Trade Deficit Widens To 9-Month High As Import Rises To The Highest.
米10月貿易収支は487.31億ドルの赤字となり、市場予想の475億ドルを上回った。9ヵ月ぶりの高水準となる。前月の448.90億ドル(434.95億ドルから修正)から8.6%増加している。原油関連を除く貿易赤字は455.02億ドルと、前月の409.55億ドル(修正値)を超え過去最高を更新した。ハリケーン復興需要に加え、ホリデー商戦を前に小売業者が在庫を積み増したと考えられるほか、新型のiPhone X関連が押し上げた可能性がある。
内訳をみると、輸出が±0%の1,959.07億ドルとなり増加トレンドを2ヵ月で止めた。前月の2014年12月以来の高水準と、ほぼ変わらず。逆に輸入は1.6%増(2ヵ月連続で増加)の2,446.39億ドルと過去最大となり、赤字の増加を促した。
輸入が過去最高を塗り替え、貿易赤字は9ヵ月ぶりの水準へ増加。
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、653.20億ドルだった。前月の621.77億ドル(622.05億ドルから修正)を超え、9ヵ月ぶりの水準へ膨らんだ。
なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5,025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。
10月の輸出内訳をみると、モノは前月比±0%と過去5ヵ月間で3回目の増加となった。産業財が前月に続き大幅増だったほかサービスが足元の基調に沿い増加した程度で、他は資本財や自動車をはじめ軒並み減少した。
(増加項目)
・産業財 6.8%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は5.2%増
・サービス 0.5%増、過去5ヵ月間で5回目の増加<前月は0.6%増
(減少項目)
・食品・飲料 11.2%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は1.1%減
・資本財 2.7%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は0.5%減
・自動車 2.1%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は1.4%増
・消費財 1.2%減、過去5ヵ月間で4回目の減少>前月は1.3%減
輸入の内訳をみると、モノは1.6%増と2ヵ月連続で増加した。金額では2014年5月以来の高水準となる。原油価格が55ドル台を回復する過程ながら、量ベースでのエネルギー関連輸入が7.4%増と過去5ヵ月で2回目の増加を示す。金額ベースでは3.8%増と前月からプラスに転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は1.3%増と、前月の1.2%増を上回り過去5ヵ月間で4回目の増加を示す。項目別では資本財を除き、全て増加した。詳細は、以下の通り。
(増加項目)
・産業財 4.3%増、過去5ヵ月間で2回目の増加>前月は2.6%増
・消費財 1.6%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.7%増
・自動車 0.2%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は1.8%減
・食品・飲料 0.1%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は1.8%増
(減少項目)
・資本財 0.4%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は2.8%増
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比1.7%増の352.29ドルと、増加に転じ2013年12月以来の高水準となる。日本への赤字は32.9%増の64.30億ドルと、前月から大幅増加した。日本の国別対米貿易赤字は9月の4位から3位に浮上したが、年初来では3位で変わらない。欧州全体への赤字額は24.2%増の160.39億ドルと、日本と同じく前月から増加に転じた。英国との貿易収支は7,400万ドルの黒字となり、2ヵ月連続で黒字となる。
主な産油国への貿易収支は、石油関連の輸入量と金額が増加少したようにそろって赤字が拡大した。カナダへの貿易赤字は18.48億ドルと、前月の2.51億ドルから6倍以上に膨らみ16ヵ月連続で赤字を計上している。メキシコに対する赤字額は、15.9%増の66.11億ドルと2ヵ月連続で増加し、3年ぶりの水準へ膨らんだ。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支は14.17億ドルの赤字と赤字基調へ戻した。前月は6.25億ドルの黒字かと、8ヵ月ぶりの黒字を計上していた。
以下は、今回の各国ごとの年初来・前年比ベースの貿易収支動向。貿易赤字はベトナムがアイルランドに代わって5位へ浮上したほか、韓国が10位から8位へランクアップした。代わりにインドが9位から10位へ、マレーシアが8位から9位へ転落した。その他、輸出や輸入を含めた動向は以下の通り。
――バークレイズは、貿易赤字の拡大を受けて米10~12月期実質GDP予測値の見通しを従来の2.5%増から2.3%増へ修正してきました。アトランタ地区連銀も、従来の3.5%増から3.2%増へ引き下げています。
10月の輸入増加を振り返ると、原油価格の上昇に加え量ベースの増加とエネルギー関連が押し上げたことが分かります。さらに、エネルギーを除いた場合でも資本財以外が全て増加していました。個人消費や設備投資が成長を牽引していくなかで、輸入が増加しているのは米景気の健全さを物語るようです。その半面、ハリケーン特需やホリデー商戦関連の一時的要因の可能性を残しますね。何より輸出の鈍化は、12月4日に中国の省の3分の2で成長が減速したように同国景気の減速の兆しをちらつかせ、良好だった世界経済が今後鈍化しないとも限りません。
(カバー写真:Todd Lappin/Flickr)
Comments
米11月ISM非製造業景況指数、ホリデー商戦前に12年ぶり高水準維持できず Next Post:
米11月ADP全国雇用者数は鈍化、ハリケーン特需が剥落し建設は減少