ISM Non-Manufacturing Hovers Around 21-Year High, But Employment Edges Down.
11月のISM非製造業景況指数と、IHSマークイット・サービス業PMI・確報値をおさらいしていきます。
米11月ISM非製造業景況指数は60.7となり、市場予想の59.0を上回った。前月の60.3も超えている。年末商戦に前に金利上昇や追加関税措置にもめげず、1997年8月以来で最高となった9月の61.6近くを保つ。
ISMは、結果を受け「力強い経済を反映した」と振り返ったが、「人手不足や追加関税措置への懸念が残る」と懸念を寄せた。業種別では、9月と同じく18業種中17業種が拡大を報告した。縮小した業種は、米国の追加関税措置や中国からの報復関税が影響したのか、農業、木材、漁業となる。前月は、教育サービスが縮小を報告していた。
内訳をみると、ビジネス活動が2004年1月以来の高水準だった半面、雇用は過去最高だった9月から低下が続き、米11月雇用統計・非農業部門就労者数のサービス部門が鈍化する可能性を示す。詳細は、以下の通り。
・ビジネス活動 65.2、9月に続き2004年1月以来で最高＞前月は62.5、6ヵ月平均は62.3
・新規受注 62.5、5ヵ月ぶりの高水準＞前月は61.5、6ヵ月平均は61.0
・雇用 58.4＜前月は59.7、6ヵ月平均は57.8
・新規輸出受注 57.5＜前月は61.0、6ヵ月平均は59.8
・在庫変化 57.5＞前月は56.0、6ヵ月平均は54.8
・仕入れ価格 64.3、6ヵ月ぶりの高水準に並ぶ＞前月は61.7、6ヵ月平均は62.9
▽米11月IHSマークイット・サービス業・確報値、雇用は1年半ぶり低水準
米11月IHSマークイット・サービス業PMI確報値は54.7と、速報値の54.4から上方修正された。8ヵ月ぶりの低水準だった9月の53.5を上回る水準を保つ。ただ、2015年4月で最高だった5月の56.8で、一旦のピークアウト感が残る。内訳をみると、新規受注や雇用は2017年6月以来の低水準だった。新規ビジネスも、2017年1月以来の最低となる。一方で、仕入れ価格は前月に続き2013年9月以来の高水準だった。総合PMIは54.7と、前月の54.4を上回った。
ISM非製造業景況指数は高止まり、マークイット・サービス業PMIは8ヵ月ぶりの低水準から改善。
（作成：My Big Apple NY）
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「製造業指数と合わせ景況感は底堅く、10～12月期の実質GDP成長率は2.5％増となる見通し」との見解を寄せた。サービス業などで雇用の鈍化が確認されたが、米11月雇用統計・非農業部門就労者数を「18.5万人増」と見込む。
▽米7～9月期労働生産性・確報値、前年比はQ2と変わらず
米7～9月期労働生産性・確報値は前期比2.3％上昇し、市場予想と一致した。速報値の2.2％から上方修正されたが、前期の3.3％には届かず。単位労働コストは0.9％上昇し、速報値の1.2％から下方修正された。4期ぶりのマイナスとなった前期からは、改善している。労働時間の伸びは変わらなかったものの賃金が上昇し、単位労働コストを押し上げた。詳細は、以下の通り。
・生産 4.1％の上昇＝速報値は4.1％の上昇、前期は5.0％の上昇
・労働時間 1.8％の上昇、11期連続で上昇＝速報値は1.8％の上昇、前期は2.0％の上昇
・時間当たり賃金 3.1％の上昇、11期連続で上昇＜速報値は3.5％の上昇、前期は0％
・実質賃金 1.1％の上昇＜速報値は1.4％の上昇、前期は1.6％の低下
・単位労働コスト（一定量を生産するために必要な労働経費を示す） 0.9％の上昇＜速報値は1.2％の上昇、前期は2.8％の低下と5期ぶりのマイナス
前年比での労働生産性は、前期と同じく1.3％上昇だった8期連続のプラスを示した。単位労働コストも速報値と同じく0.9％上昇、2016年10～12月期以来の低い伸びにとどまった。
（作成：My Big Apple NY）
――生産、労働時間、賃金が順調に延び、単位労働コストはプラスを回復しました。追加関税措置の影響で一部企業がコスト負担を強いられるなか、賃金の伸びは力強さに欠けます。米10月雇用統計での平均時給は2009年以来の3％乗せを遂げましたが、この流れは今後も継続するのか見極めが必要です。
（カバー写真：Chris Goldberg/Flickr）
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