Housing Starts Decline From The Highest In 10 Years In December.
米12月住宅着工件数と米1月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値をおさらいしていきます。
米12月住宅着工件数は年率119.2万件と、市場予想の127.5万件に届かなかった。リセッション前にあたる2007年8月以来の高水準を達成した前月の129.9万件(129.7万件から上方修正)を8.2%下回り、3ヵ月ぶりに減少している。前年比では6.0%減と、年初来で最大の伸びを果たした前月の13.1%増から減少に転じた。
内訳をみると、一戸建てが前月比11.8%減の83.6万件と3ヵ月ぶりに減少した半面、複合住宅は1.4%増の35.6万件と増加に転じた。前年比は一戸建てが3.5%増と、2016年9月から続く増加トレンドを維持。複合住宅は22.6%減と、前月の7.7%増から減少に転じた。4大地域別では、増加した地域はゼロとなり前月の2地域から減少。北部、中西部ハリケーンの被災地が集まる南部が2桁減で3ヵ月ぶりに減少したほか、北東部と中西部は2ヵ月連続で減少した。西部は前月から減少に転じた。
米12月建設許可件数は130.2万件となり、市場予想の129.5万件を超えた。前月の130.3万件(129.8万件から上方修正)を0.1%下回ったとはいえ、2007年8月以来で最高の水準だった10月の131.6万件に近い水準を保つ。米1月NAHB住宅市場指数が2005年以来で最高近くを維持したように、好調な推移が続いている。内訳をみると、一戸建てが1.8%増の88.1万件と4ヵ月連続で増加したが、複合住宅は3.9%減の42.1万件と2ヵ月連続で減少した。
米12月建設中件数は前月比0.7%増の117.7万件だった。2007年10月以来の高水準となる。一戸建てが1.4%増の81.8万件と4ヵ月連続で増加したほか、複合住宅も0.2%増の61.1万件と増加に転じた。
住宅着工と建設中件数、しリセッション前の水準には遠い。
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、62.7万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を下回るため、在庫逼迫の解消には繋がらない可能性を示します。ただ、建設許可件数は一戸建てを中心に着実に増加しており、住宅着工が改善する公算が大きい。労働市場の拡大が続く限り、住宅市場も大幅な減速を回避しそうです。
▽米1 月ミシガン大信頼感・速報値、6ヵ月ぶり低水準でインフレ見通しも上昇
米1月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は94.4と、市場予想の97.0を下回った。前月の95.9にも届かず。6ヵ月ぶりの低水準となる。米株高が続き税制改革法案が成立したものの、富裕層優遇が批判されるなか「事実で売る」ならぬ「事実で低下する」結果を示した。2004年1月以来の高水準だった10月の100.7でピークアウトしたと言えよう。内訳をみると、現況指数が前月の113.8から109.2と、米大統領が実施された2016年11月以来の水準へ沈んだ。見通し指数は逆に5ヵ月ぶりの低水準だった前回の84.3から84.8と、小幅ながら上昇に転じた。
原油先物が約3年ぶりに60ドル台に乗せるなか、1年先インフレ見通しは前月の2.7%から2.8%と、2016年4月以来の水準へ上昇した。5~10年先インフレ見通しも前月の2.4%から2.5%へ上向いた。なお税制改革実現を意識し、FOMCは12月分の経済・金利見通しで成長見通しを上方修正したが、インフレ見通しを据え置いた。
ミシガン大学消費者信頼感、1年先のインフレ見通しは約1年半ぶりの水準へ上昇。
(作成:My Big Apple NY)
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、結果を受けヘッドラインと現況が低下した点につき「小幅低下した」と表現にとどめ、「重要なポイントとして家計見通しや購入見通しは持続的な強さをみせる」と楽観的だ。税制改革についても「積極的に言及した割合は全体の34%を占め、そのうちの70%が前向きな見解でネガティブな言及は18%に過ぎない」という。ガソリン価格見通しなど上向いたが、インフレ見通しにもカーティン氏は懸念を示さず。消費者は引き続き「失業率の低下を見込む」とし、一貫して明るいトーンを保った。2018年の個人消費見通しは前回「2.6%増」だったが、今回は明らかにしていない。
(カバー写真:Travis Wise / Flickr)
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