U.S. Trade Deficit Widens To 10-Year High As Exports Decline.
米1月貿易収支は537.96億ドルの赤字となり、市場予想の550億ドルを上回った。前月の512.95億ドル（531.18億ドルから上方修正）から5.0％増加し、5ヵ月連続で増加。2008年10月以来の高水準へ膨らんだ。原油関連を除く貿易赤字は495.19億ドルと、前月の503.69億ドル（修正値）を下回った。今回の赤字拡大は、輸出の減少によるものとなる。
内訳をみると、輸出が1.3％減の2009.10億ドルと3ヵ月ぶりに減少し、2ヵ月連続での過去最高に至らず。輸入は±0％の2,575.10億ドルと増加トレンドを4ヵ月連続で止め、過去最大となった前月とほぼ変わらなかった。
輸出が増加したものの輸入の伸びが上回り、貿易赤字は2008年以来で最大。
（作成：My Big Apple NY）
国内総生産（GDP）の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、697.23億ドルだった。前月の684.66億ドル（修正値）を超え、2006年8月の高水準へ膨らんだ。
なお国際収支ベースで、2017年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせ前年比12.1％増の5,660.31億ドルと、2008 年以来で最大となった。内訳をみると、輸出が5.5％増の2兆3,293.11億ドル、輸入が6.7％増の2兆8,953.42億ドル。このうちサービスの貿易収支は1.5％減の2,439.93億ドルと黒字が縮小し、貿易赤字の拡大につながった。一方で、モノの貿易赤字は前年比8.1％増の8,100.23億ドル。内訳では輸出が6.6％増の1兆5,514.34億ドル、輸入は6.9％増の2兆3,615.48億ドルとなった。
1月の輸出の内訳をみると、モノは前月比2.2％減と過去5ヵ月間で2回目の減少となった。項目別では資本財や産業財、食品・飲料が落ち込んでいる。
（増加項目）
・自動車 3.6％増、過去5ヵ月間で2回目の増加＞前月は0.6％減
・消費財 7.0％増、過去5ヵ月間で2回目の増加＞前月は1.2％減
・サービス 0.4％増、6ヵ月連続で増加＞前月は0.2％増
（減少項目）
・資本財 5.4％減、過去5ヵ月間で2回目の減少＜前月は2.5％増
・産業財 3.1％減、過去5ヵ月間で初の減少＜前月は3.8％増
・食品・飲料 0.7％減＜前月は4.0％増、過去5ヵ月間で2回目の増加
輸入の内訳をみると、モノは0.1％減と5ヵ月ぶりに減少した。原油価格が約3年ぶりの60ドル台を回復したものの、量ベースでのエネルギー関連輸入が14.9％増と過去5ヵ月で3回目の増加を示した。ただ前年比で6.3％減と、3ヵ月連続でマイナスをたどる。金額ベースでは前月比で20.8％増と、値上がりと輸入量増加を背景に大幅増となった。エネルギー製品を除いたモノの輸入は1.9％減と、前月の3.7％増を下回り5ヵ月ぶりに減少。項目別では資本財と食品・飲料、消費財が減少し、全体を押し下げた。詳細は、以下の通り。
（増加項目）
・自動車 ±0％増、増加基調を3ヵ月で止める＜前月は3.5％増
・産業財 4.3％増、5ヵ月連続で増加＞前月は1.3％増
（減少項目）
・消費財 1.6％減、6ヵ月ぶりに減少＜前月は6.1％増
・食品・飲料 0.1％減、過去5ヵ月間で2回目の減少＜前月は2.1％増
・資本財 2.3％減、過去5ヵ月間で2回目の減少＜前月は1.5％増
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比16.7％増の359.53ドルと増加に転じ、2015年9月以来の高水準だった。日本への赤字は0.6％増の55.27億ドルと3ヵ月ぶりに増加。欧州全体への赤字額は7.4％減の159.94億ドルと、4ヵ月ぶりに減少した。英国との貿易収支は45.3％増の2.31億ドルの黒字で、5ヵ月連続で黒字となる。
主な産油国への貿易収支は、石油関連の輸入量と金額が減少したように、メキシコ以外で赤字が拡大した。カナダへの貿易赤字は65.1％増の36.36億ドルと2ヵ月連続で大幅に増加、19ヵ月連続で赤字を計上している。カナダの対米輸出のうち15％近く占める自動車に加え、木材価格の上昇がカナダへの貿易赤字を拡大させた可能性がある。特に木材は、ITCが制裁関税を4-0で支持する採決を行っていた。石油輸出国機構（OPEC）への貿易収支は前月の2.11億ドルの黒字から、28.65億ドルの赤字へ転落、過去4ヵ月間で3回目の赤字となる。メキシコに対する赤字額は、22.5％減の41.36億ドルと3ヵ月連続で減少した。
以下は、各国ごとの単月の貿易収支動向は以下の通り。
（作成：My Big Apple NY）
――アトランタ地区連銀は、9日までの経済指標を受けて米1～3月期実質GDP成長率予測値を従来の2.8％増から2.5％増へ引き下げました。NY連銀も従来の3.05％から2.83％へ下方修正。それでも、トランプ政権の成長目標である3％に近く、2000年以降の成長率平均である1.9％を上回ります。
対米貿易赤字ランキングで、1位の中国は前年比14.8％増でした。トランプ政権が中国に対し1,000億ドルの貿易赤字縮小を要求した一因なのでしょう。一方、赤字幅の増加率で言えば3位のドイツも10.3％増、イタリアは18.9％増でした。ユーロ圏や欧州連合（EU）にも、赤字幅縮小を突き付けるのでしょうか？
鉄鋼の輸入国、上位10ヵ国で78％を占める。
（作成：My Big Apple NY）
鉄鋼・アルミへの関税賦課に関しては、NAFTA加盟国は除外、安全保障上の友好国も関税賦課の対象外とする可能性を表明し、市場関係者を安堵させました。ここに日本とユーロ圏が組み込まれるのか、今後の交渉とトランプ政権のメッセージに注目です。
（カバー写真：Louis Vest/Flickr）
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