Existing Home Sales Tumble To 3-Year Low Even As Rates Decline.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米12月中古住宅販売件数は年率499万件と、市場予想の524万件を下回った。3ヵ月ぶりの減少となる。前月の533万件(532万件から上方修正)を6.4%減少した結果、2015年11月以来の500万件割れを迎えた。2018年9月以降の米株安を手掛かりに金利上昇局面から低下に転じただけでなく、価格上昇ペースも鈍化したにも関わらず、積雪など悪天候や在庫逼迫が引き続き重石となったようだ。前年比では10.3%減と10ヵ月連続でマイナスだっただけでなく、2011年5月以降で最大の下げを示した。
内訳をみると、一戸建てが445万件と前月の471万件(修正値)を5.5%下回り、ヘッドラインと同じく2015年11月以来の低水準だった。複合住宅に至っては12.9%減の54万件と、全体と一戸建てと同じく3ヵ月ぶりに減少、2012年7月以来の水準へ落ち込んだ。
4大地域別では、前月こそ3地域で増加したが今回は全ての地域で減少。中西部が11.2%減(前月から減少に反転)の119万だったほか、最も複合住宅の比率が高い北東部が6.8%減(前月から減少に反転)の69万件となる。住宅市場規模が最大の南部も5.4%減(前月から減少に反転)の209万件と弱い。IT企業が集まり、近年、住宅価格の高騰が著しい西部は1.9%減(過去5ヵ月間で4回目の減少)の102万件だった。
在庫件数は前月比10.9%減の155万件と6ヵ月連続で減少した結果、2017年12月以来の低水準だった。逆に前年比では6.2%増と5ヵ月連続でプラスとなる。なお、在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していた。販売の減少ペースが在庫を小幅ながら上回り、在庫相当は前月の3.9ヵ月から3.7ヵ月と、9ヵ月ぶりの水準へ短縮した。
中央価格は前月比1.4%下落の25.36万ドルと、過去6ヵ月間で5回目のマイナスとなった。前年比では2.9%上昇、2012年3月以降続くプラス基調を保つ。これまで前年比で平均時給の上昇ペースを上回ってきたが、今回は平均時給の伸び以下にとどまった。販売日数は46日と、前月の42日から延び前年同月の40日も上回った。NARは、販売件数の39%が1ヵ月以内に買い手がついたと説明、前月の42%、8月の55%から低下を続けた。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件2%、統計を開始した2008年10月以来で最低=前月は2%、前年同月は4%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅)0%=前月は0%、前年同月は1%
・新規購入者32%<前月は33%、前年同月は32%
・現金購入者22%>前月は21%、前年同月は20%
・住居用ではなく投資向け13%=前月は13%、前年同期は16%
中古住宅販売件数、複合が増加を牽引。
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「12月の住宅ローン金利は足元の水準を上回っていただけに軟調だったが、金利は低下しており春ごろには住宅購入をめぐる競争が激化するだろう」と楽観的な見方を寄せた。また「在庫の増加は、住宅価格の上昇を抑える」と予想。もっとも「住宅在庫は高価格帯で顕著となり、引き続き低価格帯は逼迫している」とも付け加えた。
――10~12月期の中古住宅販売件数は前年同期比6.9%減となり、小幅ながら同期の成長率を押し下げるリスクが浮上してきました。政府機関の閉鎖も重なり、NY連銀の予測値は1月18日時点で2.6%増ですが、さらなる鈍化の余地を残します。
また、こちらで指摘しましたように大手企業で再編の波が押し寄せる状況。米12月雇用統計では就労者数から平均時給まで絶好調の労働市場を裏打ちしたものの、見通しについては楽観一色となりきれません。
NARのユン氏が言及したように、中古住宅の在庫件数も低水準を維持しています。
足元は平年を下回る気温や積雪など、悪天候で需要も低下した公算が大きい。春先に需要が回復すれば、再び値上がりペースが加速しないとも限りません。
(カバー写真:Santanu Vasant/Flickr)
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