U.S. Trade Deficit Narrows to 6-Month Low As Export Rises.
米3月貿易収支は489.56億ドルの赤字となり、市場予想の500億ドルを下回った。2008年10月以来の高水準へ膨らんだ前月の577.43億ドル(575.91億ドルから修正)から15.2%減少。7ヵ月ぶりに赤字が縮小した結果、赤字幅は6ヵ月ぶりの低水準となる。原油関連を除く貿易赤字も432.94億ドルと、前月の504.11億ドル(修正値)を下回り、6ヵ月ぶりの低水準だった。1月に太陽光パネル・洗濯機、3月に鉄鋼・アルミへのセーフガードが発動し、トランプ政権は中国に対しても知財制裁関税を賦課する意志を表明するなかで、輸入が減少し輸出は増加、財政赤字が縮小した。
内訳をみると、輸出が2.0%増の2,043.51億ドルと過去5ヵ月間で4回目の増加を示しただけでなく、過去最高を更新した。輸入は逆に1.8%減の2,620.94億ドルと8ヵ月ぶりに減少している。
輸出と輸入が同率で増加したものの輸入額が上回るため、貿易赤字は2008年10年以降で最大。
(作成:My Big Apple NY)
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、621.10億ドルだった。2006年8月以来の高水準へ膨らんだ前月の689.85億ドル(691.05から修正)を下回り、こちらも6ヵ月ぶりの低水準となる。
3月の輸出の内訳をみると、モノは前月比2.7%増と過去5ヵ月間で4回目の増加となった。項目別では自動車以外が全て増加した。特に食品は大豆、コーン、小麦などが急増。中国の旧正月明けに需要が大幅に回復した可能性がある。また資本財や産業財が伸びたように民間航空機や同エンジン、産業機器、その他コンピューター関連などが牽引した。
(増加項目)
・食品・飲料 9.7%増>前月は0.4%増、過去5ヵ月間で4回目の増加
・資本財 4.2%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は1.4%増
・産業財 2.2%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は4.8%増
・消費財 0.9%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は4.7%減
・サービス 0.6%増、8ヵ月連続で増加=前月は0.6%増
(減少項目)
・自動車 4.4%減、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は6.7%減
輸入の内訳をみると、モノは1.7%減と前月の増加を打ち消した。原油価格が2014年末以来の70ドル乗せが近づくなか、量ベースでのエネルギー関連輸入が10.1%増と過去5ヵ月で3回目の増加を示した。ただ前年比で12.0%減と、5ヵ月連続でマイナスをたどる。金額ベースでは上昇に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は1.6%減と、前月の1.7%増をほぼ打ち消す動きとなった。項目別では輸出と正反対で、自動車のみ増加している。詳細は、以下の通り。
(増加項目)
・自動車 0.5%増、5ヵ月連続で増加>前月は0.1%増
(減少項目)
・資本財 2.6%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は3.2%増
・消費財 1.7%減、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は1.0%増
・産業財 1.5%減、7ヵ月ぶりに減少<前月は1.5%増
・食品・飲料 3.3%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は6.4%増
国別でのモノの貿易収支動向を前月比でみると、中国への赤字は前月比11.6%減の258.75億ドルと、2017年3月以来の低水準だった。日本への赤字は16.1%増の63.86億ドルと前月から増加に反転。欧州全体への赤字額は7.5%増の146.02億ドルと、3ヵ月ぶりに増加した。英国との貿易収支は143.6%増の15.98億ドルの黒字で、7ヵ月連続で黒字となっただけでなく、過去最高を更新した。
主な産油国への貿易収支は、石油関連の輸入量と金額が増加したものの、メキシコ以外で赤字が縮小あるいは収支が黒字に転じた。カナダへの貿易収支は3.06億ドルの黒字となり、21ヵ月ぶりに黒字に転換。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支は前月の43.8%減の7.68億ドルの赤字と6ヵ月連続で赤字を計上したが、前月から大幅縮小している。メキシコに対する赤字額は32.8%増の80.53億ドルと2ヵ月連続で拡大し、過去最大だった。メキシコのみ赤字が拡大した背景は、原油の輸入量ではない。カナダとOPECはそれぞれ季節調整前の通関ベースで輸入量が増加した半面、メキシコは減少していた。今回は原油の輸入量よりも自動車が影響していると考えられ、メキシコからの輸入額は18.7%増、対してカナダは3.8%増に過ぎない。
国別動向の貿易赤字は、前月との比較でカナダが2月の8位からトップ10圏外の13位へ陥落した。代わって上位に入ったのがタイで、10位に食い込んだ。詳細は、以下の通り。以下は、各国ごとの単月の貿易収支動向は以下の通り。
――国の春節を経てもタイやマレーシアが貿易赤字で上位に入っているのは、米中通商摩擦が激化するなか、コンピューター機器関連などで米企業が中国以外の受注を増やしているように見えます。トランプ政権による知財制裁課税の判断は5月後半に出る予定ですが、中国への輸出が高水準を維持するかは不透明。貿易赤字の縮小は、一時的となる可能性は否めません。
(カバー写真:Roy Luck/Flickr)
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