China And Russia Decrease U.S. Treasury Holdings, But Others Pick Them Up.
中国、ロシア、トルコを中心に追加関税措置やら制裁やらで米国と対立を余儀なくされている各国を中心に、金の保有量が拡大中との言われて久しいですよね。直近でも、中国は8ヵ月連続で金を積み増しておりました。ワールド・ゴールド・カウンシルによれば、世界の中銀は上半期に374mtの金を取得、2000年以来で最大になったといいます。さらにWGCが7月に公表した調査では、中銀の11%が向こう12ヵ月で金保有量を拡大させると回答、同回答が12%だった2018年には増加量が652mtとこちらも最大を記録していた実績を踏まえると、金の需要は今後も高まる公算が多きいように見え、鼻息の荒い強気なアナリストが金先物2,000ドル超えを予想するのは、さもありなんという気さえしますよね。
金の保有量が金融危機以降、増加の一途をたどっていることは事実です。しかし、金保有量の2トップはというと米国とユーロ圏はというと逆に横ばい・微減しています。
金保有量の上位50ヵ国・地域・機関をみると金融危機以降、米欧以外の23ヵ国が金の保有量を拡大させていたのはエマージング諸国でした。
こうしてみると、外貨準備高のうちドル比率が低下している一因は、他通貨へのシフトだけでなく金に割り当てた可能性を点灯させます。ちなみに外貨準備に占めるドルの割合は2008年Q3の64.2%から19年Q1は61.8%と6割は維持しつつ、低下しておりました。そのほかユーロは25.3%→20.2%、ポンドは4.7%→4.5%へ低下。逆に円は3.5%→5.2%へ上昇、豪ドル(1.5%→1.7%)や加ドル(1.4%→1.9%)も12年Q4からそれぞれ上昇。人民元は16年Q4の1.1%から2.0%へ上向きました。
とはいえ、米国債の海外保有高も拡大しているのですよ。7月対米証券投資で、確認できますよね。
それもこれも、マイナス金利の債券が17兆ドルと、投資適格級の債券市場全体の約3割を占めるに至りhunt for yieldの波が押し寄せているためでしょう。米10年債利回りは現在、タイの10年債に程近い水準で、独債をはじめとしたマイナス金利の欧州債と比較し、格段に利回りが乗っているといっても過言ではない。
安全資産であり他の国債より利回りの高い米国債は、世界中が利下げに傾くなかでFedの金融政策次第ではありますが、依然として魅力的に映ってもおかしくありません。
(カバー写真:Bullion Vault/Flickr)
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