Consumer Confidence Outlook Weakens As Tariff Concerns Grow.
米6月消費者信頼感指数、米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値をおさらいしていきます。
米6月消費者信頼感指数は126.4となり、市場予想の128.0を下回った。前月の128.8(128.0から上方修正)に届かず。2000年11月以来の水準へ上振れした2月の130.0がまた遠のいた。期間中、トランプ政権は欧州、カナダ、メキシコなどに対し鉄鋼・アルミ関税を賦課する方針を発表、7月6日から中国政府に500億ドルの関税措置のうち340億ドルを課す決定を下し、貿易戦争懸念が渦巻きセンチメントを小幅ながら押し下げたようだ。内訳をみると、現況指数は161.1と2001年3月以降で最高を更新だった前月の161.2(161.7から下方修正)とほぼ変わらず。見通し指数は103.2と、前月の107.2(105.6から下方修正)に及ばなかった。
発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果を受け「現況指数は概して横ばいで経済成長の力強さは維持されるそうだが、見通しから楽観が後退しており、消費者は米経済が一段と加速すると想定していない」と分析した。
消費者信頼感指数、2000年11月以来の高水準近くを維持。
現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは25.1と、2001年2月以来で最高だった前月の26.5(修正値)を下回った。以下は、結果の詳細。
ビジネス環境については、「良い」が低下し「悪い」が上昇
「良い」36.0%→前月の38.6%から低下、前年同月は30.6%
「悪い」11.7%→前月の12.6%から上昇、前年同月は13.4%
労働市場については「豊富」と「困難」が低下も、「あまり豊富でない」が上昇、「豊富」とのDIは2ヵ月連続でマイナスに
「職が豊富」40.0%→前月の42.1%から低下、前年同月は30.6%
「あまり職が豊富ではない」45.1%→前月の42.3%から上昇、前年同月は49.6%
「職探しが困難」14.9%→前月の15.6%から低下、前年同月は18.4%
6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が低下し「悪化する」が上昇
「良くなる」21.4%→前月の23.3%から低下、前年同月は20.1%
「悪化する」9.8%→前月の7.8%から上昇、前年同月は10.0%
「変わらず」68.8%→前月の68.9%から低下、前年同月は69.9%
6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下、「増加」は20ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」20.0%→前月の19.7%から上昇、前年同月は18.6%
「雇用が減少する」12.6%→前月の13.1%から低下、前年同月は14.6%
「変わらず」67.2%→前月の68.2%から低下、前年同月は66.2%
6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し「減少」が上昇
「増加する」18.7%→前月の21.4%から低下、前年同月は20.9%
「減少する」8.7%→前月の8.0%から上昇、前年同月は9.3%
「変わらず」70.5%→前月の70.3%から上昇、前年同月は69.8%
購入見通しは、住宅を除く低下した。住宅のみ5.9%と2015年11月以来の低水準だった前月から上昇。逆に自動車は10.7%と、前月の12.1%以下となっただけでなく2012年5月以来の水準へ下振れしている。家電も48.0%と、前月の50.8%を下回り2014年10月以来の低水準に並んだ。
購入見通しは、自動車と家電の落ち込みが激しい。
――米6月消費者信頼感指数は、5月ベージュブックで企業によるトランプ政権の通商政策への不安感が示された動きと歩調を合わせ、見通し指数を中心に低下しました。特に購入見通しは弱さが目立ち、米金利上昇が一服した余波から住宅のみ小幅改善した程度。自動車も家電も、直近で最低を更新しています。背景として、やはりインフレ動向は見逃せません。ガソリン価格の上昇に加え米5月個人消費(PCE)指数がコア共に上振れしており、個人所得を圧迫していそうです。
▽米6月ミシガン大消費者信頼感・確報値は下方修正、インフレ見通しは上振れ
米6月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値は98.2と、市場予想の99.0並びに速報値の99.3を下回った。6ヵ月ぶりの低水準となった前月の98.0からは改善している。とはいえ、2004年1月以来の高水準だった2017年10月の100.7以下が続く。内訳をみると、現況指数が前月の111.8から116.5へ上昇した一方で、見通し指数は86.3と前月の89,1から低下し5ヵ月ぶりの低水準だった。
原油先物が2014年11月以来の74ドル台に乗せる過程で、1年先インフレ見通しは3.0%と、前月の2.8%を超え2015年3月以来の大台乗せを示した。5~10年先インフレ見通しは2.6%と、前月まで5ヵ月連続で2.5%を経て2017年7月以来の水準に並んだ。
ミシガン大学消費者信頼感、1年先のインフレ見通しは2015年3月以来で最高に。
(作成:My Big Apple NY)
ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、結果を受け「追加関税賦課の潜在的影響を懸念し、楽観度が後退した」と振り返った。トランプ政権による追加関税をめぐる見方は「4人に1人が最悪の事態を予想」しているという。消費者は外国との貿易には概して前向きで「回答の3分の2が貿易拡大により国内経済を下支えると見込んでいた」だけに、追加関税賦課の影響は「GDPで限定的ながらセンチメントを押し下げる見通し」だ。
(カバー写真:Gloria/Flickr)
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