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米9月人員削減予定数は前年比減少も、ホリデー商戦の雇用に息切れ感

by • October 10, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1788

Job Cuts Decrease, While Holiday Hiring Plans Losing The Steam.

米9 月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比27.0%減の32,346人となった。4ヵ月ぶりの高水準となった8月から4.6%減少。前月比では、減少に転じた。年初来の人員削減予定数は、前年同期比で26.2%減の321,478人だった。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「下半期に入ってからも、規制緩和や医療保険費用負担の減少を期待して雇用削減は低水準にとどまり、雇用者は既存の労働力を維持している」と振り返った。また「多くの特殊技能職の求人は未だ埋まっていない」とも付け加え、人材不足の現状も指摘する。

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(作成:My Big Apple NY)

年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは、以下の通り。1〜8 月と変わらず1位は小売で67,596人となり、金融危機直後にあたる2009年以来で最高を示す。ただし2位以下には変動がみられ、2位はヘルスケアからサービスに取って代わり、4位には圏外から食品がランクインし、代わりに産業が圏外へ消えた。5位は自動車が入った。なお8月の1位は小売、2位はヘルスケア、3位はサービス、4位自動車、5位は産業となる。

1位 小売 71,057人(全体の22.1%)
2位 サービス 24,977人(全体の7.8%)
3位 ヘルスケア 24,761人(全体の7.7%)
4位 食品 17,188人(全体の5.4%)
5位 自動車 16,231人(全体の5.1%)

年初来での州別動向は、3ヵ月連続で変わらず。1位がIT企業のメッカであるカリフォルニア州、2位がテキサス州、3位がラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州、4位は日本車メーカーが多く進出しラストベルトの一角を成すインディアナ州、5位がニューヨーク州だった。

1位 カリフォルニア州 45,793人(全体の14.2%)
2位 テキサス州 28,375人(全体の8.8%)
3位 オハイオ州 23,387人(全体の7.3%)
4位 インディアナ州 22,553人(全体の7.0%)
5位 ニューヨーク州 20,336人(全体の6.3%)

9月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。8月は1位が建設、2位は小売、3位は金融、4位はサービス、5位は建設となる。

1位 製薬 4,251人(全体の13.1%)
2位 サービス 3,916人(全体の12.1%)
3位 小売 3,461人(全体の10.7%)
4位 建設 3,183人(全体の9.8%)
5位 食品 3,009人(全体の9.3%)

リストラ実施の理由、9月のランキングは以下の通り。今回は8月に圏外から4位に入ったアウトソースが外れ、代わりに合併・買収(M&A)が上位に食い込んだ。前月は1位がコスト削減、2位が閉鎖、3位が再編、4位がアウトソーシング、5位が契約切れだった。

1位 コスト削減 17,686人(全体の54.7%)
2位 閉鎖 7,480人(全体の6.3%)
4位 契約切れ 1,453人(全体の4.5%)
5位 M&A 828人(全体の2.6%)

採用予定数は、前年同月比59.7%増の422,726人だった。8月から3倍増となる。ただし、1〜9月では993,749人と、前年同期比で2倍近い水準となり既に2016年全体の採用予定数である868,702人を上回った。9月は、小売が271,600人と大幅増を遂げ3ヵ月連続で1位だった。なお8月は1位が小売、2位が保険、3位が消費財、4位が輸送、5位がサービスだった。

1位 小売 271,600人
2位 輸送 145,500人
3位 自動車 2,210人
4位 サービス 1,307人
5位 産業財 606人

――米9月雇用統計・非農業部門就労者(NFP)が衝撃的な結果だった半面、9月の採用予定数は好調でした。ただし、前年同月比は13.2%減少。9月単月では、少なくとも2012年以降で最低の伸びにとどまります。採用予定を発表した企業の一覧は、以下の通り。2017年以外の数字を含め、9月時点の数字となります。

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(作成:My Big Apple NY)

ホリデー商戦の臨時雇用のうち約65%を9月で占めるとなれば現状、幸先が良いスタートを切ったとは言えません。

なお、全米小売業協会(NRF)では、今年のホリデー商戦は前年比3.5~4%増、金額にして6,788億~6,820億ドルと過去最高になると試算されています。2010年から続く史上最高記録更新は、8年連続となる見通しです。

2017年のホリデー商戦臨時雇用はというと、50,000~55,000人と金融危機のほとぼりがまだ冷めやらぬ2009年以来で最低にとどまっていました。小売店が店舗型からオンラインへ移行する過程で、成長率との臨時雇用者数に乖離が生じないとも限りません。

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(作成:My Big Apple NY)

オンライン売上動向を振り返ると、2016年のオンライン売上高は12.6%増の1,229億ドルでした。ホリデー商戦全体の売上高のうち18.7%と、小売売上高の8.9%を大幅に上回るシェアを誇るまでに拡大していたのです。雇用統計にも、オンライン化の波が直撃すること間違いありません。

(カバー写真:Hamza Butt/Flickr)

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