Industrial Production Rebounds After The Hurricane, But Remains Subdued.
米9月鉱工業生産、米10月NY連銀製造業景況指数、米10月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米9月鉱工業生産指数は前月比0.3%上昇し、市場予想と一致した。2016年11月以来のマイナスを迎えた前月の0.7%の低下(0.9%の低下から上方修正)から改善している。米9月新車販売台数が前年割れ基調から脱却し大幅増加を遂げたものの、牽引役はコンピューターや機械だった。また、公益や鉱業も支えた。稼働率は76.0%と市場予想の76.2%以下に。6ヵ月ぶりの低水準だった前月の75.8%(76.2%から下方修正)を上回ったとはいえ、リセッション前の80%乗せが引き続き遠い。
内訳をみると、製造業(全体の78.5%)は3ヵ月ぶりに低下した前月から改善した。自動車を除いた製造業も、3ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んだ前月から上昇に転じている。公益(全体の10.8%)は気温の低下に伴い、上昇。鉱業(全体の10.8%)は原油価格が50ドル乗せを回復した恩恵から、プラスに転じた。
・製造業 0.1%の上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
>自動車 0.1%の上昇<前月は3.6%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下
>機械 3.0%の上昇>前月は2.2%の低下、6ヵ月平均は0.7%の上昇
>コンピューター/電気製品 0.9%の上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・公益 1.5%の上昇>前月は4.9%の低下、6ヵ月平均は±0%
>電力 1.5%の上昇>前月は5.0%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下
>天然ガス 1.4%の上昇>前月は3.8%の低下、6ヵ月平均は0.8%の上昇
・鉱業 0.4%の上昇<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.5%の上昇
鉱工業生産、ハリケーン後の復興需要が顕著なる時期は10~12月期か。
(出所:My Big Apple NY)
▽米10月NY連銀製造業景況指数、約3年ぶり高水準も全体的にはまちまち
米10月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は30.2となり、市場予想の20.4を上回った。前月の24.4を超え、2014年9月の高水準に並んだ。項目別では、出荷をはじめ販売価格、雇用が上向いた。一方で新規受注、在庫、仕入れ価格、平均労働時間などが低下。特に在庫は再び分岐点割れに転じた。詳細は、以下の通り。
各連銀が発表する製造業景況指数、NYはハリケーン通過後に幸先良いスタート。
・新規受注 18<前月は24.9、6ヵ月平均は15.1
・出荷 27.5>前月は16.2、6ヵ月平均は16.6
・在庫 マイナス7.8>前月は6.5、6ヵ月平均は0.5
・雇用 15.6>前月は10.6、6ヵ月平均は9.3
・平均労働時間 0<前月は5.7、6ヵ月平均は5.4
・仕入れ価格 35.8>前月は31.0、6ヵ月平均は27.0
・販売価格 13.8>前月は6.2、6ヵ月平均は9.8
・入荷時間 3.1<前月は14.6、6ヵ月平均は6.7
・受注残 2.3<前月は8.9、6ヵ月平均は0.5
6ヵ月先見通し指数は44.8と、前月の39.3を超え4ヵ月ぶりの高水準だった。項目別では、新規受注と出荷、平均労働時間、雇用、仕入れ価格、販売価格、設備投資、仕入れ価格が上昇。現況指数より明るさが増した内容となっている。
――米9月鉱工業生産とは改善したとはいえ、力不足に終わっています。ハリケーンの影響が依然としてくすぶっているようです。発表元のFRBは「9月の鉱工業生産は“イルマ”の影響で0.25%ポイント、7~9月期では年率1.5%押し下げ、ハリケーンを除いた7~9月期は0.5%の上昇となる」と分析していました。10~12月期に復興支援の押し上げ効果が期待されるなかで、米10月NY連銀製造業景況指数のうち特に見通し指数が上向いた点は好材料。下半期の米成長率はモメンタムを取り戻すとみられ、トランプ政権発足して記念すべき最初の年の成長率は2%台を回復する可能性が強まってきました。
▽米10月NAHB住宅市場指数、2016年11月以来の水準へ戻す
米10月NAHB住宅市場指数は68となり、市場予想並びに前月の64を上回った。ハリケーン“ハービー”や“イルマ”の影響で9月は2016年11月以来の低水準だった7月のレベルへ戻したが、今回は5ヵ月ぶりの高水準。米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の伸びが鈍化した上、金利低下にブレーキが掛かりつつあり、センチメントの伸びを抑えたようだ。
内訳をみると、一戸建て現況指数が前月の70を上回り75と5ヵ月ぶりの高水準だった。低下した。一戸建て見通し指数も78と、2005年6月以来で最高に。客足の動向を表す見込み客指数は48と、2016年11月以来の低水準だった前月の47を超え分岐点割れを維持した。
指数は全体的に下向き。
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「ハリケーンの衝撃から回復したが、建築業者は素材価格の高騰や人材不足などハリケーンの長期的な影響に注意すべき」と慎重な見解を寄せた。逆に、ロバート・ディエス主席エコノミストは「中古住宅の在庫減少のほか、(人口、移民の増加に伴う)世帯形成の見通しを踏まえると暫くは力強さを保つ」と楽観的な認識を示す。
――建築業者のセンチメントが大幅改善したものの、客足の動向を表す見込み客指数は5ヵ月連続で分岐点割れとなっています。住宅価格の高騰が災いしているためか、住宅への需要が再び高まってきたかというと疑問が残ります。販売行動に反映されるか、ひとまず本日の米9月住宅着工件数を見極めていきたいところです。
(カバー写真:Mark Yokoyama/Flickr)
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