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米8月貿易収支、輸出が約3年ぶりの高水準で赤字縮小

by • October 10, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1414

U.S. Trade Deficit Narrows As Export Posts Highest In 3 Years.

米8月貿易収支は423.959億ドルの赤字となり、市場予想の427億ドルを下回った。前月の435.58億ドル(436.42億ドルから修正)から2.7%縮小し、2016年9月以来の低水準。原油関連を除く貿易赤字は375.50億ドルと、前月の405.41億ドル(405.97億ドルから修正)を大幅に下回り、5ヵ月ぶりの低水準となる。

内訳をみると、輸出が1,953.20億ドルで、前月から0.4%増加した。前月の減少を打ち消し、2014年12月以来の高水準を示す。輸入は0.1%減(4ヵ月連続で減少)の2,377.15億ドルと5ヵ月ぶりの低水準となり、赤字縮小を促した。

輸出増・輸入減で、貿易赤字は約1年ぶりの低水準。

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(作成:My Big Apple NY)

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、617.61億ドルだった。年初来で2番目の高水準だった前月の618.03億ドル(610.23億ドルから修正)を小幅に下回る程度となる。

なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。

8月の輸出内訳をみると、モノは前月比0.4%増と過去4ヵ月間で3回目の増加となった。消費財が大幅増だったほか資本財、自動車、サービスが支えた一方、産業財や食品・飲料が減少した。

(増加項目)
・消費財 6.5%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は4.1%減
・自動車 0.5%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は4.4%減
・資本財 0.9%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は2.2%増
・サービス 0.2%減、過去5ヵ月間で初の減少<前月は1.0%増

(減少項目)
・産業財 2.5%減、過去5ヵ月間3回目の減少<前月は3.5%増
・食品/飲料 3.4%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は3.5%増

輸入の内訳をみると、モノは0.2%減と4ヵ月連続で減少した。原油価格が伸び悩むなか、量ベースでのエネルギー関連輸入が7.3%増と3ヵ月ぶりに増加し、金額ベースでも前月から増加に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は0.6%減と、前月の0.3%増から転じ3ヵ月連続ぶりに減少。項目別では自動車と消費財が増加した半面、産業財と資本財、食品・飲料が減少した。詳細は、以下の通り。

(増加項目)
・自動車 2.3%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は2.7%減
・消費財 0.2%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は±0%

(減少項目)
・産業財 1.3%減、過去5ヵ月間で4回目の減少>前月は1.9%減
・資本財 0.9%減、過去5ヵ月間で初めての減少<前月は2.4%増\
・食品/飲料 0.7%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は1.7%増

国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比4.0%増の348.94億ドルと6ヵ月連続で増加し2015年8月以来の水準へ膨らんだ。日本への赤字は13.5%増の67.54億ドルと3ヵ月ぶりに増加。逆に欧州全体への赤字額は8.4%減の144.74億ドルと、減少に転じた。欧州のうち英国との貿易収支は6.20億ドルの黒字となり、6ヵ月ぶりの赤字となった前月の1.93億ドルの赤字から黒字に転じた。

主な原油輸出国への貿易収支は、輸入量が増加したため赤字拡大が優勢だった。メキシコに対する赤字額は、25.5%増の61.78億ドルと3ヵ月ぶりに増加。石油輸出国機構(OPEC)への貿易赤字は前月比2倍の14.16億ドルの赤字となり、8ヵ月連続で赤字を計上した。一方でカナダへの貿易赤字は61.4%減の4.10億ドルと、前月の10.63億ドルから赤字幅が大きく縮小しつつ11ヵ月連続で赤字を計上している。

以下は、今回の各国ごとの前年比ベースの貿易収支動向。貿易赤字は日本のほか、インド、マレーシア、韓国などアジア諸国で減少したが、中国では増加した。その他、輸出や輸入を含めた動向は以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

――貿易赤字の縮小を受けながら、バークレイズは輸出の伸びが8月に予想以下にとどまったと指摘したほか、過去2ヵ月分が下方修正された輸出に着目し米7~9月期GDP予想を「従来の2.2%増から2.0%増」へ下方修正しています。ただし、米8月製造業受注が巻き返したため、あらためて「2.2%増」に戻しました。一方、アトランタ地区連銀は6日時点での米7~9月期GDP予測値を2.5%増とし、従来の2.8%増から下方修正NY連銀は6日時点で1.46%増とし、従来の1.53%増から引き下げつつ四捨五入前では1.5%で変わらず。ハリケーン“ハービー”の影響が意識されたものの、8月時点での貿易収支への影響は限定的で、成長率にも今のところ大きく響かない見通しとなっています。

(カバー写真:Louis Vest/Flickr)

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