー写真:feck_aRt_post/Flickr)
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