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米9月NFIB中小企業楽観度、経済見通しと共に2016年11月以来の低水準

by • October 11, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2021

NFIB Small Business Optimism Slips To The Lowest Since Last November.

米9月NFIB中小企業楽観度指数は103.0となり、市場予想の105を下回った。2004年12月以来の高水準に接近した前月の105.3に届かず。2016年11月以来の低水準となり、米大統領選以降での上げ幅を削った。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果を受け「中小企業オーナーは医療保険制度改革や税制改革への期待を維持しているが、どのような変化が起こるかは判然としない」と振り返った。ただ、一連の政策には「改善を望む」とコメント。ハリケーンの影響については「全米で楽観度が低下している」とし、センチメントを押し下げた要因として挙げていない。

なお9月27日に公表された税制改革案では、個人事業主をはじめ特定目的会社(SPC・TMK)や有限責任事業組合(LLP)に分別されるパススルー事業体の投資に減税措置を設けられた。米国でパススルー事業体は、法人税を支払う義務がない。代わりにパススルー事業体のパートナー及び投資家は、配当などの利益に対し所得税を支払い、課税率は最高で39.6%。税制改革の骨子では25%への引き下げを提示している。

米国でのパススルー事業体数、その利益動向。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目2016年11~17年7月に続き10項目となり、前月の11項目から減少した。前月にプラスへ転換した「在庫満足度」が再び下振れしている。そのほか全般的に低下が目立ち、「経済がより良くなる」との回答はヘッドラインと同じく2016年11月以来の水準へ低下。「事業拡大に良いタイミング」や「売上の拡大を予想」2桁の大幅低下を示す。そのほか「設備投資を拡大した」、「賃金」なども鈍化。逆に「採用見通し」や「賃上げ見通し」は上向いた。以下は、項目ごとの変化。

「経済がより良くなる」31%、2016年11月以来の低水準<前月は37%、6ヵ月平均は36%
「求人件数」30%>前月は31%、6ヵ月平均は32%
「設備投資を拡大した」30%<前月は32%、6ヵ月平均は29%
「賃金」25%<前月は28%、6ヵ月平均は26%
「賃上げ見通し」19%、米大統領選後で最高に並ぶ>前月は15%、6ヵ月平均は18%

「採用見通し」19%と1999年以来で最高>前月は18%、6ヵ月平均は18%
「事業拡大に良いタイミング」17%、2016年11月以来で最低<前月は27%、6ヵ月平均は23%
「売上の拡大を予想」15%、2016年11月以来で最低<前月は27%、6ヵ月平均は21%
「在庫を増加させる」7%、直近で最高>前月は2%、6ヵ月平均は4%
「販売価格の引き上げ」6%<前月は9%、6ヵ月平均は6%

「在庫満足度」−3%<前月は2%、6ヵ月平均は−3%
「信用状況が緩和する」−4%<前月は−3%、6ヵ月平均は−4%
「黒字トレンドにある」−11%=前月は−11%、6ヵ月平均は−10%

NFIB、楽観度指数は2016年11月以来の低水準。

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ISMとは正反対の結果に。

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(作成:My Big Apple NY)

――米4~6月期GDP確報値が約2年ぶりのレベルに到達しトランプ米大統領の成長目標を超えたものの、米9月NFIB中小企業楽観度指数が低下しました。しかし、約13年ぶりの高水準近くを維持していることに変わりありません。「経済がより良くなる」と回答も、2014年から2016年10月までの平均値10.9を上回ります。また、「採用見通し」は1999年以来の高水準でした。今後は税制改革の内容と進展がセンチメントを大きく左右することでしょう。

(カバー写真:Mike Schinkel/Flickr)

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